もっと、わんわんはわんわんです。 | ナノ

  簡単でエロいお仕事


彼氏とはスマホ片手にマグロ無言だというのにこのサービスはもはや浮気!!


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 飼い主がいない今、オレはとても簡単なお仕事に精を出している。
 バレたら怒られそうなので秘密厳守である。
 
「ひゃ、アっ、あんっ、あぁ、アっ、んんっ」
 
 与えられるものを喜んで受け入れていると頭を撫でられた。
 口の中が物足りなくなるとすぐに新しいものをチラつかされる。
 オレは堪えることなく「ちょうらぃ、それほしいのぉ」と言い放つがまだ足りないらしい。なんて言って欲しいのよ。まったくもう。
 
「いくつ欲しい?」
「っんん、ひっふぁい。いっぱい欲しいのぉ。はしたないお口にいっぱいれてぇぇ」
 
 おねだりは大成功らしい。蛇さんは満面の笑みを浮かべてオレに皮をむいた巨峰を食べさせてくれた。うまうま。
 ジューシーである。とてもジューシーである。
 でも、巨峰は味が濃いからか喉が渇く。テーブルを見ながら「ミルクちょうらい」と言うと「どのミルク?」と聞かれた。牛乳以外を用意しているんだろうか。
 
「蛇さんのオススメは?」
「牛乳のカルピス割り」
「……はちみつ入りのミルク」
「ちょっと黄色いのが入ったのがいいんだ?」
「う、うんっ。黄色のが入った甘いみるくがしゅきぃ」
 
 なぜか冷製パンプキンスープを出された。美味しいけれど違う。ハチミツ入らしいけれど違う。
 飲み物が欲しい。このさい水でもいい。
 
「へびしゃんのいじわりゅ」
「それいい!! 録音したい」
「変態でしゅっ」
「やっぱ、半ズボンの時はそういう口調のがいいよ!! わんわん、今度からそうしよう」
「ヤですぅ」
「無表情でも声かわいいから許すっ」

 テンションの高い蛇さんにオレは自分の太ももを撫でる。
 こんな短いズボン、ズボンと言うよりトランクスだ。
 
「声と表情のギャップにテンション上がるなっ」
「きもちわるーい。変態すぎですからー」
「ケータイ片手なのがポイント高い」
 
 蛇さんは頭がおかしいと思いながら「ひゃ、やらぁ、たりないよぉ、もっとぉ、もっとちょうらい」とクッキーをおねだりする。満ち足りた笑顔で蛇さんがオレにクッキーを食べさせてくれる。うまうま。うまうま。
 
 最初は蛇さん秘蔵のBL本とかいうのを見せられて一台詞でクッキー一枚だった。
 今ではオレもわりと覚えたので読まなくても喘げるし、それなりにオリジナル台詞も言える。
 舌足らずな口調で合間合間にひんひんひゃんひゃんあんあん言っていればお菓子がもらえる簡単なお仕事だ。
 
 飼い主は安売りするなって言いそうだけれど蛇さんがくれるお菓子はわりとお高い気がする。フルーツも美味しい。
 そういうことじゃないだろうけどね。

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