愛があまりに遠すぎる | ナノ

  肉便器なので浮気以前の問題です1


※主人公はとても真面目な肉便器です。エロというよりギャグ注意。


 道具になりたいという気持ちに共感してくれる人はいるだろうか。
 匠の手により創られた作品、一点ものの芸術品、そういったものに僕はとても惹かれた。
 初めは自分もそういったものを作りあげる創作者になりたいのだと思っていた。けれど違う。
 僕はいつしか自分もそういったものになりたいと思うようになった。

 愛されて重宝される最高の道具。
 人々を魅了するオブジェ。
 
 芸術品というには僕のスペックは高くない。
 身体は鍛えても平均より少し上程度。頭の出来も平均を上回るので悪くはないが理想とは程遠い。
 僕自身が芸術作品になるのは無理だと理解したのは小学校でキラキラと輝きを放つ人たちを見つけてから。
 
 住む世界が違う、自分では辿りつけない場所がある。そういったことを学校という集団生活の場は突きつけてくれる。僕はショックではあったけれど悲観してはいなかった。早めに自分の現実を知ることができて良かったのだろう。
 
 焦ることはなかったけれど僕はそのまま煌めく人たちと同じ中学に上がるのを拒んだ。嫌ったわけではない。むしろ仲良くなったほどだけれど僕が彼らのそばにいるのは畑違いだ。僕には僕の目指すべき場所がある。実際、そこそこのレベルの私立中学で僕は同じレベルの友人たちに恵まれた。
 
 学力も容姿も平均的。家柄だけでいえば僕は学校内でもトップクラスになってしまうけれどそれは面倒を嫌って伏せていた。そのせいか俗っぽい話題にも触れられる。本来予定していた進学先の学園は共学と言いながら男女は別校舎でほぼ関わり合いがなく男子校といって差し支えない。その上、全寮制なので話題が偏ってしまう。
 
 僕の周りには男女とも多少大人しいけれど馬鹿ではない人気者やお調子者ではない平均的な普通の人間が揃っていた。普通の人間の美的感覚は僕と重なることはなかったけれど折り合いが付けられる程度のズレだった。

 男子数人が放課後に集まって話をした。
 これがきっと僕の分岐点。

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