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一リットルのペットボトルを挿入するのは難しい。
だから、かわいい彼氏が俺に望むのが難しいことじゃなくて良かった、そう思うべきだ。
小海烏に支えられながら全裸でペットボトルの水を飲む。
俺の方が身長があるのでもたれかかると押しつぶしてしまうのではないかと危機感がある。
だが、小海烏はビクともしない。
余裕があるのか俺のわき腹を撫でてくすぐってくる。
飲み損じてこぼしてしまいそうになる。
「これだと全部飲み終わる前に次の駅に着いちまうかな」
「悪い……」
元々、飲み物をぐいぐい飲むタイプじゃない。
乗り物に酔ったような気分の悪さは一口二口で解消されたが、全部を飲もうとすると途端に苦しくなる。
小海烏は俺を責めることなく頭を撫でて「よしよし、まあこんなもんだろ」と笑ってくれた。
悪巧みをしているような顔だったが俺の目からするとかわいい。
冷房の寒さに鳥肌が立っていることも忘れて見惚れてしまう。
「車内放尿とかはまた次の機会だな」
言葉が頭に入ってこず俺は首をかしげるが「またデートしよう」と言われて舞い上がる。
いろいろと大失敗して大失態続きな俺と出歩くのを嫌だと思わないでいてくれた。
次のデートの約束に嬉しくてうなずいていると小海烏はタオルを電車の床に敷いた。
「常葉、ちょっと四つん這いになれ」
意図するところが分からないが小海烏の言う通りにしないと服を着れない。
やりたいことを一通りしてからじゃないと一段落にはならないものだ。
疑問しかなかったが四つん這いになる。
「マジ、常葉素直でかわいい」
格好としておしりに何かを挿入するのだろうと思ったが、入ってきたのは予想外のものだった。
細いものが差し込まれるようにはいったと思ったら冷たい液体が注がれた。
ほぼ間違いなく俺が飲みこれなかったポットボトルの中身だろう。
瞬間的に思ったのが炭酸でなくてよかったということ。
こんな外で下から水を入れられるのは異常だが、耐えられないことはない。
アナルプラグを栓がわりに入れられ小海烏に手伝われながら服を着る。
冷や汗を浮かべて腹をおさえる俺の背中を撫でながら「腹がぐるぐるいってるとさすがに萎えてるな」と下半身を膝で蹴るように触る。
俺を支配していた射精感は消えて排泄欲求に身体が悲鳴を上げている。
腹部が膨らんでいるように感じるのは気のせいだろうか。
言葉を発するのも苦痛になりつつある俺を小海烏はガッツリと抱き支えた。
脱糞する可能性が十二分にある俺とこんなに密着してくれる小海烏は優しい。
「出るのはただの水かもしれないけど俺の前で出して見せろよ」
駅で降りてトイレでこっそりとはいかないらしい。
恥ずかしいので拒絶したいが「楽しみ」と無邪気に笑う小海烏がかわいいので俺はたぶん従ってしまう。
2017/08/05
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