俺の彼氏がいちばんかわいい | ナノ

  6【完】


 枕の上にタブレットを置く。
 動画の中で俺は荒い息をついている。
 たぶん、寝ているのでしっかりとした喘ぎではない。
 
「ケツあげろ。……後ろからするの、はじめてだ」
 
 俺は反射的に腰を上げて尻たぶをつかんで挿入しやすいように小海烏に穴を見せつける。
 挿入を待つようにヒクつく後ろの穴は排泄に使う場所ではなく、すでにペニスを受け入れる性器だ。
 ゆっくりと小海烏のペニスが入ってくる。その感触に漏らしてもまだ残っていたらしい尿がすこしだけ押し出される。
 布団の汚れより気味悪がられないか、そればかりが気になった。
 
「後ろからが初めてもなにも、エッチ自体が初めてだ」
「はあ? 一回起きたじゃねえか」
「ふえっ、あっ、あぁ、うごかないでっ」
「俺のちんぽ締め付けといて動くなはねえだろ」
「だって」
「俺は気持ちいい。常葉も気持ちいい。……で? 何が問題だ。何も問題ねえだろ」
 
 尻をばしんっと叩かれて「別れる理由がどこにあった?」と言われる。
 そう言われるとどこにも理由が見当たらない。
 後ろから責めるように腰を打ち付けられる。
 角度のせいか激しい動きなのに骨と骨が当たったりしない。
 
「気持ちが良いとすぐに身体から力が抜けるとか、えろいけど心配になる」
「エッチなのはカラスだ! カアちゃんがこんなっ」
「俺の毎日の努力が常葉を骨抜きにしたわけだけど、アナニ―しまくってんのは俺じゃ足りねえの」
「ちがっ、ちがう。俺の身体がおかしくって」
 
 一生言わないでおこうと思っていた襲われた悪夢を小海烏に告白する。
 恋人が性被害にあって平気でいられる人間はいない。
 だが、小海烏は溜め息を吐いたあと俺の尻を思い切り叩いた。
 痛いのに気持ちが良くて射精せずにドライでイッた。
 
「だから、それは俺だっていま話してるだろうが」
「いまっていつ?」
「俺が常葉を俺専用にずっと仕込んでたって話してんだろ。そもそも合鍵は俺しか持ってねえんだから俺以外の誰がこの寝室に入ってくるんだよ。俺は常葉を俺以外に触らせるなんて許さねえから」
 
 合鍵の話をされてそういうえばそうだと納得する。
 
「深夜に忍び込んでたのはえろいことするためってより浮気防止だけどな。変な奴を連れ込んでたら叩きだすつもりだった」
「カラスがいるのにっ」
「風紀委員長は違うって言っても常葉のまわりは害虫ばっかりだからな」
「部屋掃除ちゃんとしてるのに!?」
「害虫駆除も彼氏の仕事だからな」
 
 害虫と呼ばれる虫は夜に活発に活動するものが多い。
 わざわざ虫嫌いな俺のために動いてくれていたのは知らなかった。
 自分が思った以上に愛されていることに感動する。
 
「噂を確かめるために寝てる常葉に手を出したのは卑怯だったな」
「うわさ?」
「親衛隊とヤリまくりっていうやつ。まあ、ただのストーカー集団みたいだけどな。常葉のココは未開発だったし」
 
 ココと言いながら勢いよくピストン運動をする小海烏。
 
「えろい道具いっぱい持ってるから百戦錬磨なのかと思ったら手つかずだったから興奮するよな?」
「あっ、あぁっ、あ、だめっ、ちがう!」
「なにが、違うって?」
「俺がつかうんじゃない。カラスに、カラスのために」
「うんうん、ありがとうな。俺が使うためにローションとゴム補充してるとかスゲーかわいい。常葉マジえろい」
 
 背中にキスをされる。
 
「録画してたの見て、今の自分を見て、俺と常葉が別れる理由がどこにもないの、納得したか」
「あ、あぅ、動画、とちゅうから、見てなかった」
 
 後ろからガンガン突かれる刺激と会話に必死になってタブレットを見ていられない。
 謝る俺に「明日、テレビ寝室に移動させて見ながらやろうな」と提案する小海烏はかわいかった。
 振り向いて見た小海烏は汗をかきながら気持ちよさそうな顔をしている。
 
 恋人として俺が小海烏を気持ちよくさせないといけないと思った。
 挿入される側の方が慣れれば快楽が強いと聞いたから俺が小海烏に入れるのだと考えて焦っていた。
 けれど、本人が言う通り、小海烏は俺に挿入していて十分に気持ちがよさそうだ。

 それならそれでいいやと肩の荷が下りるように受け入れた。
 俺の身体で気持ちよくなってくれるなら細かいことはどうでもいい。
 
 
 翌日に俺の抱えていた「カラスに挿入できなくてごめん」という話は「かわいいから許す」の一言で終わった。
 別れることなくカラスと居られて俺は世界で一番の幸せ者だ。
 
 
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お読みくださって、ありがとうございます。

あっさり気味に完結。


カラスが指が一本も入らない未使用な常葉のアナルを解して開発していく流れを最初入れようかと思いましたが、蛇足すぎるのでカット。

短いですがちょうどよくまとまっていると思っています。(唐突な自画自賛)
もっと読みたいとか気になることがあるとかはコメントいただけたら考えます。
好きな話なのでエロエロでもほのぼのラブラブラブでも続きを書く気があります。

エロ要素増し増しで、
下記のネタが苦手でしたらオススメできない話になっていきますけれど。
乳首責め、調教、自慰、睡姦、スカ、絶倫、攻め好きの受け、精神的SM。
私の好きないつものセットみたいな感じですね。

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2017/07/02

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