俺の弟はろくでなしの淫乱だ

※近親相姦要素あり。クズ要素ありあり。タイトルから察してください。



 男が好きな男に対してべつに差別なんかしたことはない。
 他人事だから「そういうこともあるだろうね」ぐらいに思っていた。
 近くに目にする人種ではなくテレビの中の人ぐらいに感じていたこともある。
 
 それが、今ではすごい身近なものになっていた。
 
 耳を澄まさないでも聞こえる「男」の喘ぎ声。
 喘ぎ声と言ったら女子というか、AVというのが俺の常識だった。
 が、いつからこんなことになったんだろう。
 
 結論だけを語るなら弟がゲイだった。
 そこまではまだいい。
 ギリギリ許せる。
 身内が同性愛者となるといろいろと覚悟をしていかなければならないことがあるが、それでも弟のことを思えば一緒に背負っていける。
 弟は真面目で素直な良い奴なので悩んだ末に出した結論だ。
 告白されたときは弟の性癖はちゃんと受け入れてやろうと思った。
 
 だが、翌日に見せられた男同士のセックス。
 それも父親とのセックス。
 
 ちょっと待ってほしい。
 
 男同士はなんとかOKと言えても親子は無理だろ。
 玄関先で固まってリビングに入れない俺。
 弟の喘ぎ声と父親の言葉責めが聞こえてきて居た堪れない。
 この時にすぐにでも家から出てしまえば更なる悲劇にさらされることはなかった。
 
 玄関で立ち尽くしている俺に帰宅した兄が舌打ちをする。
 すでに社会人である兄、高校生である俺、中学生で受験生な弟。
 家を出ていった母、現在は無職な父。
 俺が玄関にいてリビングからぐっちゅぐっちゅと聞こえる音は消去法で兄にも父親と弟が発生原因だと分かったのだろう大声で「ソファ汚したら殺すぞ、クズども」とセックス中のふたりに言い放つ兄。
 とても真似できないし、真似したいとも思わない。 
 兄は昔から唯我独尊な人だったが、父親が無職になってからとくにその傾向は強くなった。
 俺も弟も学生で家にお金を入れていないから兄には逆らえない。

 俺と弟は二歳しか離れていないが兄とは十歳以上離れているので、兄からすれば兄弟というよりも自分の子供なのかもしれない。その子供と自分の父親がセックスしているのを見て眉一つ動かさないのはどうなんだろう。
 
 父親すら子供だと思っているのか兄は毎日仕事で疲れている。
 頭が働かないなりに俺は俺で、仕事から帰ってきた兄に夕飯のことを聞いたり、風呂が出来ているか確認したりと、いつも通りに行動する。
 
 そして、地獄絵図。
 
 兄は俺の作ったカルボナーラを食べつつテレビを見る。
 これはいつもの光景だ。兄は帰宅して適当にスーツを脱ぎ、俺がそれをハンガーにかけて吊るす。
 テレビでバラエティやニュースを流しながらの夕食。

 兄の足元あたりの床で台布巾を口に入れた弟が父親と肛門セックスしていなければいつも通りだ。

 いつもの光景に親子でのセックスが加わるだけでこうも非日常になるとは思わなかった。
 弟の喘ぎ声がうるさくてテレビの音が聞こえないと兄は台布巾を弟の口の中に突っ込んだが、ふたりのセックス自体は止めない。
 
 非常識極まりないのになんで兄は注意をしないんだろう。
 俺が知らないだけで親子でセックスするのが普通なのかと思っていしまう。
 気づかなかっただけで弟と父親は日常的にセックスをしていたんだろうか。
 頭を抱えている俺はこれがただの始まりに過ぎないことを知らなかった。
 
 その日以降、夕食の時に父親は食事もせずに弟を抱く。
 それはそれは狂ったような父親の姿に俺は軽蔑するようになっていった。
 
 弟は眼鏡をかけて地味めな優等生という感じの見た目だったが、はしたなく喘ぎながら俺に「おれのいやらしいところ見てえ」などと強要してくる。ふたりの変態プレイに巻き込まないで欲しい。
 
 俺が帰ってくる時間を分かっているのに「おにいちゃん、帰ってきちゃう……ぱぱっ、パパ待ってぇ」とかなんとか盛り始める。俺が夕飯を作っている間に父親は弟のチンコを舐めたり胸を揉みだす。風呂を作っている時間で半裸になる。そして「見られてるぅぅ」と興奮しながら絶頂。
 
 父親も父親で俺がいることで弟が興奮して締まりが良くなると嬉しそうだ。最低だ。
 部屋で勉強していても隣にある弟の部屋から始終ズコバコ音が聞こえる。
 俺の知らない間に世界の常識が変わったのだろうか。
 
 頭が痛い。
 
 ただ、兄は傍若無人ではあっても普通の性癖の持ち主なので恋人がちゃんといる。
 会ったことはないが整った顔立ちの兄なので恋人もそれなりだろう。
 性格が気に入ったということも考えられるが、兄は兄なので付き合える相手はきっと優しくて家庭的だ。

 週に一回ぐらいは兄は帰ってこない日がある。
 恋人と会っているんだろう。いつも帰宅する時は機嫌がいい。
 好き嫌いがしっかりしているので、コツがわかると兄と接するのは楽だ。
 
 父親も弟もいつの間にか異星人になってしまったので、変わらない兄に癒される。
 あんな自分勝手な人間に癒される日が来るなんて思わなかった。
 態度はデカくて言い方はきつくても、兄は兄なので俺が困っているのを察して逃げ場を与えてくれる。
 
 この家の権力者は父親ではなく稼ぎ頭である兄だ。
 兄の部屋は鍵付きで防音仕様な上に高級ベッドがある。
 異星人になり果てた父親と弟が乗り込みそうな物件だが、ここが一番の安全地帯。
 
 俺にセックスを見せたいという謎の使命感で人のベッドを汚したりするふたりだが、兄の部屋には立ち寄らない。

 兄を怒らせるのは何より怖いのだ。
 何か反論しようものなら「俺より稼いでから言え」と返される。
 おそろしい。
 兄が具体的にいくら稼いでいるのかは知らないが、俺と弟の学費を父親が無職でもなんとかやっていけるほどに稼いでくれているのだから、うるさいことは言えない。
 
 昔は兄に嫌われているのかと思ったこともあるが、安眠できないと言えば自分の部屋を貸してくれるだけのやさしさはある。兄が帰ってこない日は父親と弟は変態プレイを満喫するようで至る所でセックスをしている。

 兄がいたら「邪魔だ」の一言で踏みつぶされる階段でのセックス。
 台所の冷蔵庫前で料理もしないのにエプロンをつけた新婚ごっこセックス。
 キュウリやニンジンを弟の中にぶちこんで撮影していた父親に狂気を感じた。
 そんなものを食べたくないので長細いものは買って来たらすぐに下ごしらえをするようにした。
 さすがにほうれん草やキャベツなんかをケツにぶち込むことないようなので気を付けるのはプチトマト、キュウリ、ゴボウ、ニンジン、新じゃがなど。
 
 平気だと思って放っておいたセロリが生け贄になった時は人知れず泣いた。
 だが、兄の好物であることもあって、きつく怒られたらしい。
 セロリ以外も入れたりしないように兄に躾けてほしいところだが多くは望めない。
 
「あのね、おにいちゃん、……おれ、げいのえっちなビデオに出ようと思うんだ」
 
 シャツを上だけ着た状態で内股になりつつ弟が言った。
 太ももの間から何かが漏れて床を汚している。
 
「稼いだほうがいいって……ぱぱが」
 
 別の稼ぎ方があるだろうと思いながら俺は無言で弟を見る。
 勃起したチンコがシャツを押し上げている。
 
「あにきは、おれのこと……ゆるまんビッチっていうけど、おにいちゃん、のおしりにはちんちん入れたいからいいよね?」
 
 何がいいのか分からない。兄貴というのは長男のことだ。次男である俺のことはお兄ちゃんで長男に対しては兄貴。
 父親はパパで母親にはお母さん。弟のこの言い方の分け方は謎だ。
 
「あにきって……あの人のことを誘ったのか!?」
「恋人がいるからって断られた。……だからさぁ、おにいちゃん、おれとセックスしよ?」
 
 だからの繋がりが分からない。
 床に座り込んでM字開脚。後ろに重心を持って行って俺に尻の穴を見せる弟。
 興奮でハァハァしすぎて眼鏡が曇っている。
 地味とはいえかわいい部類になる顔なのに唾液と涙と精液で汚れていて最悪だ。
 
