なかよし双子の快楽事情

瀧野晴人(双子弟)視点。


 水山のチンコが我慢が出来ない悪い子なので、メガネが出来上がる待ち時間までトイレでヤッた。
 三十分以降に来てくださいと言われていたが、三時間後になった。
 同じトイレじゃなくて、人が来ない場所を求めてトイレをはしごするというアホなことをしたせいだ。
 オレの手をにぎにぎとエロく刺激しながら、アイスやクレープを買い食いしながら、人目につかない場所でエッチ。
 
「水山は感謝しろよな! 水山のムスコはデケーから、オレじゃなかったら嫌がられるぞ」
「ハレトは優しいからずっと面倒みてくれんだろ」
「ムスコが夜泣きしたら大変だからな!」
 
 ズボンの上から水山の股間をポンポンと叩くと「ありがとう」と頭をポンポンと優しく叩かれる。
 水山ときたらオレに夢中すぎる。
 仕方がないので手を引っ張ってやる。
 
 
「あ、ハレトじゃん。なにしてんの」
 
 
 声をかけてきたのは運動部の誰かだ。
 名前がスッと出てこない相手に対応を悩んでいると「男同士で手を繋いでるとか、なに?」と吐き捨てるように言われた。楽しかった気持ちがしぼんでいく気がしたら水山が「自己紹介もなく、そっちがなに?」と返す。優等生は空気を読まない。
 
「俺はハレトと同じクラス。おまえはなに?」
「ハレトと同じ野球部の」
「野球部って練習きついんじゃねえの。休日にブラついてるわけ?」
「……ハレトだってサボりだろ」
「ちげーよ。ハレトは部長から、勉強するように言われてんの。試合に出られないと困るから、赤点絶対NG。チームに必要だからこそ、基礎訓練より勉強しろって言われてる」
 
 水山の言う通り、オレは部に顔を出すことよりも勉強をしろと言われている。
 それは水山の言うような部に必要だからこそというよりは、不良部員だから部の秩序を乱すと思われて敬遠されているからだ。どの部活でも試合に出させてもらっているが、本番以外は居心地が悪いことが多い。スポーツマンな黒髪の中で脱色した髪のオレは浮くのかもしれない。
 
「おれがチームに必要ねえってか!? ケンカ売ってんのかよっ」
 
 水山は一言もそんなことを言っていないのに急にキレだした。
 野球部はバカが多い。怒鳴られて水山もビックリしている。泣いてしまうかもしれない。
 
「やめろよ。水山みてえな大人しい奴をいじめんなよ」
「おとなしい……!?」
「こいつ、クラス委員長なんだぞ」
「ハレト……おまえって、騙されやすいよな」
「クラス委員長詐欺なんてあるわけねえだろ」
「そうじゃねえよ」
 
 クラス委員長じゃないやつがクラス委員長を騙ってどんな得があるんだ。
 教師からクラス委員長だからこその雑用を押しつけられて放課後に居残りをさせられている、要領の悪い水山のどこに詐欺要素があるんだろう。
 
「メガネかけてねえからクラス委員長っぽさが薄れるんだぞ!」
「……そうだな」
「そいつメッチャ笑ってるだろ」
 
 野球部なんて言う畑違いの相手から怒鳴られて震えている水山。
 これ以上絡まれるのは水山がかわいそうなので、メガネを取りに行くことにする。
 
「メガネなくて転んじゃうからオレが手を引いてやってんだよ」
「……そ、そっか」
「じゃあな」
 
 オレの機転で見事に切り抜けられた。
 自分のせいにしていいと言いながら水山は優等生らしく対応能力に乏しい。
 オレに礼を言いながら嬉しそうに笑っている。その顔を見ているとオレもつられて笑う。
 ハルトと一緒にいるときも、昔はこうだった。ハルトが笑うとオレも笑う。オレが笑うとハルトも笑う。でも、今はハルトは笑いかけてくれないし、オレが笑っても笑顔を返してくれない。
 
「眼鏡とったら、アイス買って帰ろうな」
 
 水山から見るとオレとハルトは仲がいい。
 ハルトがオレをイジメているなんて最上みたいな変なことを言ってこない。
 
「アイスは半分やるよ」
「水山がオレを愛しすぎてるっ」
「アイス程度で判断すんなよ」
「じゃあなんだよ、精液量かよ」
「……俺に敵うやついねえだろうな」
 
 自信がありそうな水山にオレは首をかしげる。
 オレと同じぐらいな気がするので、多いのか分からない。
 案外、ハルトのほうが多い気がする。風呂やトイレや部屋でハルトはオナニーしっぱなしだ。
 
