もっと、わんわんはわんわんです。 | ナノ

  みゃーみゃーさんと一緒


※ちみっこわんわん


 俺はボスという名の破天荒男のペド趣味に付き合わされて、とある子供の面倒を見ている。わりと一通りの礼儀作法は仕込まれているらしいけれど何故か食べ方のつたなさが治らないらしい。
 ちょっとずつゆっくり食べさせる訓練をしろと言われた俺は冷蔵庫にある野菜を適当に炒めて出した。子供は食中毒になった。どうやら使った肉に火が入ってなかったせいらしい。ステーキのレアは良いのに豚に肉はダメなのか?
 そういった疑問に懇切丁寧に答えた上で俺も食中毒にしてくれたボスは博学で優しい鬼畜だ。
 
 
 みゃーみゃーさんみゃーみゃーさん俺の周りをグルグル回るちびっこを発育不良にさせないために栄養あるものを与え続けたらお菓子渡すの禁止令が出された。どうやら俺の真似をしたやつらがボスの前でわんわんに餌をやったらしい。そんなことをしたら飼い主が怒るのは当然だ。怒らなくったって犬に餌をやるのは飼い主に一声かけるのがマナーだっていうのに分かってない。
 撫でるのだって勝手にしちゃいけない。まずは散歩中の飼い主におうかがいを立ててから屈んでそっと優しく触れるのだ。子供は犬猫と見たらはしゃいで驚かすからダメだ。
 
 まあ、わんわんは対人恐怖症なところは一切ないけれど逆にちょっと緩い。簡単に拉致られそうな雰囲気を出している。カモにされそうというよりは抱きかかえても大声出さない気がするんだよな。子供なのは間違いないのに子供らしい煩わしさがないから小脇に抱えて連れ去りたくなる。
 
 連れ去られなくてもわんわんはマズくても毒じゃないなら出されたものを食べてしまうらしいのでそのあたりの危機感も要教育らしい。食中毒を起こす食べ物は毒だろ。「みゃーみゃーさんが汗流しながらがんばってたから……味は良いよ」とか言ってくれたもんだから俺は年甲斐もなく泣いた。弟にドン引きされたり同僚に嘲笑われながらも泣いた。「コイツに上手いもんを食わせるために俺は生まれてきたんだ」と言ったらボスは大笑いした後に「コイツもオマエも生まれてきたのはオレに会うために決まってるだろ」と言ってきて嫉妬なのか何なのかよくわからないけどちょっとときめいた。
 
 食べ物は大切だと思った俺が料理にハマって通称神様、呼称キー様に弟子入りしたのは必然だ。
 
「すごい、すごい」
「だろー? クロワッサンは神様レシピだから神様味だぞ」
「え」
「なんだ、どうした」
「かみさまが入ってるの? 食べたらかみさまなくなっちゃう??」
「グロい想像すんなよ。ローストビーフが泣くぞ」
「ビーフはうしです」
「そうです。ってことで食べなさい」
「これはどういう食べものでしょうか」
「クロワッサンサンドイッチですなぁ」
「すごいすごい」
「食べてもねえのに褒めるなよ」
「カロリー高そう」
「褒めてなかったのか?」
「おいひぃれふ」
「めっちゃボロボロ落ちてるし!! 食いながら話すなよ」
「あ、あぁ!!」
「なんだ、どうした。床にはそんなに落ちてないぞ。口元がヒドイが」
「いただきます!!」
 
 言い忘れてたなーと思いながらも俺も食べることにする。
 わんわんの言う通りこれはカロリーが高いかもしれない。バター臭がきついし。次は別のパンでサンドイッチを作ろう。

「フレンチトーストが食べたいです」
「俺はクリームチーズが食べたい」
「はちみつと混ぜて」
「クルミも入れて」
「ベーグルサンド!!」
「だなっ」

 参考、神様レシピ。


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神様が誰か分からない方はこういう情報集めたりしていると分かると思います。
特に隠していません。
(既存作品を呼んでいることが前提ではありますが)

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