ひとめぼれから男前を監禁したら嫁になってくれた

「一周年記念単語リクエスト企画」
リクエストされた単語はラストに掲載。
先に知りたい方は「一周年記念部屋、単語リクエスト企画」で確認してください。

※受け視点を踏まえた上でのリクエスト消化になります。


ヤンデレファン×子役上がりアイドル兼俳優


--------------------------------------------

 藍澤(あいさわ)小晴(こはる)を知ったのは駅にある特大広告が目に入ったからだ。
 メチャクチャ格好良かった。
 無視できない存在感があった。
 
 きっと今まで吊り革広告で何度も見ていた。
 それなのに気づかなかったのは間違いなくおれの落ち度だ。
 小晴をすぐに見つけてあげられなかった。
 だから、小晴はおれに気づいてくれない。
 
 
 小晴の写真に衝撃を受けたおれはその場から三時間は動けなかった。
 写真がアルバムとライブの告知だと気づくまで二時間かかった。
 小晴に目を奪われて文字情報が頭に入ってこない。
 強烈すぎる刺激におれの股間は勃起していた。
 手招くような見下ろすような絶妙な体勢と表情の小晴に欲情した。
 
 月額でエロ動画を見放題にしていて、アダルトビデオもイメージビデオも大量に持っていた。
 ある程度の金額をエロいものにつぎこむのが大人だと思っていた。
 酒もギャンブルも興味がないのでおれはエロ本を買うしかなかった。
 子供と大人の違いは股間を満足させる新鮮なおかずを手に入れられるかどうかだ。
 恋愛はバカのすることで風俗通いも愚か者のすること。
 自分のリズムで自分だけで処理する方が気持ちが良いに決まっている。
 そんなおれの考えを小晴が打ち砕いた。
 
 病みつきになると有名な究極のオナホールより小晴がわらび餅のきな粉でむせて涙目になっている姿の方が魅力的だ。
 実際の股間への刺激よりも小晴を見て受ける脳への刺激の方が強い。
 意外に小晴はバラエティに出ていて体を張る企画にも挑戦していた。
 全然ご飯を食べられずに気持ち悪そうに口元をおさえている姿などエロスの権化だ。
 マラソンを走りきって倒れ込んで荒い息を吐き出している映像は十八禁でしかなかった。
 
 今まで放送している各局のテレビ番組を録画、収集している知り合いから小晴のデータをもらう。
 膨大な量があったが小晴以外がしゃべっている無駄なシーンも多く編集は骨が折れた。
 声変わりする前の小晴は声優としてCMに参加していることも多いようで見逃しかけた。
 小晴がいない番組でも小晴の話題が出たシーンを見る。
 ラジオで暴露という形で小晴の話をする芸能人は多かったがどれも場を盛り上げるための嘘だ。
 
 どうして嘘だとわかるのかといえば小晴は処女だからだ。
 小晴はバイだとか枕をしているとか同じバンドグループの人間すら笑いながら口にするが有り得ない。
 十代前半の小晴が起こしたとされる暴力事件も何もかもがおかしかった。
 
 調べていっておれは小晴が処女だと確信した。
 男女関係なく枕を持ちかけられて小晴は断った。
 無理矢理に逃げたりして、それが事件という形で世間で伝わったり、枕を断ったせいで嫌がらせで干されたのだ。
 それでも、小晴は世間から愛されていたので冷却期間の後に再ブレイクの形で戻ってくる。
 
 汚い世界の中に綺麗な小晴がいるのはあまりにもかわいそうだ。
 
 男も女も知らない清らかな小晴は逆にとても性的で守ってあげたいのに襲いたい。

 ライブで目があったのに小晴はおれの家に来ない。
 写真集を買う時に手を握り合ったのに小晴はおれの下に来ない。
 そろそろ小晴もおれに気づいてもいいのに新人女優のせいで視聴率が望めない恋愛ドラマなんかに出てしまう。
 
 小晴はいつでも完璧だ。
 完璧にその役に馴染む。
 子役上がりの完璧な演技だと評価される一方でどの役も同じだと小晴を批判するやつがいる。
 調べてみたらネットで小晴を叩いていたのは同じ事務所の売れない役者だった。
 社会的に殺してやりたかったが小晴の情報を引き出したり、小晴と触れ合うために利用した。
 小晴の座った椅子に座ると輝かしい未来のことしか想像できない。
 