 
 
 アイスの入った袋を二人で持ちながら水山の家に着く。
 水山は買ったばかりの野暮ったい黒ぶちメガネをかけている。
 あのメガネが興奮でくもったりすることを想像するだけで尻がむずむずしてくるが、我慢だ。うっかり玄関ではじめてしまってアイスが溶けたら台無しなる。同じ失敗をオレは繰り返したりしない。
 
「なんだこれ」
 
 水山の家はオレの家というわけじゃないが、郵便受けの暗証番号は知っているので勝手に開けて中を確認する。
 そこにあったのはDVD。なんのラベルも貼っていない怪しいディスク。
 水山の親のものという可能性もあるが、さっきオレが踏んづけて壊したものである気もした。
 
「気持ち悪いから捨てとこう」
 
 郵便受け近くに設置してあるゴミ箱に水山が持っていこうとするので「水山の父さんのかもしれないし」と止める。
 きっと最上の仕業だろうが、決めつけはよくない。仕事の関係で届いた資料だとしたら勘違いで紛失はあっちゃいけないだろう。
 
「毎日ゴミが届けられても困るから、一回見といてダメ出ししようぜ」
「ハレトってスゲーよな」
「最上は反応するまで延々と同じことするタイプだから、気に入らないことするときは殴りつけてやめさせるのがいい」
「体育会系っ!?」
「ハルトは優しいから、うんうん何でも頷いちゃうから最上とは相性がいいんだろうな。オレは押し倒されて、ふざけんなって殴り飛ばしたんだけどさ」
 
 サカる犬は叱るものだ。
 オレは最上とキスしかするつもりがなかったので、襲われても腹が立つだけだ。
 今はキスもする気がないので頭突きをしている。
 
「ハルトを優しいっていうのは、この世でハレトぐらいだろうな」
「水山はハルトが優しいって思わねえの? あ、メガネ壊されたからか?」
「メガネに関しては自業自得だけどな」
「ハルトの手をつかんだりしたのか? 急な接触にビックリするタイプだから手を振り払おうとして、メガネに当たるとかありそうだな」
「大体あってるあたりが、すごい」
 
 ハルトは耳が遠いのか、意識がどこかを漂っているのか、呼びかけに答えないことがある。
 コンビニでハルトを見つけて水山が咄嗟に手をつかんで引き留めようとしたら、メガネが吹っ飛ばされるというコントのような光景が簡単に想像できる。
 
 
 郵便受けの前で言い合っていても仕方がない。このままではアイスが溶ける。オレたちは謎のDVDを持って、さっさと家に帰ることにした。
 
 
 最上がオレが嫌いなホラーやスプラッタ攻撃をしかけてこないとも限らないので、水山のとなりで水山の手によって目隠しをする。自分の手は耳をふさぐのに使う。オレの顔を片手でつかめるぐらいに水山の手が大きいのは意外だ。チンコの大きさを考えれば運動部員でなくても手が大きいのかもしれない。
 
「ウイルスの可能性も考えて捨ててもいいパソコンで再生する」
「ごめんな〜。たぶん、最上のことだからパソコンを壊したりはしなくてもスパイウェア―? 覗き見するソフトを勝手にインストールとかあるかもだ」
「ストーカーキモいな」
「むかしオレのスマホに変なアプリがダウンロードされてた」
「アイコンが見えないアプリとかもあるっていうから、あとでチェックする」
 
 疲れた顔でメガネを持ち上げる水山。
 水山の手が大きいと思ったからか、ちょっとドキドキしてしまう。
 
 DVDは薄暗い部屋の映像だった。最上の声で「これからハレトとセックスしまあす」と謎な宣言。
 扉をわざわざ開いて、その奥に誰かがいるというベタな演出をする。
 思わず吐き気から口元をおさえるオレに水山が映像を止めるか聞いてくる。
 
