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夏の暑さは風によって冷め、涼しさを感じさせる頃。西に傾いた橙の太陽が、紅葉しきっていない葉を紅く照らす。川沿いに並列した木の中には少し黄色の葉が混ざっているが、本格的な紅葉はまだしていない。そんな木が立ち並ぶ川のほとりに二人は居た。

「あっ!あったぜ兄ちゃん」

ナルトが草影から何かを取り出し、イタチに見えるように手を振る。それを見つけたイタチが、立ち上がりふらふらとナルトの方へと近づくが、足元がおぼつかない。倒れそうになったイタチを、すぐさまナルトが支える。

「あぁ、すまないナルト君」

「別にいいから無理すんなってばよ」

イタチがナルトを見つめて微笑んだ。
イタチの視力は朧げでぼんやりとしか視界は映らない。そんな瞳は昔と変わらず美しく、儚さを湛えている。見えないことを分かっていても、やはり見つめられているような感覚で思わずドキリとして頬を朱く染めた。こういう時は見えなくて良かった、と心からナルトは安堵する。

「はい、これ」

普段と同じ調子を意識して、先程草影から見つけた首飾りをイタチに差し出す。イタチがそれをゆっくりとした所作で受け取るも、どうやら一人では付けるのは困難だろう。そう判断したナルトの行動は早かった。

「オレがつけてやるから」

イタチから首飾りを取り、背後に回る。
長い髪を分けると、白い項が露になる。普段長い髪で隠れているそれを見るだけで緊張する。ゴクリと唾を飲み、高鳴る鼓動を抑えながら、首飾りをイタチにかけた。

「ありがとう」

感覚でつけ終わったと判断したイタチが、言葉を発した。
しかし、ナルトが視界に映ることはない。気配で背後に立ったままであることは分かる。訝しんで振り返ろうとすると、後から覆いかぶさる何かの重さに前につんのめりそうになった。

「ナ、ナルト君…?」

すぐに、覆いかぶさってきたものの正体は分かった。金色の髪が視界に入ったからだ。そのまま強い力で抱きしめ、小さな声でナルトは言った。

「…寒い」

「フフ、川が近いからな」

吹いてくる風も冷たい。まるで風が川の冷たさを運んでくるようだ。ガタガタと震えるナルトをそっと優しく抱きしめてやる。イタチの温もりに心地好さを感じながら、ナルトはふと感じたことを口にする。

「兄ちゃんってば手冷たいな」

「あぁ、サスケにも言われる」

その冷たさは寒さからきているものだとばかり思っていた。薄い着物でここに居るのだから、ナルトより寒いはずなのだが、イタチが寒そうな気配は全くない。我慢しているだけかと思ったが、そんな気配もない。

「兄ちゃんってば温度の感覚おかしいんじゃねぇの?」

「そうか?」

クスリと笑うイタチにナルトは言葉に詰まる。だがイタチの手の冷たさは、場所のせいもあると思った。そうでなければ、この冷たさは死人のような冷たさだ。
イタチが遠くに行ってしまいそうな感覚に陥り、ナルトは離さないように強く抱きしめた。

「どうしたんだ、急に」

そんなナルトの心理などイタチには分かる筈もない。当のイタチにしては、甘えたくなっただけという風にしか捉えていない。
状況を軽く受け止め、ナルトの頭を撫でる。優しく撫でる手つきは、ナルトに「どこにも行かない」と暗にしめしているようで、ナルトは少し安堵する。

「寒いなら少し家に寄っていくといい」

ナルトが安堵したのを見てから、イタチが笑いながら言った。
ナルトも目を輝かせて、よっしゃあ!嬉しそうな声を上げた。



















時々恋情が出るナルトが書きたかったんです。
団子とか食べてるって言ってたのに全然だし、何言いたいか分からなくて、つまり…どういうことだってばよ?感覚に陥りますが、聞きたいのは私の方です、すいません
でも愛はあるんだってばよ…4日遅れましたが。

2011/10/14

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