・生徒会長が真っ青な顔で相談してきたので真剣に向き合った結果(攻め視点)

リクエスト企画でもらった「下鴨(両性)で風紀委員長との変態プレイ」というリクエストで書きました。



 頭が痛い。痛くて仕方がない。
 息苦しくて死にそうだ。
 嘘だろ、まさか、そんな言葉ばかりが頭の中で渦巻いた。
 
 生徒会長になる前、初等部から学園で一緒にいて気づけば好きになっていた相手が恥じらいながら下半身をさらけだしている。
 ソファの上でM字開脚とか夢のようだ。
 ってか、夢だろう。夢としか思えない。
 夢なら何をしてもいいだろうと俺は下鴨の下半身に触れた。
 
 萎えている陰茎はそれほど大きくない。標準サイズだろう。
 体格から考えて俺と同じか俺の方がやや大きい。
 陰毛は薄くて少し頼りなくて子供っぽい。
 体毛自体があまりないのかもしれない。
 
「……腰上げろ」
 
 俺の指示に従って下鴨は尻を少し浮かせる。
 男に誰でもある袋に隠れるような秘所。
 ぴったりと閉じた割れ目は男であるならありえない部位。
 いつもの粗暴さで無遠慮に指を突っ込みかけて慌てて自制する。
 
 下鴨の顔は真っ青だ。
 さっきまで羞恥で赤かった下鴨が今では血の気が引いている。
 
「だいじょうぶだ、落ち着け」
 
 柄にもなくかける優しい言葉にこわばっていた下鴨が表情をやわらかくする。
 それにときめきを覚えるのはきっと俺だけじゃないはずだ。
 
 下鴨との出会いは七五三だった。
 それよりも以前に顔を合わせていたかもしれないが少なくとも俺が下鴨を認識したのは五歳の時だ。
 七五三だったので三歳かもしれない。
 とにかく俺は下鴨を見た瞬間にイノシシのごとく突進した。
 両親はそう言っていたし、俺もそんな記憶がうっすら残っている。
 そこで何を言ったのかは覚えていないが俺にとって下鴨は特別で別格だった。
 
 習い事なんか大っ嫌いだったが下鴨が必ず通うと言うから、小学校受験をして堅苦しい面白みのない学園に入った。
 つまらない奴ばかりいたが下鴨と毎日顔を合わせることが出来て幸せだった。
 好きすぎて上手く話せない、そんなこともあって俺は間接的に下鴨にアピールした。
 自分が偉くて強くてすごくなれば下鴨も俺を好きになってくれるに違いないと思っていた。
 
 馬鹿は馬鹿なりに考えていろいろと動いていたのだが、下鴨にとっては騒がしいクラスメイトの一人でしかなかったんだろう。中等部に上がってしばらくしたら「俺のこと、好きなのか?」と下鴨は聞いてきた。空を見て雨が降りそうだと話す、そのぐらいの会話の重み。俺は咄嗟に否定した。傷つくのが怖かったというよりも下鴨がどうして俺にそんなことを聞いてくるのか分からなかったからだ。
 
 下鴨は先輩に告白されたらしい。その先輩とは会って二回目だと言うから付き合う付き合わないの意味も分からない。そもそも男同士で付き合うって何だと下鴨は思ったらしい。

 話を聞いて俺は下鴨に告白したという先輩を殴り殺すことしか考えていなかったが、ふいに「それほどお前のことが好きじゃない俺よりも先輩は絶対にお前を好きじゃない」と口にした。俺が一番下鴨を好きだ。絶対にそれは負けない。下鴨のためならなんだってできる。俺ほど下鴨を好きなわけじゃないポッと出の相手に下鴨は渡せない。
 
 納得した下鴨に俺は先輩の名前を聞き出して呼び出すことにした。
 下鴨は独特の感性で生きているので少し抜けている。
 だから、強く出られたら相手を好きではなくても付き合ってしまうかもしれない。
 下鴨は小顔で肌は色白で女の子ではないが外人タレント的な顔立ちをしている。
 この学園ですごく珍しいというわけじゃないが細い手足や柔らかな髪は触れたくなる。
 人を引き寄せるタイプの人間だ。
 俺はそれを肌で感じていたので「嫌な奴」になることにした。
 人から嫌われることを無意識ではなく意識的にする。
 下鴨に近づく相手を暴力的にあるいは陰湿的に追い詰める。
 手始めに下鴨に告白した先輩を闇討ちした。
 自分だということがバレないように気を遣ったつもりだがあっさりと見破られた。
 下鴨のためにどんなことでもするという俺の意思は早々に潰(つい)えるかと思ったが、なんと神は俺に微笑んだ。
 
 下鴨に告白した先輩というのは風紀の人だった。
 初等部でも有名な下鴨の容姿が心配だから偽装として交際しようということらしい。
 ただ先輩は自分に惚れさせる気満々だと言っていたのでやはり敵だ。
 ともかく俺は風紀に入り横柄な暴君を極め、基本的に優秀な下鴨は生徒会に入った。
 
