ぷにぷにぽちゃん あらすじとサンプル

2015年に発行したコピー本の加筆修正版をファンボックスとBOOTHに置きました。
これは「ぷにぷにぽちゃん」のサンプルになります。


PDFの内訳(26343文字 96ページ)
・自称平凡ぽっちゃり系 ――花城蒼汰――
・自称愛情深いタイプ ――道長道中――
・自称唯我独尊俺様 ――平方宗助――
・自称普通の高校生 ――麻生田わたる――

受けと攻め×3の4人分の視点

自称平凡ぽっちゃり系 ――花城蒼汰――


 人は褒められると誰でもうれしいかもしれない。
 例外だって、もちろんある。
 たとえば自分のコンプレックスは、肯定されてもバカにされているようにしか感じない。嫌味や煽りを疑ってしまう。

 自分の嫌いな部分を褒められたって、すこしも嬉しいなんて思えない。
いつか自分の嫌いな自分を認めて、褒め言葉に礼を言える日が来るかもしれないけれど、もうしばらくオレには無理だ。
 心の底から、無理だ。

「好みのタイプ? 女の子ってかおっぱいにしか興味ねえけど――あぁ、花城ならありかも」

 クラスの人気者、麻生田わたるがトイレに行こうとしたオレを捕まえて言った。
会話の流れは聞こえていたので知っている。
 麻生田の親衛隊未満たちが好みのタイプを聞かせろとねだったのだ。

 この学園は容姿端麗、頭脳明晰あるいは運動部所属で成績を残している生徒を尊ぶ傾向にある。学園の生徒ほぼ全員が家柄が良かったり頭が良かったりするので平凡の枠組みから外れた人間に対して憧れが強い。

 親からこの家には逆らわないようになんて言い含められて入学する生徒は決して少なくない。

 目には見えないものが学園の中で『暗黙の了解』として広がっていた。大部分の生徒は徒党を組んで誰かしらの親衛隊に所属する。委員会や部活動と同じように同じ生徒に対するファン活動。それは長く学園に染みついたものだ。

 ただやはり初等部や中等部から、この学園の生徒をしていたわけではない高校から学園に入った人間には馴染みがない。

 そのため外部入学組――通称、外部生される高校からこの学園に入ってきた生徒の親衛隊の設立はすぐにはできないことになっている。親衛隊の設立は本人の許可を得て生徒会に隊員の名簿を提出して受理される。

この本人の許可を得るため、騙すようにして親衛隊を作る事例が過去に何度もあった。
そのため、まずは外部生が学園に馴染むための期間として最低でも一学期は親衛隊を作ってはならないことになっている。

 麻生田わたるは、スポーツ特待で高校から入学した外部生だ。
 高校一年の夏手前、雨と晴れとを繰り返し、まだ梅雨明け宣言がされていないそんな日にこの学園の『暗黙の了解』を破るような出来事が起こった。

「花城って色白でぽちゃっとして肉付きいいじゃん」

 クラスの人気者が平凡を捕まえて自分の好みはコイツだという空気の読めない発言。外部生だからといってもスポーツマン特有の爽やかで時に無神経な発言がある麻生田わたる。

たとえ無神経だとしても無菌室で育っているような学園の生徒たちは男らしいと感じて気にしない。麻生田の容姿が優れているせいもある。
 水泳選手として、数多くの賞を受賞し、企業からもすでに声がかけられている噂のある麻生田。

 私立の学園で全寮制男子校なので特待生は変わり種がやってくることが多い。
 麻生田がクマのような大男だったら誰も変に注目することはなかっただろう。

この学園はお金だけなら大体の生徒が持っている。
学力だって殆どの生徒が高い。だからこそ、目に見えて優れていると分かる容姿が基準値を超えると騒ぎ出す。
容姿への評価は人格よりも重視される。

 二学期になれば親衛隊が作られるのが確実な麻生田。その人気を分かっていないのは本人ばかりだ。
もし、本人が自分の人気を把握していた上でオレの名前を出したのなら最低すぎる。どれだけオレが嫌いでオレに恨みを持っているというんだろう。

