6【完】
なんと電車の脇にあるボタンを押すと扉が開いた。
ホームに停車しても扉が開かないのでどうするのかと思ったら小海烏は当たり前にボタンを押して外に出た。
最初は普通に扉が開閉していた。
途中からシステムが変わるなんて説明されていない。
電車は日常的な交通手段でありすぎるせいで初心者に優しくないのかもしれない。
知らない俺がおかしいという電車からの嘲りを感じる。
無機物に無言で罵倒される俺を支えながら小海烏は駅から出た。
駅員が見当たらないので無人駅なのだろうがトイレもなかった。
人が下りることを想定していない作りなのか自販機もない。
嘘だと思っていたら小海烏は森のような場所に歩いていく。
鬱蒼と生い茂る木々は時間感覚を麻痺させる。
まだまだ昼間だったはずが森に入ると一気に夕方の気配だ。
俺たちが長々と電車に揺られていたのではなく太陽の光が届かないほど、せまい間隔で木が生えている。
ここまで暴力的な自然と俺は触れあったことがない。
森に対する感動よりも先にお腹が限界を訴えた。
ぐるぐるきゅるきゅると異音を発する俺のお腹はもう限界だ。
トイレもない、人目もないときたら、選択肢はひとつかもしれない。
小海烏が何も考えずにここまで来るわけがない。
「俺が見ている前でするのと俺だけ先に帰るのはどっちがいい」
見ると真剣な顔をしていた。かわいく微笑んだりせず俺に選ばせようとする。
どこかで俺を疑っているからこうやって試すようなことをするんだろう。
かわいい小海烏が実のところ残酷だなんて知っている。
でも、かわいいんだから仕方がない。
容赦がないのは彼氏である俺に甘えているからだ。
酷いと思っても許してしまう。
俺は小海烏の手をつかんだ。
安心したように喜びを隠しきれない小海烏の明るい表情。
それはとても愛らしい。
本当は見られたくない。流され続けてここまで来ている俺にも羞恥心はある。
電車の中で全裸でいたのだって逃げ出したいほど恥ずかしかった。
けれど、どんな扱いを受けることになっても俺は小海烏が好きなのだ。
俺にかわいく笑いかけてくれる小海烏に気持ちが満たされる。
好きな相手を喜ばせるために多少の無茶はよくあること、そう思ってしまう。
自分が惨めで気持ち悪いと思う気持ちもある。快楽を求め続けて浅ましいとも思う。
いくつも浮かぶ俺の心の中の否定より強いもの。
「常葉はかわいいな。そんな泣きながら、俺の手を離さないなんて」
恍惚とした小海烏に俺の身体は快感で震える。
欲に濡れた瞳で見られている。それに悦びを覚えていた。
気持ち悪いと突き放すどころか小海烏は俺の姿に興奮している。
嬉しくて手を握る力を強めてしまう。
俺は毎日いろんなものを失っている気がするが、同時にきっと得てもいるんだろう。
具体的なものは何も見えてこないが少なくとも俺は小海烏の愛を日々手に入れている。
それは間違いないはずだ。
小海烏の手をつかみながら腹部に力を入れてゆっくりと排泄していく。
思った通りに出てくるのはほぼ水。
排泄の解放感に口が半開きになる。
ガスが発生しているのか大変恥ずかしい音が響き渡る。
他の誰でもないかわいい彼氏に聞かせるものとしてあってはならないものだ。
泣きだす俺の頭を撫でて「えらいえらい」と口にする小海烏はとても優しい。
すでに電車の中ではないけれど、かわいい子に自分のペニスを握らせるような痴漢行動を俺はしている。
人に聞かせるべきじゃない排泄音をこの世で一番聞かせたくないかわいい彼氏に聞かせている。
最低で最悪なのにその時のキスは今まで一番気持ちよかった。
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お読みくださってありがとうございます。
結構大胆な感じですが、目的は精神的調教。
常葉がどこまで許容するか、どのぐらい押したら次のステップに進むかなんかをカラスは見ている感じです。
ドS鬼畜野郎で変態趣味ですが常葉が完全拒否なら実はそこまでハードプレイをする気はなかったり。
常葉がOKっぽいから調子にのっちゃっています。
ラブラブってことですね。
次回は青姦(野外露出)とかがメイン?
電車は行きと帰りとあるので「チカンの件について2」も予定しています。
読まれた方は下のアンケートで「俺の彼氏がいちばんかわいい」に投票いただけると嬉しいです。
2017/08/09
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