副会長は何がなんでも頑張らない | ナノ

  036 副会長と会計のメール2


土曜の夜。
 

 また榎原からのメール。
 午前中に会ったときにメールの件には触れなかった。
 そういうものかもしれないが何か気になってそわそわしてしまった。
 
『この学校すき?』
 
 どんな返事が欲しいのか分からない。
 榎原は何が言いたいんだろう。
 
「急に何」
『ちょっと気になったから』
「へんなの」
『怒ってる?』
「べつに」
 
 らしくない気がするけれど榎原は気分屋なところがあるからこんなものかもしれない。
 不自然に思うのは俺が疲れてるから。
 
『ずっとここにいたい?』
「どういう意味」
『ちょっと気になったから』
 
 喧嘩を売られている気分になるのは自分の神経が尖ってるからだ。
 榎原に八つ当たりしてる。
 一行ですぐに返信が来るメールのラリー。
 
『転入生にあれから会った?』
 
 どうしてそんなことを聞いてくるんだろう。
 空気が読める榎原らしくない。
 気分が悪くなって返信しないでそのまま寝た。
 榎原だって日曜の俺の朝が早いことは知っている。
 剣道部の応援に行くのだ。
 
「榎原は何が言いたいんだろう」
 
 世間話じゃない。どうしても伝えたいことを遠まわしにしようとしたメール。
 俺には何も伝わらなかったけれど。
 ただただ記憶を刺激するぬめぬめとした感覚。
 
 その夜、悪夢を見たのを榎原のせいにしてしまいたい。

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