人気者に好かれる平凡ほど、この学園で不幸な人間はいない。
 オレは何人もかわいそうな平凡たちを見てきた。

 そして、言いたくはないがオレは標準よりもふくよかな体型をしている。そのことで不快になるほど、強くからかわれることはないにしても容姿を基準にして人をランク付けするタイプの人間からは底辺だと思われている。
平凡どころじゃない。オレは平均よりも容姿面で劣っている。
自覚しているからこそ、目立たず、静かに生活していた。
それが、なんだこれは。

「花城ってマジ癒し系って感じ。俺、こういう子が好き」
「女の子だったらってヤツ?」

 引いた顔をした背が低く瞳が大きい女顔な親衛隊未満が信じられないと言いたげに麻生田にたずねる。
 やめろ、空気の読めない麻生田のことだ。きっといらない爆弾を投下しだすぞ。気づくんだ。触れちゃならない場所を思いっきりつかもうとしてるんだぞ、コイツは。

「あー、ってか、さっきの質問ってこの学園の生徒でって話だろ。……だから、花城蒼汰。あ、なんか蒼汰って麻生田と似てるな」
「そうだね」
「麻生田と蒼汰で、そうだね。……花城って面白い奴だな」

 どこに笑う要素があったのか知らないが麻生田はオレの背中を叩きだした。トイレに行くところだったので適当に笑って離脱しようとするが、失敗した。
 なぜか後ろから抱きしめられて持ち上げられる。

「思ったよりも軽い」

 嘘つけと頭の中で返しながら麻生田に離してくれと訴えるが無視される。クラスのムードメーカーは、クラスの大部分から支持されているからか自分勝手になりがちだ。

そういう意味では麻生田はこの学園によく馴染んでいた。
自分の顔の使い方を知っている。

 生徒会長や風紀委員長なんかの役職持ちは、当然それなりの規模の親衛隊員やファンがいるが正直言って性格破綻者だ。容姿はいい。間違いなく最高品質。

ただ見た目しか良くない場合も多い。人として癖が強すぎて知人以上になるのは遠慮したいタイプばかりだ。麻生田も同じだ。

 ものすごく性格の悪いゲスではないが、明るく元気で自分のやりたいことをやり通すという曲げない心を持っている。
 日本人なら空気を呼んで無難な態度でやり過ごすところを役職持ちや麻生田なんかは気にしない。空気を読まずに突き進む。

「誰かと付き合うなら絶対に花城だわ。花城以外ムリ」

 麻生田は自分の中で勝手に出た結論を口にしたに過ぎないがオレからすると日常生活の終わりを意味した恐ろしい言葉だ。

「実は何人かに告白とかされたんだけどさー。みんな、おっぱいないよね」
「おっぱい?」

 数人が目を丸くして繰り返す。
クラスメイトから清純派あつかいを受ける三人ほどは、顔を真っ赤にした。おっぱい自体は最初から言ってるからその反応はいまさらだが、キャラを守っている。

「男に女の子になって、なんて言わないけどさ。触り心地って大切じゃん。花城の肌って意外にきめ細かいな。指先に吸いついてくる。……触ってて気持ちいい」

 人よりもやや早めに半袖のシャツを着始めた弊害かオレの腕を麻生田が撫でる。自意識過剰かもしれないが触り方がいやらしい。
 わざわざオレみたいなぽっちゃりに本気で手を出してくるはずもないから男同士のからかいなんだろう。

 麻生田は外部生で男同士の恋愛に興味がない。だから「誰のモノにもならない」というためにオレを言い訳に使った。

 自己評価を低くしたいわけじゃない。だけど『普通の男』は範囲外って表現するために利用するなら、オレはうってつけ。
 ぽっちゃりに、いや、あえてデブと表現しよう。デブに人権はない。ふくよかであるというだけで、食べることが好きな意志薄弱で高カロリーな食べ物が大好きだと思われる。


(略)




自称愛情深いタイプ ――道長道中――


 大切なものを手に入れるために手段を選ぶのは、二流のすることだと道長家の家訓にある。大切なものを手に入れることなく諦めるのは家の教えに反するのだ。
 欲しいなら取れる手段は全てとって手に入れなければならない。愛や欲望はそういうものだ。

