俺の彼氏がいちばんかわいい | ナノ

  2


 何が何やら分からない内に手を引っ張られてトイレの個室に押し込められた。
 風紀委員長は小海烏が腹に一発パンチして沈んだ。
 体格差を無視した戦闘能力は圧巻の一言。
 どうして風紀委員長が殴られたのかと疑問はあるがそれより問題は痴漢についてだ。
 
「カラス、痴漢されたことある?」
 
 たずねる俺を無視して背後にまわり、壁に手をつくように指示を出す小海烏。
 ベルトが外されたかと思うとズボンを下げられた。
 一週間のおしり休憩中につき俺は自分で後ろをいじったり、何かを入れるのを我慢している。
 小海烏とキスをしてむずむずしてしまっても耐えていた。
 
「いじめられたくてうずうずしてんのか?」
「カラスと話してムラムラはする……」
 
 つい本音を漏らす俺の尻を小海烏は叩いた。
 個室とはいえトイレの中で叩かれれば音が出る。
 布越しの打撃はなぜか衝撃的だった。
 
「常葉はかわいいこと言うよな」
「真面目な話だっ」
「……チカンねえ。風紀のアホみたいに笑う気なら常葉でもいじめたくなるんだけどな」
「笑ってない! 真剣に痴漢についての話をしようと」
「だよなあ。常葉は俺が心配なだけだもんなあ」
 
 お尻の穴を小海烏がぐりぐりと押してくる。
 ボクサーパンツの伸縮性が呪わしい。
 下着の布越しに小海烏の指が侵入してくるのが分かるのに布があるからこそ奥までは来ない。
 前立腺をこすられたわけでもないのにペニスが硬くなっている。
 
「腰を突き出してきて、叩かれるのを期待してんの?」
 
 穴責めをやめて尻を両手で揉まれる。
 顔を左右につねられるようなノリで尻を横に引っ張られる。
 下着越しなのに直接触られるよりもエッチな気がした。
 完全に脱がされたら見つめられる恥ずかしさに手の感触などわからなくなる。
 今は下着をつけているのでいつもよりも恥ずかしくはない。それが逆にエッチな気分を盛り上げる。
 
「俺の話より常葉だろ。こんなエロい身体して、電車に乗れんのか」
「実はその、乗ったことがない」
「電車に? ド田舎出身でもないだろ?」
「車移動が中心だったから縁がなかったんだ。飛行機は乗っても新幹線は一回あるかないかで、在来線はゼロだ」
「電車乗って遠出するか」
 
 デートの誘いを口にしながら小海烏は俺の尻を揉む。
 完全に勃起したペニスを庇うように前かがみになると後ろにいる小海烏に尻を押しつける体勢になってしまう。
 
「常葉はわかってねえだろうけど、俺より常葉のが痴漢されるぞ」
「嘘だっ。なんでだ?」
 
 どう考えても誰が見てもかわいい小海烏こそが痴漢被害者だ。
 こんなにかわいいのだから、被害に合わないわけがない。
 
「絶対、触るならカラスだろ」
「俺のこと、そんなに触りてぇの」

 からかう声の意地悪さがわかっても俺はうなずいてしまう。
 かわいい小海烏に触れたい。
 後ろ向きだと小海烏を見れないので心細いような淋しい気持ちになる。
 トイレの個室という狭い空間なので気配でいるのはわかっても、痴漢の話をしているせいで後ろにいるのが小海烏ではない想像をして微妙な気分になった。
 
「知らないおっさんに乳首ぎゅーっとされても常葉はひんひん言っちゃうだろ」

 急に乱暴にシャツの上から乳首をつねられた。
 身体を支えられず壁に頭突きする。
 
「イッちゃったか……」
 
 ボクサーパンツに盛大なシミが出来ていた。
 下着の中は精液でぐちゃぐちゃだ。
 
「身長で考えると俺より常葉にちょっかい出した方がおっさんも姿勢が楽だ」
「カラス以外に触られたくないっ」
「常葉はホントかわいいこと言うよな」
 
 優しくシャツの上から乳首をなでるられる。
 刺激としてあまりにも頼りない。
 爪を立てられたりシャツの中に手を入れて直接触れられたい。
 尻に感じた羞恥心は乳首に対してはないらしい。
 
 興奮の度合いが高まるほどに恥ずかしいと思う気持ち自体が失われるのかもしれない。
 部屋の中ではないのに服を脱ぎたくなってしまう。
 
「また勃った?」
「カラスが触るから……」
「俺のちんぽじゃなくてオモチャで遊ぶ淫乱アナルの常葉は俺の指じゃなくても感じちゃうのか?」

 意地悪な言い方をする理由は俺が小海烏にエッチをしようと言い出せなくてついディルドで欲求を晴らそうとしたからだ。
 おしり休憩が言い渡されたのはちょっとしたお仕置きだ。
 ディルドよりも恋人のほうがいいに決まっていてもかわいい小海烏にはなかなか切り出せない。
 小海烏にエッチをしたいなんて話すのはセクハラおやじみたいだ。
 それこそ、痴漢を働いている気がする。
 
 
2017/07/12

prev / next


[ アンケート ] [ 拍手] [俺の彼氏がいちばんtop ]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -