初秋


紅葉スペシャルとかいう割にはいつもと一緒です。
鬼鮫とイタチが仲直りするお話。



冷たい風を受け、頬を赤く染めたように木も葉を赤く染めた。
季節は秋。デイダラやサソリはいつものように芸術を言い争い、角都やペインは読書に勤しんでいる。
そんな季節がまたやって来た。

「イタチさん、買ってきましたよ」

小さな風呂敷を手に鬼鮫が木の上にいるイタチに呼びかけた。赤く染まった紅葉の中に見える漆黒の髪は、春のそよ風にあたっているように時折揺れる。
イタチの返事の代わりに一羽の烏が舞い降りた。その瞳はそこらの烏とは違う主と同じ紅い瞳。これがイタチの口寄せの烏である証だ。
烏は足で風呂敷の結び目を巧みに持ち、木の上のイタチの元へと運ぶ。

「手間をかけたな」

静かに響くイタチの声。その声は鬼鮫が知っているものと比べ、弱々しいものになっている。
上を見上げても小さな背しか見ることができない。乱暴に地に鮫肌をおろした。音からイタチは鬼鮫が苛立っていることを察した。

「いい加減にしてくれませんか」

怒りを抑えたまま鬼鮫が言う。イタチは肩に止まった烏をゆっくりと撫でる。その手つきは時折止まったり宙を撫でたりと覚束ない。

「いつまでもそこにいればあなたが苦しいだけですよ」

イタチが木の上から降りてこなくなって早くも三日が経つ。心配していた病の進行もかなり進んだため、昨晩はぐったりと木にもたれたまま動くこともなかった。
一言も助けを求めず、手を差し伸べても、その手を取ることはしない。
鬼鮫が木に触れればすぐに黒炎が出る。最早天照は自分の体を蝕むものでしかないにも関わらず、使用するイタチに胸が痛む。使用を控えさせるためにも、鬼鮫は木の下から見上げるだけに留まっている。

「今日こそアジトに戻ってくれませんかねぇ」

イタチは鬼鮫の言葉に耳を傾けてはいなかった。霞む自分の視界は今朝からのことだ。昨日の体調不良はこの前兆だったようだ。
円を満たすように丸々とした月が朧に見える。雲がかかっているかは分からない。満月はどうしてもあの時を思い出してしまう。

「聞いていますか私の言葉を」

天照で燃やされても構わない。その意思を固めて鬼鮫は木に触れた。しかし黒炎が出る気配はない。
昨日でさえ出していたのに、今出さないのは変な話だ。嫌な予感を胸に、鬼鮫はすぐにイタチのいる地点へと移動した。

「イタチさん!」

名を呼ぶ人の元へ辿り着けば、前のめりになって木から落ちそうなイタチの姿があった。すぐにその身体を支えてやった。

「鬼鮫…?」

「全く一人で無茶をしないで下さい」

何があったのかイタチは覚えていない。意識が遠のいた時に鬼鮫が来たのだろう。天照のことまで気にが回らなかった。もう一度鬼鮫に目を向ければ、肩の紅が目に止まった。

「紅葉だ」

そっと細くしなやかな指を鬼鮫の肩に伸ばしてその葉を手に取る。真っ赤に染まった葉はイタチの霞んだ視界にもよく映る。

「早いですね…もうそんな時期ですか」

「あぁ、まるで人の一生のようだ」

「そういうことを言わないで下さい」

クスリと笑う顔を見たのはいつぶりだろうか。鬼鮫はそっとイタチの手に黄色を握らせた。イタチはすぐに手を広げて何であるか確認する。

「イチョウか」

「えぇ、団子を買うときに見つけたんですよ」

先ほどの紅葉と重ねる。色も形も異なりながら秋を彩る葉としてはどちらも同じものだ。その感覚は暁に属す自分たちに似ている。

「今日は銀杏が食べたい」

「寒いですから茶碗蒸しは丁度良いかもしれませんねぇ」

枝の先にある満月の色に染まった紅葉の葉を見てフッと笑う。

「あぁ、悪くない」

久しぶりに地に下り立つ相方の後に続いて鬼鮫も地に下りた。




















ナルインで「激むず」選択して兄さんで鬼鮫さん倒しにいったら有り得ないくらい倒されるわ、タコ扱いされるわで酷い目にあいました。(30分かかって、被ダメージ1万越えてたと思う)

それで書き上げました。あと紅葉行きたかったので(私が)


2011/11/16

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