俺の彼氏がいちばんかわいい | ナノ

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「常葉の身体はどこもかしこも気持ちいいっての」
 
 
 言いながら服を脱がされた。
 変態としか言えない貞操帯がついた下半身が露わになる。
 情けない姿に震える俺をうつぶせに寝かせたかと思ったら尻のあたりを踏んできた。
 ディルドを尻の奥に入れるようにつま先をぐりぐりと動かす。
 
「こんなえろい身体になってるくせに別れるとか馬鹿だって」
「でもぉ、おれだけが、きもちよくなっちゃう、ごめん、カラスっ」
「どんだけかわいいんだっての」
 
 俺の尻から足をどけた小海烏は貞操帯を外して、ディルドを抜いた。
 急に入っていたものが抜かれ、粘膜が刺激されるというか、尻の入り口がめくりあがるような感覚に思わず俺は失禁する。
 いつも自分のタイミングでゆっくりと抜き差しをするので小海烏にディルドをとられて身体が誤作動した。
 とめようにも尿はとまらない。
 絨毯に染み込んだら大変なことになる。
 そう思っても俺は動けない。自分の体を見ていることしかできない。
 不甲斐ない俺の代わりに小海烏が自分のシャツを脱いでフローリングに広がる俺の小便を絨毯に行かないようにせき止める。
 謝りながらなく俺に小海烏が逆に謝ってくる。
 
「フローリング冷えるしな。こんなとこに転がして悪かった。部屋に戻ってまだ一回もトイレ行ってなかったし。気にするな」
 
 乱暴に頭をなでて俺を励ましてくれる小海烏は格好いい。
 身長は俺の方が高くても座っている今、俺が見上げることになる。
 情けなさ指数が上昇していくのを感じる。
 
「そんな顔すんな、常葉」
「俺はカラスに気持ちよくなって欲しい」
「はいはい、恥ずかしいヤツ。いつも気持ちいいっての」
「いつもって何」
「いつもはいつもだ」
 
 玄関のところに置かれたカバンの中から小海烏はタブレットを持ってきた。
 操作して見せてくれたのは動画だ。
 薄暗くて分かりにくいと思ったら音量を上げてくれた。
 どうやら俺の寝室の風景らしい。
 声はたぶん俺だ。
 先ほど言っていたようにカアカア喘ぎながら裸でベッドの上にいる。
 声がとまったと思うとぐったりとして俺と思しき人物は動かなくなる。
 扉から誰かが入ってきた。
 そして、足を縛り、腕を縛り、俺の中からディルドを抜いて身体をタオルでふいてくれる。
 俺に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのは間違いなく小海烏だろう。
 
「なんで縛ったんだ」
「手足がバラバラに動くと挿入しにくいし、俺の趣味だ。……M字開脚好きだし、脇とか舐めたいから腕は上げさせたい」
 
 知らなかった恋人の性癖に少しだけショックを受ける。
 
「寝てる時にしなくても」
「起きてると恥ずかしがって逃げるだろ」
「そんなことは……」
「乳首いじって勃起したら逃げんじゃん」
「エッチするわけじゃないのに勃起したら隠すだろ。普通」
「勃起したらえろいことするだろ、普通」
「……いや、違う。そもそも俺がカラスを気持ちよくさせられないって話であって」

 そう主張する俺の前でタブレットで再生されている動画はまさにエッチをしていた。
 小海烏が寝ている俺に挿入している。
 目を見開いて驚く俺に小海烏は「気持ちいいって」と笑う。
 タブレットを床に置き俺の後ろに回り込む。
 俺は過去の寝室の映像らしい動画から目が離せない。
 動画の俺が胸をいじられていると思ったら現在の俺も胸に刺激を感じて声を上げる。
 後ろから小海烏が俺の乳首をつねっていた。
 
「乳首いじりながらピストン運動してたから、乳首いじるとちんぽ欲しくなるだろ」
 
 無意識に首が縦に動く。
 腰のあたりに勃起した小海烏のペニスが押し当てられる。
 ディルドを抜かれて物足りなくなっている後ろに入れてほしい。
 
「寝室移動するぞ」
 
 うながされるままに俺は小海烏と寝室にむかう。
 別れ話は流れ去っていた。
 
 
2017/07/02

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