 衝動的についカッとなって監禁したのではない。
 小晴をおれだけのものにするために考えぬいて監禁を選んだ。
 
 ペットショップでいろいろなデザインのある首輪を見つめながら小晴が「おもしろい」と言った。
 どこかの役の台詞ではない。
 素の小晴の声。
 楽屋の中ですら小晴はドラマの役を演じていた。
 ドSキャラとか不思議王子なんて言われていたけれど小晴の真実は違う。
 小晴は職人だ。仕事人であるだけだ。
 求められるのが傲岸不遜ならそう振る舞うが、丁寧な紳士も問題なくこなす。
 
 藍澤小晴は完璧で完全な仕事人だ。
 だからこそ、色恋に無縁。知識や経験として役作りに必要だと思ってもそれ以上でも以下でもない。
 ストイックすぎる。かわいすぎる。
 
 
 事務所の運転手として小晴に近づいておれの家まで連れてきた。
 小晴が自分から来ないから実力行使は仕方がない。
 午後の移動中の車の中で小晴が寝るのは調査済みだ。
 今までずっと小晴の寝顔を見ていた一般人がいると思うと呪わしい。
 
 おれの部屋にきた小晴に首輪をつけてあげた。
 首輪を面白がるドS王子なんてテロップがつけられていたけれど小晴自身がつけたがっていたのをおれは知っている。
 
 
 思った通りに小晴はおれを受け入れてくれた。
 おれの愛は小晴に通じた。
 
 小指だけが深爪になっている小晴のかわいい指を舐めしゃぶる。
 すこし痛いのか眉を寄せる凛々しい顔を見せるがおれのされるがままだ。
 小晴は人との距離感を知らない。
 普通の生活などせず芸能活動ばかりしていて麻痺してる。
 
「小晴の指おいしい」
 
 念入りに小指を舐めしゃぶるおれに困惑している小晴。
 どういった対応が正しいのか考えている。
 それとも考えるのを放棄しているのかもしれない。
 小晴は考えて悩んで答えを出すタイプじゃない。
 
 アルバム用に作詞作曲もしているが悩んで迷ってひねる出すのではなく三時間ほどで作り上げたという。
 とても小晴らしい。
 音楽の才能があるというよりも求められたことを実現してしまう。
 歌って踊れるアイドルユニットもガチ演奏スタイルのバンドでも小晴はこなしてしまう。
 それが与えられた役割だと思っているから演じ切る。
 
 小晴にとって芸能界というある種の閉鎖世界で生きていくのもおれの部屋で生きていくのも同じなのかもしれない。
 底の見えない小晴が愛おしい。
 演じているときは小晴は小晴じゃない。
 役名であって藍澤小晴は透けて見えない。
 
「下半身、だらしない」
 
 小さく囁くようなつぶやきは小晴の内心のツッコミが表に出てきたものだ。
 どの脚本にもない言葉。
 小晴の指を舐めながら呆気なく達したおれに呆れている。
 おれのような人種に小晴は会ったことがない。
 おれのような人種を相手にしたドラマに小晴は出演したことがない。
 小晴はおれを持て余しながらも無視しないでいてくれる。
 
「小晴の全身にキスマークつけたい」
「変態かよ、きめぇな」
「小晴って神威くん結構好きなんだね。知ってたけど」
「代表作扱いだからな」
 
 素の小晴の声は耳を澄まさなければ聞きもらしそうなほど喉の奥で発せられている。
 口の中からきちんと言葉が出ずにこもっている。
 リポーターやアナウンサーなどもやっていた小晴。
 テレビの中でハキハキとしゃべる格好いい小晴。
 そんな小晴がおれを困惑気味に見る。
 
