俺の彼氏がいちばんかわいい | ナノ

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 小海烏との初エッチに備えて俺は風紀委員長の助言をもとに必要な道具をそろえた。
 痛くさせないようにとローションやコンドームだけではなく後ろの穴を拡張するためのアナルプラグやアナルパール。
 いずれは手を出すかもしれないので尿道責め用の道具も一式購入した。
 小海烏が嫌がれば手を出さないが興味があるというなら突き進めるようにしておくのが気の利いた男のすることだ。
 そう思って寝室の片隅にエッチに使う用の道具をまとめていた。
 
 小海烏には生徒会長である俺の部屋に出入りできるように合鍵を渡している。
 付き合いを公表していないので俺の部屋に小海烏は泊まらない。
 さみしくはあるが消灯時間として定められている二十二時前には自室に戻る。
 それでも、同室者がいないとか翌日が休日な時は別だ。
 
 二人でソファでくっつきながらテレビを見たりして、同じベッドで眠る。
 同じベッドで寝ていてもキスと抜き合いから進まない。
 挿入に心構えが必要なのは風紀委員長から再三聞いているので焦ったりしない。
 待つのが格好いい男だ。
 
 そんなことを思っていたからか落とし穴に突き落とされた。
 
 
 夜中に目覚めると誰かが俺の上にのしかかっていた。
 驚くことに身体は動かない。
 オカルトな金縛りではなく物理的に手足を拘束され、目隠しをつけられていた。
 足は折りたたんだ状態で縛られているので俺の上にいるらしい相手を蹴り飛ばすこともできない。
 無様に足を開いて下半身を晒す。
 手は頭の上で両手を動かせないように包帯のようなもので縛られた。
 ギブスで固定されているような強固な拘束っぷりだ。
 口は封じられていなかったが俺が叫ぼうとしたのを察してかタオルのようなものを入れられた。
 
 そして、誰とも知れない相手に犯された。
 
 小海烏が泊まっていない日でよかったと思う一方で情けなかった。
 なす術もなく他人を受け入れてしまう身体がショックだ。
 
 何時間経ったのかは分からない。
 気づいた時には拘束はとかれ、誰も居なかった。
 犯され続けて気を失ったのだろう。
 
 悪い夢を見たのだとは思えなかったのはエッチグッズ置き場の真新しいはずのローションやコンドームが減っていたからだ。
 確実に俺以外の人間が寝室に侵入していた。
 俺が小海烏に使うつもりだったローションで俺を犯した。
 
 傷ついたが俺はそれを忘れることにした。
 犬にかまれたようなものだ。
 俺が好きなのは小海烏であり、それは誰かに犯されたといっても変わらない。
 愛にかげりはない、はずだった。
 
 いつものように俺の乳首をを吸う小海烏。
 俺の身体の反応はいつもと違っていた。
 思わず声が出そうになり、激しく勃起した。
 
 適当に言い訳をしてトイレに駆け込むと問題が勃起ではないことに気づく。
 後ろがうずいて仕方なかった。
 なかったことにした忘れるべき夜の残滓。
 襲われた後遺症のようなものが俺には残っていた。
 務めて考えないようにしていた自分の身体の反応。
 
 俺は無理やり犯されたにもかかわらず何度となく絶頂した。
 誰とも知らない相手に気絶するほどの快楽を与えられた。
 それは絶望だ。
 自分の体に幻滅する。
 
 小海烏が好きなのに身体は犯されたがってうずいている。
 勃起したペニスをこすっても気持ちいいが射精できない。
 乳首を指で転がしながら穴に指を入れると頭の中が真っ白になるほど気持ちよかった。
 トイレの中で恋人に隠れて歪んだ性欲を処理している。その後ろめたさを自覚しながら指が止められない。
 
 自分のおそるべき性癖を受け止めることが出来ず俺は小海烏を微妙に避けるようになる。
 乳首を吸われるとスイッチが入ったように後ろがうずくのでさり気なくやめさせる。
 かわいくねだってくる小海烏を止められないときは貞操帯とアナルプラグをつけるようにした。
 
 乳首を吸われてペニスが反応しても貞操帯のおかげで外からは勃起しているように見えない。
 無理矢理押さえつけているのでペニスにダメージがいくし、つらい。
 けれど、小海烏が俺の乳首から離れたくないと駄々をこねる姿はかわいい。
 俺の乳首は自分のものだと主張する小海烏以上に重要なものはこの世にない。
 人に甘える小海烏というのは稀なものだ。
 カモメと呼ばれて運動部の助っ人として活躍して人から頼まれごとばかりする反面、小海烏は他人を頼らない。
 
 俺の乳首は俺のものだが、かわいい恋人が吸いたいというならいくらでも吸わせたい。
 乳首を吸われ続けてお尻に刺激がほしくて落ち着かなくなるのはアナルプラグで紛らわせる。
 最初から穴にモノを入れていれば、何かを入れたいとは思わない。
 力を入れたり、少し座り方を変えるとアナルプラグが前立腺を刺激する。
 貞操帯により勃起できないようになっているので射精せずにイクことを覚えてしまった。
 
 小海烏のために購入した道具を自分に使うのは最低だったが恋人同士の甘い空間を壊したくなかった。
 誰かに襲われたことなど俺たちの間には関係ない。
 好きな相手とのことじゃないならノーカウントだ。
 
 それに俺が小海烏に挿入するのだからあらゆる意味であの日のことは忘れるべきだ。
 そう思っていた。
 思い込むことで気持ちを落ち着かせていた。
 
 結局はダメだった。
 最初から破綻していた。
 俺は最低の淫乱で小海烏には相応しくない。
 
 
2017/07/02

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