「手ブレに酔っただけ」
「そっちか」
「まだ始まってねえけど、これって、ハルトと最上のハメ撮りを見せられんのかな」
「だろうな」
 
 ベッドの上に拘束されたハルト。
 制服姿でシャツが全開。スラックスは半端に脱がせられている。
 
「最上っていつから、ハルトのことをハレトって間違って言うようになったんだ?」
 
 小学校からの付き合いなのに名前を間違って覚えられているのかと謎が深まる。
 最上のことなど水山も聞かれて困るのか沈黙する。
 水山の手を握ったり、くちびるで触れたり、口の中に入れて舌で撫でていると尻はうずうずしてくる。
 動画の中で拘束されたハルトが最上に乱暴に喉を犯されていた。
 苦しそうな音がすると思ったら、涙と鼻水であっという間にハルトの顔が汚れだす。
 その顔めがけて最上の精液がぶちまけられたが、思わず「あれ?」と水山の指を甘噛みしながら言ってしまう。
 
「これ、精液少なくねえ?」
「こんなもんじゃねえの」
 
 水山の三分の一ぐらいな気がする。
 映像を見ているオレは一発目だと思っているが、最上からすると十回目だったりするのかもしれない。
 一回射精してハルトに舐めさせて再び勃起させる。
 
「復帰、おっせぇ」
「こんなもんだろ」
 
 水山だったら出した後に即復活だ。
 達したのが嘘のように初期状態のようなガチガチのチンコを見せつける水山がすごくて、ふにゃちん状態を晒す最上が普通なんだろうか。挿入した後にイッても萎えて尻から抜けたりせずにキスやちょっとした会話をしている内に水山は復活してくれる。感覚的にずっと尻の中に硬くて気持ちいいチンコがある。肉棒という表現のまま水山のチンコは棒だ。最上のような元気のない姿などセックスの最中に目にしない。
 
「ってか、挿入してねえじゃん」
「長時間レイプにはオモチャが持ってこいか」
「手抜きすぎっ。ハルトかわいそうじゃねえか。絶対にチンコのが気持ちいい。機械ゴテゴテくっつけて、放置って何だそれ。舐めてんのかよ。早送りしてるしっ。手抜きだ〜」
 
 苛立ちはそのまま水山の指をかむ力に反映されたのか、水山に痛がられた。
 そして、申し訳なさそうな顔で「実は」と水山がハルトにしたことを教えられる。
 ハルトの身体感覚をオレが感じているのか実験をしたという。やりかたがオモチャを入れて放置というオレがまさに今批難したばかりのもの。肩を落として謝る水山に「しょうがねえな」と呆れる気分になる。
 
「水山のチンコはオレのなんだから、ハルトに入れたら浮気だろ」
「だよな」
「オレのことが気になって仕方ないから実験せずにいられないのも、まあ当然だよな」
 
 優等生は融通が利かないせいで突飛な発想を実現してしまう。
 ハルトが協力したのは意外だが、最上にオモチャでイカされまくるのが好きなように水山が渡したオモチャも気に入ったのかもしれない。
 家でもあれこれいろいろと使ってレベルの高いオナニーをしているハルトだから、驚きはしない。
 
「乱暴なことした自覚あんの?」
「それについては本人に謝っておいた」
「そっか。ハルトが嫌がってないなら、この話は終わりだな。浮気してないならオレが怒るのって違うしさ」
 
 水山はオレの恋人とはいえ、オレの言いなりになるわけじゃない。
 やりたいことを自己責任でするものだ。
 
「俺が浮気したらハレトはどうすんだ」
「泣く」
「それは困るから絶対浮気しない」
 
 オレが気持ち良すぎて泣き出すと水山が動きを止めて頭を撫でて待っていてくれるのを知っている。こちらの尻を壊す勢いの腰つきがオレの涙でぴたりと止まるのだ。あれほど楽しいことはない。嘘泣きではないが、あの瞬間が好きだったりする。
 
「なんか、ハルトのエッチ見てるとカワイソウ?」
「痛そうで?」
「ちがう。なんつーか、なんだろ」
 
 違和感を言葉にできないオレは水山の股間を握る。不思議と勃起していなかった。散々、目の前の画面でハルトが喘いで痴態を晒しているのに反応がない。
 
「インポ?」
 
 思わずズボンをずり下げて中身を確認する。
 勃起せずとも立派なチンコがそこにはあった。
 頬ずりすると完全に勃起した。
 
「ヤリたいわけでもないのに遊ぶなよ」
「AVよりもハルトはエロい」
「……んほぼぅぅぅとか言い出すのって趣味じゃねえから」
「ああ。なんか、ハルトってすごい声が出るよな。声を低くする練習中なのかな」
 
