Story | ナノ
01-05
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「あれ?お父さんとお兄ちゃんは?」
「まだ、寝てる」

呆れた、と言いたいように唇を歪ませ楓花の席にご飯を置いていく。

「お兄ちゃんは就活終わったんだよね?」
「そう。だから最近はずっとこれよ、」

全面に呆れた様子を浮かべ、これ、と言いながらパソコンのキーボードをコミカルに叩く真似をした。

「あはは。お兄ちゃんらしいなぁ…」
「最近は彼女に別れ話を切り出されてるらしいわ…」
「……ふふ、」

「それより、楓花。」
「うん…?」

向かいの席に腰掛けた母が身を乗り出し楓花に問い掛ける。
思わず、ご飯茶碗を持った楓花は少し後ろに退いた。

「アンタもあれ?年頃になっちゃったのねぇ…」
「え…?何が…?」

「何時までも天然キャラだと思っていたらこんなに早く春を迎えるなんて…」
「え?春はまだ先だよ。今12月だし…」

「バーカ、」

ニヤリ、と笑われた。
その言葉の意味が分からなく、箸と茶碗を持ったまま首を傾げる。

「男よ、男。
 昨日、アンタが貧血で道端睡眠してたからってわざわざ送って来てくれたのよ。」
「ひ、貧血…?道端睡眠って…」

 言われてみれば、塾帰りから記憶が曖昧かも…。
あの夢が現実であればまた別なのだろうけど、確かに。あれが現実な訳がない。
だったら現実的には気絶してたりするのが当たり前か…

「そう言えば、昨日家に帰ってきた記憶がないもんな、」

もぐ、とご飯を食べ頷く。

「あら、アンタ覚えてないの?
 カッコイイ男の子がアンタをおぶってきてくれたのに…」
「…男の子…?」

「ま、大体20歳くらい?
 カッコ良かったわよ〜。金髪が似合う子でね、笑顔が優しいの」

「……ふ〜ん…?」

と、言われても覚えていないから楓花にはあまり…
というか全然興味がなかった。

「連絡先貰ったから後で元気になったって連絡しなさい。
 あの人、かなり心配してくれてたみたいだから。」

「ん…?…うん〜…」

手渡されたメモをじーっと見つめカクンと首を傾げる。

 電話番号の下には、その男性のものらしき名前が。

『紗暮 燈架琉』

さくれ、ひかるで良いのだろうか、と読みかなに首を捻り、ブレザーのポケットにそのメモをしまった。

「連絡したら感想頂戴ね、」

 なんの感想だろう…と逢えて胸中に留めておき、ご飯を食べる。

しかし、少し気が進まない。
見ず知らずの人に…、しかも楓花自信は相手と話したこともないのに電話をするのは…

まぁ、友達に側に居てもらって連絡取れば良いか、と息をつき食事を終わらせた。



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「おはよー!」
 教室に入ると友人が迎えてくれた。
自分の席の前の席に座る友人、天音 依鈴(アマネ イスズ)だ。

「おはよー」
それを何時も通りに柔らかく返し、席に着く。

「あ、そだスズちゃん。」
「ん?」

「後で…放課後とか時間少しだけ…大丈夫?」
「え?うん。全然平気だけど…」

不思議そうに首を傾げる依鈴に
「昨日道端で倒れちゃって、助けてくれた人が家まで送ってくれたんだけど…
 なんか心配してくれてるみたいで元気になったら連絡欲しいんだって。」

「……!…うは〜今のご時世にそんな親切な人いるのかぁ…。
 それが王子様みたいなかっちょいい人なら運命の出会いだわよね、」

「…スズちゃん、少女漫画の読みすぎ…」

両手を合わせて宙を仰いだ依鈴に楓花は苦笑。
恋愛とかそういう関連の話しが、楓花には少しだけ苦手だった。

「とりあえず、ね。その人に連絡したいんだけど…」
「一人で見ず知らずの人に電話かけるのが怖いからせめて私に付き添ってもらいたいって事ね!
 良いよ、全然!!」

「……、ありがとう…」

何故かやる気満々な依鈴に若干引きつつ礼を言った。
丁度そのころに授業を知らせるチャイムが鳴った。




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