「ベランダで露出オナニーしないと生きていけないと思ってたけど、小晴の視線だけであの快感より上の段階に連れてかれる」
 
 勃起しているのを見せつけるように腰を突き出す。
 小晴は目をそらすこともなくおれを観察する。
 もうすでに小晴はおれのお嫁さんだからだ。
 おれを気持ち悪くて変態だと思っても受け入れてくれている。
 気持ち悪くて変態の嫁になったと自分の立場を冷静に理解している。
 小晴のその割り切りようが冷たく温かく優しく切なく愛おしい。
 
 おれの下半身に視線を向けながら小晴が唇を動かした。
 音にならない小晴の気持ち。
 
『それはいつまで?』
 
 ドラマ、暮れゆく空に君との約束の台詞じゃない小晴の本音。
 流行の移り変わりで使い捨てられるようにおれが小晴から興味をなくすと思っている。
 他人が信じられないのだ。
 
 社会現象になろうと興行収入で記録を更新しようと小晴は満たされない。
 だからこそ、他人を満足させようとして演じ続ける。
 
 子役として完全ではなかったころの小晴のインタビューを見た。
 自分は演じる役とは違っているからこそ、どんな役でも好き。
 良い子でも悪い子でも自分の演じる役の良さを引き出せる役者になりたいと語っていた。
 映画のパンフレットに載る数行のインタビュー。
 大人が創作するのならもっと子供らしいものにしただろう言い分。
 見えにくい小晴の小晴らしい姿。真面目で一途でかわいい小晴。
 
 不特定多数の誰かを満足させるのではなく、おれだけの小晴としておれと一緒にいてくれるべきだ。
 藍澤小晴のファンを自称するだろう一億人よりもおれ一人の愛の方が無限で永遠だ。
 
 
 
 小晴は料理が上手かった。
 
 ネット配信で料理番組を持っていた時期があるのでオリジナル創作料理も外れがない。
 ドSに見せて尽くし系男子な役をやっていたこともあって掃除も網戸を洗うレベルで淡々とこなす。
 
 今まで出張シェフやコンビニ弁当、ハウスクリーニングを頼んでいたおれは自分の恵まれた生活に改めて感謝する。
 マスクをしてホコリを追い出しにかかる小晴の動きは格好いい。
 腰は細くて折れてしまいそうだが、ハードなスケジュールで仕事をさばいていたのできちんと体力がある。
 おれの筋トレは暇つぶしの手段だが小晴の筋トレは体力作りだ。
 仕事で必要だから鍛えている。
 わかっていても小晴のおしりが上向きにあがっているのは性的だ。
 筋トレはエロい身体を手に入れるためではなく体力作りだとわかっていても性的な目でしか見えない。
 
「小晴を後ろから見てるとやましい気持ちがとまらないよぉ」
 
 振り向いた小晴がマスクを外して口を開きかけて眉を寄せる。
 どの言葉を選択するのが正しいのか考えている。
 誰の言葉を発するのが正解なのか迷っている。
 
「エッチ!!」
 
 悩んだ後に口にする言葉としては短すぎるが、小晴はマスクをつけ直して掃除を再開した。
 死ぬほどかわいい小晴は照れたように首輪を指でなでている。
 
 誰にも見せずおれだけの小晴としてこの家に閉じ込めるのはおかしなことじゃない。
 ひとめぼれした瞬間から小晴がこうしておれだけのものになるのは決まっていた。
 誰かと共有することも誰かに分け与えることもしない。
 おれだけの藍澤小晴。
 

--------------------------------------------

監禁、キモオタ、翻弄、首輪、監禁願望、演技
NG「スカトロ、DV、貧乏、不細工」という単語リクエストからでした。

受け視点を踏まえた上でのリクエスト消化になります。

片方だけだと「翻弄」要素が弱い気がしたのでセットです。
受け攻め両方を読まれるとリクエストの単語全て入っていると思っています。

ちなみにリクエストにないヤンデレ要素が前面に押し出されているのは
キモオタ=童貞オナニスト=処女厨=ヤンデレという図式が私の中で成立しているせいです。
(監禁=ヤンデレではないという……)

キモオタだから変態エロと思わせてアダルトグッズは処分しているので
藍澤小晴が寝ている間に地道に拡張していくのでしょうね。

全身キスマーク→素股→睡姦→新妻プレイみたいな段階で発展していくふたり。


2017/07/14
prev/next
アンケート拍手
×
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -