愛があまりに遠すぎる | ナノ

  公衆便所時代の一幕2


*笑えないギャグというかブラックな表現がちょくちょく入ります。犯罪行為や悲惨要素は普通にあります。

エロに地雷があるタイプの方は気を付けてください。公衆便所の単語で連想されそうなことは行われる場合があります。

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 肉便器のニクにフェラをさせて精液を飲ませるのが流行った。
 流行ったというよりも仏鳴がその流れを作った。嫌そうな顔や無表情で乗り切ろうとしているニクの姿が面白かったんだろう。口直しにジュースを要求するニクはメチャクチャかわいいので精液を飲ませたがるのは分かる。ジュースを飲みたいならアレしろコレしろって指示も出せるし。
 
 不思議なことにニクは嫌そうな顔や戸惑ったりするものの拒否や拒絶の言葉を口にしない。逃げようともしない。大人しく俺たちのしていることに従っている。
 
 今まで無理やり連れ込んできたオンナがいないわけじゃない。騒いで嫌がるうるさいオンナをハズレと呼ぶことはあった。逆にレイプ願望でもあるのか積極的に楽しむオンナもいたけれど薬漬けだったり失恋からの自暴自棄だったりでろくでもない。
 顔も体もいいオンナは中学生なんか相手にするわけがないし、相手にするにしても仏鳴と宵輿がメインだ。仏鳴の実年齢を誤解して入れ込んでガレージまで着いてくるオンナは意外に多い。そしてクソガキと罵りだすわけだけれど。
 
 そんなオンナたちとニクは比べられるまでもなく全く違っている。
 
 仏鳴に惚れているわけでも快楽に浸っているわけでもない。蕩けた顔で気持ちよさそうな声を上げてもそれは仏鳴の指示に従っているだけだ。自分の感情や自分の感覚から出た言葉じゃない。
 
 今日は俺の提案で動画を撮っている。カメラの前で仏鳴を受け入れながら喘がされるニク。最初の頃の痛そうな呻き声や噛みしめて漏れ聞こえる艶っぽい声もかわいかったが分かりやすくアンアン鳴いているのもいい。昔のも映像として残しておきたかったと思いながら数人の男がニクに向かって射精するのを見ていた。
 
 仏鳴が俺にかけるな、死ねと言いながら精液をニクの全身に塗り拡げる。
 かけられるのを嫌がりながら自分以外の精液を触るのは平気らしい。ローション扱いなのか。
 
 全身を精液まみれにしているニクはエロい。どこからどう見ても男で標準よりもやや小柄な体格とはいっても間違っても女顔じゃない。筋肉がついていない白い肌は制服がよく似合うとは思うが男好きな淫乱には見えない。いつものニクは敬語の少し距離のある喋り方だからか乱れている時の崩れた言葉遣いに腹の下が熱くなる。
 
「……あぁ、あっ、……ひっ、ぐぅ」
 
 前をヒネりあげられて苦しげな声を上げるニク。カメラを意識したのか仏鳴が「俺に言うことがあるだろぉ」と言いだした。そういえば録画を開始する前にニクに何かを見せていた。見回すとニクの鞄の近くにあるエロ本を見つける。
 
 学園のマドンナである巨乳のクラス委員長を不良が脅してセックス漬けにして最終的にラブラブになるというエロくて実用性の高い本。エロ本は出会って即ハメ。現実感とかなくていい。抜けるのが正義。
 
「オマエの望み通りにしてやってんだろうが、ニクちゃぁぁん?」
 
 ニクの私物なのかと思いながら読んでいたら大きく肌が叩かれる音が響く。驚いて仏鳴を見ると四つん這いにしてバックスタイルでニクを責め立てながらスパンキング。基本的に仏鳴はニクに暴力を振ることを禁止していた。調子に乗ってニクを殴って口から血を流させたやつはガレージを出入り禁止になった。
 
 ヨイコのあだ名である宵輿からもニクに対する扱いにはセーブがかかる。まだ身体が出来きっていないニクに負担をかけないように思うならガレージに連れ込むこと自体、やめるべきだがそういったやりとりを俺は見ているだけだ。ニクを抱けなくなると困る。いつの間にかニクの身体に溺れてニクなしでいられなくなっている。だがそれは俺だけじゃない。
 
 セクシャル的な魅力なんてなさそうなニクが男にひいひいあんあん言わされている光景は堪らない。
 俺とニクだと体格差があり過ぎて犯罪臭いのがものすごくそそる。
 
「……ニクちゃん? おねだりの仕方、忘れちゃったぁ?」
 
 仏鳴が自分が叩いて真っ赤にしたニクの尻を撫でる。声の甘ったるさが気持ち悪い。
 顔面は整っていて中学生に見えない成長の仕方をしている仏鳴。だが、見た目がどうであってもやっぱり所詮は中学生でしかない。
 
「これが欲しいんだろォ、雌豚がぁ!!」
 
 低い声で言い放つニクに周りは噴き出した。
 クッションをギュッと抱き込みながらニクの表情は結構真剣だ。
 仏鳴がニクになにをさせようとしたのか察して呆れた。バカだ。
 