「おしりヒクヒクしてるでしょ?」
 
 ローションとか精液だろう液体でべたべたになっている弟の下半身。
 尻の穴は、尻の穴とは思えない有り様になっていた。
 弟の尻の穴はもう性器だとしか思えない。弟が指で広げているとはいえ簡単に中を晒してヒクついている。
 
「これをいろんな人に見られるの。きもちよくて、お金になるって最高!!」
 
 興奮する弟にそんなに上手くいくわけがないと伝えるが「おにいちゃん、の、オナニー動画はお兄ちゃんの友達に高く売れたよ」と言われた。
 
 仕方がないんだ。
 俺にだって性欲があるから、あんな声を聞かされ続ければ弟だっていうのが頭から抜けて下半身がムズムズしてくる。
 トイレや風呂で思わず抜いたりすることだってそれはある。
 父親と弟がヤっているのを聞きながら、自分の部屋で抜いたり、罪悪感はあるものの兄の部屋で抜いたりもした。
 
 あのふたりの精力から考えて家族である俺だって、軽くない性欲を持っている。
 
「おにいちゃんのために、かわいく喘ぐから……ねえ? おしりにちんちんハメていいよね?」
 
 思わず弟が父親に対して「パパのおちんぽみるくほしい〜」と答えているノリで返事をしそうになる。
 恐ろしい睡眠学習だ。
 兄の部屋で寝なかった場合、隣の部屋から延々と「ぱぱともっとエッチなことしたいのっ、おちんちん足りないよぉ」とかアホっぽい台詞が聞こえてくる。それを聞きながら指を二本尻に入れて動かしてチンコをしごいてオナっているんだから俺も俺だ。
 
「おにいちゃんは、今まで聞いてたようにかわいく喘げばいいだけ、わかるよねえ」
 
 ろくでなしの弟は「高く売ろう、お兄ちゃんの処女損失どーがー」と言いながらカメラを用意したけれど、兄が帰ってきたことによってご破算。兄の夕飯は何よりも優先されるべきものなのだ。
 
 ちなみに珍しく父親がいなかった理由は、再就職先を探していたからだという。
 再就職先のお仕事は毎日男の子とセックスするだけの簡単な仕事らしい。
 非合法なにおいがしたけれど突っ込むのはよした。
 職があるのは良いことだ。
 
 受験生である弟も勉強よりはセックスというろくでなしな考えになってしまっているので、この辺りで仕切り直しが必要だろう。
 
「お兄ちゃんがおれの名前言いながら三十分アナニーしてくれたら一時間勉強する」
「バカじゃねえの、このゴミが!!」
 
 これには兄の言葉に同意だ。
 勉強をしろ、受験生。
 
 家庭教師だと連れ込んだ近所の高校生というか、俺の友人たちを弟が味わいまくるのはすぐの話。

 父親がいようといまいと弟は淫乱なのだろう。
 隣の部屋で友人と弟がセックスをしているという異常に勃起がおさまらないのはヤバいと思う。
 だが兄を前にすると萎えるので、この頃は兄が家にいる時も兄の部屋に行くようにしている。
 
 迷惑をかけている気がして仕事で疲れているのに悪いと思いながら、拒否しない兄に甘えている。
 毎日家に早く帰ってくる兄は父親がいないことで性欲が爆発した弟がおかしな行動をとらないように気を付けてくれているんだろう。
 
 恋人はいいのかと聞いたら毎日会ってるし、愛し合ってるから問題ないと返された。
 詳しく聞いてはいないが職場恋愛なんだろうか。
 
 よくわからないながら、俺は今日も弟に煽られた性欲を兄に静めてもらって眠りについている。



※兄の恋人=主人公というベタな感じの話です。
溺愛ヤンデレ粘着系な兄と弟。
父は穴があれば何でもいい派。

主人公が知らない間に弟が兄に負けて父×弟強制プレイという話ですが、弟に感化されて(計画通り!)主人公がビッチ化しかけたのでやんわりと路線変更。

兄か弟の視点があるとクズ度と攻防がわかりやすいですがクズ話なので割愛がいい気もします(笑)
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