 下鴨は糸のない凧のようなふらふら、ゆらゆらしている奴だったが周りを軽視しているわけじゃない。
 俺が危ないから離れるなと言えばピタッとくっついてくるし、平気で手を繋いだり一緒の布団に入ろうとする。
 これは安心感からだ。下鴨にとって害のない相手だと思われているからこその態度。
 恋愛対象として見られていないことを悲しむよりも当然のように頼られていることに俺は歓喜した。
 ただ敵はとても多かった。
 
 
「広げた方が、いいか?」
 
 
 戸惑った声に意識を目の前の下鴨の下半身に向ける。
 下鴨は俺を頼ってくれた。あの昔は、いじめられっこなじめじめとした性格だった副会長ではなく俺を選んでくれた。親友面で下鴨の隣にいるが、副会長ではなく俺を頼っている。
 
 両手で自分のオンナの部分に触れて中を覗けるように指で広げる下鴨。
 俺の股間がヤバくなっても仕方がない。
 
「……な、……なあ、なんか……変か?」
 
 不安げな下鴨の頭を撫でる。いつも何を考えているのか分からないボケっぷりを見せる下鴨のこんな顔は見たくない。愛しいという気持ちを噛みしめて俺は舌なめずりをする。
 
「なんで、俺、生理こないんだろう」
 
 困った顔をする下鴨に「だいじょうぶだ」と俺は言い聞かせて下鴨の股間に顔を寄せる。
 押さえられない吐息に下鴨が「くすぐったい」というそれだけでも俺はたまらない。
 
 男である下鴨についている女性の部分。
 
 下鴨の話では下鴨の家系は両性が生まれるのだと言う。
 ただそれを下鴨自身、最近まで知らず自分と他人の身体の違いについても疑問や違和感で済ませていたという。
 保健の教科書を見れば男女の身体の違いは明確だ。
 だが、優秀な下鴨は普通の人でもわかりやすく分解して書いているのだと理解していたらしい。
 機能が違うので分けて考えた方がわかりやすいと解釈したのだ。意味はよく分からない。
 
「おじーさまは自覚ができたらって……おっしゃられた。なあ、自覚って何だ?」
 
 両性は普通とは身体の作りが違うので初潮が遅いことがあるらしい。
 最初に真っ青な顔の下鴨が「生理がこない……どうしよう」なんていうから両性なんてことを知らないまま「誰の子なんだ」と詰め寄った。女を孕ませたという話かと思った。たぶん、これが良かったんだろう。男なのに生理があることを下鴨は後になってから気にしていた。
 
 気持ち悪くなどないと訴えて訴えて拝み倒すようにして俺は下鴨の下半身を見せてもらっている。
 そして、その際に「俺は男も女もよく見てきたから医者より股間に詳しい」なんて強がった。
 いつだって大言壮語。
 好きな相手には自分を大きく見せたいのだ。
 
 下鴨一筋で生きてきたので他人の裸なんか風紀で押収したエロ本ぐらいでしか知らない。
 卑猥な話のレパートリーは各種仕入れているので俺が童貞だというのは下鴨にバレていない。
 先輩たちからは口先だけだとバレているが下鴨にさえ誤解されていないなら構わない。
 
「……女としての自覚ってことじゃねえの」
「俺は男だぞ?」
「抱かれる側ってことだ。……お前がいつまでもボケてるから身体が子供のままなんだろ」
 
 嘲るように告げるのは好きな相手に対する態度じゃないかもしれない。
 だが、俺は下鴨が好きで好きでたまらない。
 下鴨なら尻の穴だろうが女の穴だろうが舐められる。
 
「見るだけだとわからねえ。……大切なのは反応だからな」
 
 適当なことを言っている。俺はただ下鴨の股間を舐めたいだけだ。
 俺の手で濡らしたいし勃起させたい。下鴨の精液も愛液も啜りたい。
 すこし考えた後に「乱暴はするなよ」と言って下鴨は許してくれた。
 
 場所をベッドに移動して俺はそれから二時間はずっと下鴨の股間を舐めていた。
 何も入ったことがないだろう場所に俺の舌が抜き差しされる。
 うめく下鴨だが男の部分をこすると気持ちいいのか身体をゆする。
 
 昔に数人でエッチな映画を見ていた時のことを思い出す。
 ひとりエッチのやり方を知らないという下鴨に興奮して俺は服の上からその股間を撫でたのだ。
 か細い声を上げて下鴨は射精した。
 そのとき、やけにズボンの股間が濡れてエッチなシミが広がっていると思ったが愛液もこうして溢れていたのなら分からなくもない。下鴨が漏らしていないと拗ねていたのが恥ずかしくて強がっているのかと思った。
 行き過ぎた快感で思わず小便まで出るのは別におかしなことじゃない。
 
 下鴨を思ってひとりエッチをした後に尿意を覚えて俺はトイレに行くことが多い。
 昔の下鴨との思い出がトイレだということもあって小便をした後にまたひとりエッチをしたりもする。
 
