その日の空は真っ青だった。

風は少し強くて、冷たい。河川敷の木々はざわざわと鳴いている。
きゃいきゃいと幼い声がはしゃぐ声を、不動は河川敷の一番高い木の上で聞いていた。

あれから不動は高いところがなんとなく好きになった。地べたを這いつくばってばかりでは見えないものもある気がした。もちろん、上から広く見下ろすばかりでは見えないものもある。

しかし広くものを見ることは良いことだ。現に、不動は風を切って走る姿を見つけることができた。
土手を覆う芝生に寝転ぶ不動に駆け寄り、何か喋りかけている。不動には、この声は届かなかった。それでも良いと思えた。
さてそろそろかえろうか、思ったそのとき。影も形も見えないはずの不動を、見上げた。



「返事を、きかせてもらおうか」








きっと、これが最後だな、と、不動は笑って、

その腕に飛び込んだ。




20101123









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