 道長道中というおよそ平凡とはかけ離れた名前は、道長の家が俺で終わることなく続いていくという意味らしい。

 友人である同級生の平方宗助には「途中」なんて呼ばれている。全然嬉しくない。
 俺の大切なものである、花城蒼汰は控えめな性格と押しに弱いところがある二歳年下の男の子だ。

 出会いは俺が五歳の時だから蒼汰は二歳。
 コロコロと転げて俺の腕の中に納まった蒼汰。
 ふくよかなせいなのか身体のバランスが取れずに転びやすい子供だった。それが恥ずかしいのか、白い肌を赤く染めて目を伏せる姿はもっと見ていたいと思わせるほど魅力的だ。

俺はあの手この手で蒼汰に近づき、傍にいることにした。道長の人間として当たり前のことだ。

 大切なもの、欲しいもののために手段は選んだりしない。
 努力が実って心を開いてくれた蒼汰は、年相応に悪態や愚痴を口にする。
見た目が大福や雪で作ったウサギのようだけれど、蒼汰は人間だった。その人間らしさを見せるのは俺にだけ。

内弁慶気味で他人にハッキリと自分の意見を口にしづらいと思っている蒼汰。かわいい。すごいかわいい。蒼汰以上の存在は何処にも居ないに決まっている。

 ふくふくとした頬っぺたを舐めたり、食んだり、突いたり、やわらかな二の腕にキスマークを付けて俺のモノだと主張してみたり。

わりと分かりやすいアピールをしているのだが、蒼汰は俺からの行為に好意を感じても恋慕を察してはくれない。
最終的に撫でたりさすったりするだけじゃなく、蒼汰の中に挿入したいという欲望を抱えていると分かっていない。


(略)



自称唯我独尊俺様 ――平方宗助――

 オレは年下の幼なじみにあたる花城蒼汰の乳を揉んでいた。嫌がるように身動ぎをする蒼汰に「ちゃんとプリントの項目を埋めろ」と指示を出す。
 こうなったのは蒼汰の自業自得だ。

 麻生田にビシッと別れを言いださないせいで親衛隊として形になる前の生徒から制裁もどきを受けた。

 親衛隊が申請したのちに警告後の制裁は学園として認められている。
 理由は簡単だ。親衛隊は、風紀委員や学園の警備員だけでは手が回らない人気者たちの護衛の側面がある。
 制裁というと無暗に裁きそうな気配があるが、基本は親衛隊として守る人間へのガード。口頭注意が基本で、過剰なことはしない。

被害を与えそうな不審な行動をとる生徒に対して警告。それを聞き入れられないと最終的には自主退学を勧めることになる。
 以前は性格の悪い親衛隊長が、それほど悪くはない生徒を制裁して、退学や転校をさせていたらしい。

今はそんなもの流行らない。今のトレンドは正しい親衛隊の在り方だ。好きな人の役に立ちたいという気持ちを前面に出した親衛隊。

 それでこそ親衛隊、さすがはどこそこの親衛隊は優秀、と持ち上げられるプラスの噂が広がってこそ。
あそこの親衛隊と関わらないほうがいいと噂されるようでは、親衛隊として間違った、失敗集団だ。

 その点で言えば、麻生田の取り巻き達はダメなバージョンだった。
 あれではいい親衛隊にはなれない。
 自己中心的な自分の気持ちを押し付けるやり方は色んな方面に反発を呼ぶ。
 もちろん、麻生田自身の立場も悪くなる。
 好きなら自分たちの評判には、気を配るべきだろう。

「……っ、あ、ぁ、……ン、ぅ」

 かわいい声で喘ぐ蒼汰に満足しながら、オレは蒼汰の乳首を引っ張り上げる。
本当は服越しじゃなく直接指で刺激をしたい。
 それをすると蒼汰が書類を書く手を完全に止めるだろうから、服の上からだけ、刺激する。


(略)


自称普通の高校生 ――麻生田わたる――は抜粋サンプルはナシ


ちなみにガッツリエッチはありません。
全年齢です。セクハラはあります。


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