「……あっ、あんっ、あぁっ、あっ」
 
 身体をはねさせながら下鴨が声を上げる。
 自分の感覚がよく分かっていない、そんな顔をしているように見える。
 涙に濡れた瞳も赤く染まっている白い肌も煽情的。
 ひときわ身体が痙攣したと思ったら下鴨は射精した。
 俺はそれも一滴もこぼさずに舐めた。

「ああぅ、ふぅ、あっ」

 下鴨は舐めて大丈夫なのか心配した。すがるような視線が愛らしい。他の奴らとの違いを見るために舐める必要があると適当なことを言った。下鴨の体液をシーツに吸わせるなんてもったいないことはできない。
 
「……はっ、あ! あ、あぁ!! はぁ、あぁ、ぁ」

 大きめな声を上げた後に荒い息をついて絶頂の余韻の中にいる下鴨。汗ばむ下鴨の気だるげな表情はエロい。ピンッと勃って主張している乳首を舐める。敏感になっているからか身体を震わせる下鴨。
 
「……ん、……もぅ、つかれた」
「寝てていいぞ」
 
 頭を撫でてやると下鴨はゆっくりとまぶたを閉じていく。

 完全に下鴨は寝入ったのを確認して俺はガッツポーズをした。

 これ以降、俺は下鴨の下半身を舐めまくって乳首に触れる権利を得た。
 女性ホルモンがどうとかリンパ腺がどうとか適当なことを言いながらマッサージと称して触ることができる。健康バラエティ番組が好きでよかった。
 女性向けの話題が多いので男子校ではいらない知識だが、ずっと見ていた。

 優秀な下鴨でもテレビでやっているような俗説や通説を知らない。
 バラエティ番組は「皆さんが常識だと思ってやっていたのは実は間違いでした」といった形で思わず見たくなるフレーズをぶつけてくる。俺はそれをそのまま使わせてもらっている。物知りで結構知識欲が強い下鴨にはテレビで得た知識は新鮮らしい。
 
 テレビを見ない下鴨は世間一般の常識に疎い。俺を含めて学園にいる人間は大体情報が規制されているので一般人が何を思っているのかを知らない。恣意的とはいえ街頭アンケートはある種の世論の反映だ。俺たちの知らない世界をテレビは見せてくれる。
 
 ちなみにテレビを見ている生徒は学園の中で驚くほど少ない。
 寮の中にテレビがないこともあるがテレビを見る習慣がない家が多いのだ。
 実家を思い出すとリビングにテレビはない。

 テレビの中で見た一般家庭、食卓の脇にテレビがある光景、あれは俺には異次元のものだ。知らない世界だ。
 テレビがないのが普通なのだが外部から進学してきた生徒には耐えられないことらしい。
 そんな生徒たちのためにテレビ部屋というのがある。
 リアルタイムで見たかったらテレビ部屋でヘッドホンをしてそれぞれのチャンネルを視聴できる。
 部屋で好きな時に見たいなら番組を選択して登録すると部屋のパソコンに動画が送られている。
 ただし、CMが増量していたりCMが飛ばせないというスポンサー様側に立った仕様になっている。
 
「これは記録、これは記録」
 
 口にしながら俺は下鴨専用にしたケータイで全裸で眠っている下鴨を撮り続けた。
 風紀からの連絡もある俺のケータイに下鴨のアドレスは入れられない。
 下鴨からの連絡を風紀が妨害したらと考えるとケータイを二台持つのは当然だと思った。
 ちなみに今までケータイに下鴨から連絡を貰ったことはない。
 
 風紀委員長と生徒会長で寮の部屋が近いこともあって俺たちには事前の連絡など不要だ。
 下鴨の裸体や股間を撮影しまくって服装を整えてやる。
 俺が舐め続けたのでそれほどシーツは汚れていないのでとりあえずはこのままにした。
 下鴨が起きたら一緒に風呂に入って全身を洗ってやろう。
 そして、最終的には下鴨の処女アナに俺のモノをインする。
 
 痛くならないように五時間は舐めるべきなのか。
 いいや、一週間毎日舐め続けるのがベスト。
 体調で匂いや味が変わるとテレビでやっていた。
 
 そして記念すべき瞬間を撮影する機材をそろえるのが大切だ。
 俺は心を躍らせながら生理不順に悩む女性の悩みを特集した健康番組を今後チェックすることに決める。
 話のタネや会話のとっかかりではなく下鴨が知らない知識としてテレビネタを披露するのだ。
 
 両性である下鴨にも当てはまるのかは知らないがイソフラボンがどうとかいうことを思い出して手下として使っている風紀委員に無調整豆乳を買ってくるように指示を出す。目が覚めた下鴨はきっと俺の心遣いに感動するだろう。
 
 
 
 
※もう少し委員長の変態性について書きたいのですが……長さ的にここで……。メチャクチャ勃起して犯したい気持ちがありまくっているのに暴走せず(?)下半身舐めだけに留めているあたりは結構変態かと思います。
 
 委員長視点だと溺愛尽くし攻めで微笑ましいですが、周囲には暴君委員長が会長だけを(彼なりに)特別扱いしていて不気味という印象。


2016.02.06
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