やさしさをあげよう | ナノ

  3 そんな俺になんて言うんだ?


 俺はそれから二日に一回の頻度でデリヘルでユメを呼んだ。ユメはお金のことを気にしていたけれど俺といる時間が好きだからか申し訳なさそうな顔をしながらも嬉しそうな顔で玄関先に立つ。
 
 別に俺は金がないわけじゃない。ボロアパートに住んでいるのは単純に家賃の節約だ。駅まで歩いて十五分。壁の薄いボロアパートで一人暮らし。ユメは俺の聞いたことに応えるけれど俺に質問はしてこない。それは俺に興味がないわけじゃなく俺を不快にさせないようにしているらしい。
 
 仕事の給料がよくないからこんな場所に住んでいると思ってるなら何をしているのか聞きにくいかもしれない。そしてそのせいで指名してくれる人間を失うともなればユメには手痛い損失だろう。
 
 寝に帰るだけの部屋だったから俺の部屋には何もない。それでもユメが続きを読みたがった漫画の話をしたら揃えてやったり一緒に深夜アニメを見るためにテレビを買った。ユメはやっぱりお金のことが気になるようだったけれど何か言いたげな視線だけで口に出すことはなかった。俺と離れるきっかけはない方がいいんだろう。
 
 デリヘルとしてやってきているので時間分のお金はもちろん払うし時にはオプションをやったということで多めにユメにお金を渡す。
 
 何も触らないのはどうなのかと思って最初はユメに膝枕をしてもらっていた。やわらかくてかなり良かった。ただ足がすぐに痺れるらしくてユメは嫌そうだったから次は腹を枕にした。これもなかなかいい弾力。だがこれも苦しいと泣くので最終的に寝転がったユメの尻を枕にすることにした。
 
 別にユメの身体を枕にする必要はなかったけれど何かをしたいというユメの希望を叶えてやった。そして俺も割と満足する体勢だ。ユメの尻を枕にしながら脂肪の乗ったふくらはぎを揉む。くすぐったがるユメがおかしくて靴下を脱がせて足の裏を撫でたり指の間をいじった。
 
「お前本当にぷにぷにしてんな」
 
 からかうと恥ずかしがるように身動ぎするユメ。
 まったりした時間を過ごすのは中々くせになる。
 
「何か食べるのか?」
「ごめん、そういうの禁止されてるから……」
 
 あくまでデリヘルの客でしかない俺はユメと食事することも出来ない。
 ユメの時間は店でキッチリ管理されているらしく個人的に会うことも難しい。
 俺が店を通さないでユメにお金を渡せないようになっている。
 物もそうだ。ユメは決まりだからと受け取らない。だから俺の部屋の漫画が増える。ユメのためのモノが増える。
 
「田山さんに会えてよかった。……俺、こんなに良くしてもらったの生まれて初めてだ」
 
 タイマーが鳴って帰りの時間を知らせてくるとユメはいつでも泣きそうな顔をする。
 プニプニほっぺを赤くして俺と離れがたいと口にする。それがデリヘルのセールストークなら大成功。俺は仕事を片付けてユメに会うためにデリヘルに電話をかける。
 
 ユメとお客以上友達未満から友達以上にステップアップしたのは飲み会で飲み過ぎた夜のこと。いつものようにユメを指名して派遣してもらったけれど酔いすぎてつらかった。
 
 甲斐甲斐しく俺から背広を脱がせたり水を持ってきてくれたり背中を撫でてくれるユメに魔がさした。
 
 もたれかかったユメの胸の柔らかさに何を考えたのか俺はパイずりをすることを決意した。
 
「出来るかできないかじゃねえ。挑戦するかしないかだ」
「田山さん、酔ってる」
「酔ってねえよ。お前が胸を押し付けてきたから試すんだ。そんな俺になんて言うんだ?」
「……ありがとうございます?」
 
 ユメはやっぱりバカだったので素直に俺の求めに応じた。元々デリヘルに勤めているんだからエロいことが出来ないわけじゃない。殴られるよりも気持ちがいい方がユメも嬉しいだろう。そう言うといつもの微妙な顔をする。大福のような頬っぺたを引っ張ってやると泣きそうな顔をするので謝ってキスをする。
 
 結構気持ちよさそうにしているので問題ないだろうと胸を揉む。女の胸とは感触が違うがこれはこれでいい気がした。全然興奮できる。最初見た時は男以前にデブには勃たないと思っていたのに顔を真っ赤にしていっぱいいっぱいなユメはかわいい。ぷくぷくとした頬っぺたを唾液でベタベタに汚す。白い肌が赤くなっていくのが楽しい。
 
 ユメの胸と胸の間ではなく脇を舐めてびちゃびちゃにして挟み込む。二の腕の肉がいい感じに柔らかく気持ちがいい。音が恥ずかしいのか目をギュッと閉じて耐えるようなユメ。頭を撫でてやると縋るように「田山さん」と俺を呼んでくる。か細い声は俺以外に頼る人間がいないと言っているようで気分がいい。
 
 出すものを出してスッキリした後も俺は抱きしめてキスをしてかわいがってやった。ユメは俺の手で射精するのを怖がっていたけれどキスをしていたら案外早くイッた。そのことを指摘すると「意地悪っ」と拗ねたような顔をするだけで気まずさや俺を怖がるそぶりを見せない。
 
 ときどき気持ちいいことをお願いしていいかとユメに聞いたら少し考えた後ハッとしたように「そもそもそういう仕事です」と答えられた。バカで愚鈍なユメは自分がこれからどうなっていくのか気づいていないらしい。好都合かもしれない。

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