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暗部時代のお話。



木から木へと音を立てずに跳ぶ。敵は八人。どうにか一人ででも相手にできる人数だ。
身を翻して下へ下りると、イタチの前に八人が立つ。
これなら…と敵の位置を確認してから瞳を閉じる。敵が鳴らした草の音と同時にその眼は見開かれ、その場に立つのはイタチ一人となった。
その光景が丁度駆けつけてきたカカシが目にしたものであった。

「何で一人で無茶するかな…」

イタチに話しかけた直後、倒れかけるその体をカカシが抱きとめた。眼を押さえて苦しそうに荒く息を吐くイタチを見ているとそれだけで胸が痛くなる。イタチはゆっくりと眼をカカシへと向け、出来る限り表情を崩して礼を言う。

「すみません…カカシ…さん」

余程苦しいというのは傍から見ても判る。その苦しさを悟られないように無理をして笑顔を繕い、イタチはカカシをからそっと離れる。

「もう無理するな」

離れるイタチの腕を取り、自分の胸に抱き寄せる。有無を言わさぬ口調にイタチも抗うことはせず、ただコクリと頷いた。


草が揺れて静かに風の存在を示す。月のさやけさは無く、雲の影で朧げに辺りの空を照らす。
その光が見える洞穴でイタチは横になっている。明かりは他にはない。敵に居場所を教えることになるからだ。
ぼんやりとしたままのイタチの様子を心配しながら、簡単に報告書を書き上げる。相手の探索と言っておきながら全て始末しているなんて誰が思うだろう。
だがカカシは念頭には置いていた。トラップで負傷した他の隊員をテンゾウに任せて駆け付けてきたのだから。

「ゆっくり休め。もう少しかかる予定だったんだから、休む時間に充てたって構わないでしょ」

カカシが咎めたのも、イタチはすでに上半身を起こしているからだ。首を横に振り、すぐにでも帰ろうと支度を始める。

「任務を遂行出来たなら、長居する意味もありません。報告書も仕上がったのなら尚更のこと」

「お前…何かあった?」

一瞬イタチの動きが止まる。だがすぐに先の動作を進める。カカシはその一瞬の表情を見逃さなかった。

「別に…たださっさと任務を…」

カカシがすぐ側にいた。見下ろすカカシの眼は真剣そのもので、イタチは気圧された。
伸ばされた手に何をされるかと気後れしていると、抱きしめられる体。人の体温の温かさに自然と心が安らぐ。

「あまり無理するなよ」

その言葉に答えることが出来ずに静かに唇を噛んだ。カカシにはその意味が理解しかねるものであったことは言うまでもない。




















…誕生日ってなんですか(笑)
暗めな話が多くてすみません。
誕生日!誕生日!わかってるけど誕生日!
兄さんが一族虐殺悩んでるときの無力なカカシ先生って好き。

2011/9/17

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