「ニクちゃぁぁん? それって俺の台詞だよねぇ」
「そうでしたか……フライングしました」
「ここでその反応とかチョー萎えるんですけどぉ」
 
 淡々と返すニクと不満たらたらな仏鳴。
 ニクの台詞は俺が読んだばかりのエロ本の台詞だ。
 不良に犯される美少女が「好きすき、チンポ大好き」とハートマーク付きで絶叫。そして不良の名前を連呼しながら中出しをねだる。これを仏鳴はニクにさせたがっている。録画しているから後で見返して「ニクちゃん俺のこと好きなんだぁ〜?」とかやるつもりだろう。俺もやりたい。仏鳴のいないところで「俺と仏鳴のチンポ、どっちがいい?」とか聞きたい。
 
「ニクちゃんが本番弱いの知ってたけど、頭はいいでしょ〜?」
「……はい」
 
 暗記はあまりよくないと言っていた気がする。ここはニクに親切にしてポイントを稼ぐ場面だろう。
 仏鳴の目を盗んで家に連れ込んでパコパコしたい。無防備なニクを監禁したい。未だに制服姿は優等生然としていてエッチなことなんか知りませんという顔をしているニクを常時発情している顔にしたい。俺と目が合ったらチンポ勃つぐらいに調教したい。
 
「……おい、ニク」
 
 ニクの鞄の中からノートを取り出して仏鳴が望んでいるだろう台詞を書いて見せてやる。
 カンペである。
 
「やさしいっすね」
 
 何とも生温かい視線を向けてくる宵輿を無視する俺。お前だってニクが困ってたらどうせ手を貸すんだろ。
 ノートを見ながら無言のニク。礼の言葉や仏鳴に向けた台詞を放つことがない。
 
「ニク?」
「すみません、逆光? で、ちょっと、……見えません」
 
 シャーペンの文字は距離の問題もあって見えないらしい。さりげないカンニングペーパーのつもりが台無しだ。
 仏鳴が微妙な顔をしている。邪魔してしまって悪いことした自覚はあるが馬鹿なことを始めたのは仏鳴だ。悪いのは俺じゃない。
 仕方がないので太めのマジックで書いてやる。ちょっと書ききれなかったが最初の台詞が分かれば後の流れは思い出せるだろう。こういうのはお約束だ。
 
「……ニクちゃん頑張れー」
 
 テンションの低い仏鳴の声を受けながらニクが口を開いた。
 腰を動かす仏鳴に合わせて「……あっ、あぁ」とかわいい声を上げる。それに素直に興奮しつつみんなの注目はニクの台詞だ。
 
「っ、……女子がすきっ!!」
 
 全員が同時に噴き出した。
 横書きしたのが悪かったのか、俺の字が汚いからか。
 とにかく、仏鳴には悪いことをした。笑ってるが反省してる。
 
「さっすがに、萎えたわぁ……」
 
 テンション低く吐き出す仏鳴。
 宵輿が冷えたビールを渡す。飲まないとやってられねえだろう。
 溜め息を吐いている仏鳴の姿を映すカメラ班に「また、次にしようや」と声をかける。
 そもそも台詞を覚えさせるんじゃなくて、つい口から出るようにさせないとダメだってことだ。
 そのあたりの見通しが甘いというか技術がつたないあたりガキなんだろう。
 
「終わりなら帰りますね。お疲れ様です」

 服を着こもうとするニクに宵輿が濡れたタオルを渡す。 
 ニクは意外に大雑把だ。放っておいたら裸足で帰ろうとしたりするから目が離せない。
 
「ニクちゃぁぁん? そこはさぁ、俺のチンコをぺろぺろして奮い立たせるとこじゃなーい?」
「エンドレスセックスってやつですね。わかりました」

 タオルを肩にかけて仏鳴に近づくニク。
 ローションや精液で濡れている仏鳴のモノを口に入れようとするニクに仏鳴は飲んでいる最中のビールをかけた。頭からビールを浴びたニクは不思議そうに首を傾げる。小動物っぽくてかわいい。
 
「何度も言ってるっしょ。機械的にされると萎えるって」
 
 困ったようなニクが俺を見てくるのでノートじゃなくエロ本を掲げる。
 パッと開いたページがちょうどよかった。
 
「ご、ご主人様のおちんちんください」
 
 ちょっと恥ずかし気にどもりながらの上目遣い。
 ちなみに見開きページで吹き出しが大きいのでニクはちゃんと読めたらしい。
 
「……おちんちんくださいっていうのは男性器の切除を願っての言葉ですか? あれ?」
 
 自分で言った台詞の意味を考えだすニクに仏鳴が切れたのか冷蔵庫から酒を持ち出してニクに飲ませだした。宵輿がコントロールするだろうから急性アルコール中毒の心配はない。ただニクの記憶は飛ぶだろう。酔ったニクは間違いなくエロいし甘え上手のキス魔だ。台詞を忘れることもない誘い上手だが起きたら忘れているので酒は飲ませないと仏鳴は言っていた。まあ馬鹿にされた気分をメチャクチャ犯すことで振り払いたいんだろう。
 
 ニクにはエッチな勉強がまだまだ足りない。
 なかなか身につかないから生真面目な反応と酔った時の淫乱状態を楽しめる今はそれはそれでお得かもしれない。

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