 喉の奥から声を絞り出しているから疲れそうだ。
 
「んあ、ぐらいはオレも言ってそう。勝手に出ちゃう声ってあるよな」
「まくら噛んでたりするよな」
「恥ずかしいし、息継ぎ大変だし」
「息継ぎ?」
「オレはオレのペースで息がしたい。水山が奥を刺激するたびに声が出るとか、操られてんじゃんか」
 
 イラっとしたオレは水山のチンコをこすり上げる。
 水山の感じている顔を見ながら満足するオレは、ふと気づく。
 画面を見るとハルトの不満げな表情がチラつく。
 
「ハルトって、もしかして、全然気持ちよくねえのかな。足りないって感じ?」
「……そう、見えるのか」
 
 オレの手で息を乱す水山に頷いて答える。
 ハルトとオレの趣味は違う。
 逆であることの方が多い。
 となると、どういったことが正しいハルトの姿かきちんと想像ができる。
 
「オレ、水山とエッチするの好きだ」
「……いま、スゲー、生殺しなんだけど」
 
 顔を真っ赤にして、震えているが水山はオレの手を止めることなく耐えている。
 先走りを垂れ流して、ピクピクと痙攣するチンコが愛おしい。
 きっとハルトはこういった感覚を知らずにいる。もったいない。
 
 
「って、わけで、ハルトにプレゼント」
 
 
 オレは水山と協力して最上を拘束した上で、尻にバイブを突っ込んで放置した。
 ハルトへの実験に使った道具の処分に水山も困っていたらしいので、ちょうどいい。
 最上も含めてハルトにプレゼントだ。
 
「オレ思ったんだけど、ハルトって入れられるより、入れる方が好きだろ。だからほら」
 
 トロトロでぐちゃぐちゃな顔をしている最上をハルトに見せる。
 ハルトは何故か頭を抱えている。もしかしなくても、自分で最上を開発調教したかったんだろうか。
 
「はっちゃんは、途中まではあってんだよね。なんで、結論がズレるんだよっ」
「ごめん、ハルト。気が利かなくて。チンコの穴はまだ何もしてないから」
 
 ブジーというらしい尿道に入れる棒をハルトに渡す。
 舌打ちをしながら完全に勃起している最上のチンコの穴に遠慮なく突き刺すハルト。
 口を大きく開けるような動作をする最上だが、水山の提案でしていたさるぐつわによって静かだ。
 
「ムカつくから、こいつ犯しとく」
「うんうん。ハルトが喜んでくれて嬉しい。最上もオレが喜ぶのは嬉しいから、ハルトはいっぱい最上を犯せばいい」
 
 みんなが平和で幸せな世界にオレは水山に抱きついた。
 水山はいつものように「ハレトの発想はすごい」と褒めてくれた。
 
 ハルトを喜ばせることができない自分が悲しかったが、それは過去のことだ。
 水山のおかげもあって計画は大成功。
 ハルトは楽しそうに腰を振って最上を犯している。
 
 挿入したい側の人間が挿入されていたら満足できないのは仕方ない。
 ハルトは優しいから、ヤリたがる相手に任せて受け入れていたんだろう。
 オレがハルトの違和感に気づかなければ、不満足感をずっと持っていたのかもしれない。
 ハルトが幸せになってくれて、安心した。これで、オレも何も気にせず水山と幸せになれる。
 
 
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「三周年記念短編リクエスト企画」
どろどろな兄弟関係、サバサバした弟とじめじめした兄、ゆらゆら、うじうじ、ちゃぷちゃぷ、友人、同級生、どちらかだけ幸せ、ちょっと不幸せ」というリクエストからでした。

ハレトはサバサバしていてあっけらかんとした人間ですが、
深く知り合うと「ハルトハルト、双子の兄貴のことばっかり話しててうるせー」とか言われちゃって、しょんぼり。
ハルトからも飴と鞭でもてあそばれているので水山と会うまでは「ちょっと不幸せ」な部分がありました。

ハルトの話ばかりするハレトに対して水山は「誰も話しを聞いてくれなくて淋しいんだな」って思ってたり、
一生懸命に話すハレトがかわいいと思って和んでるので、全部聞いて、いちいち構ってやる。
土俵が違うと思っているので水山はハルトを敵対視していない。


実は
キラキラな夢を抱いている受けがキラキラ兄弟にドロドロに愛され超絶不幸にしか見えないのに、受けには幸せいっぱいな現状で心は晴天な晴れ模様。
でもニブニブ友人が助けるとか一人張り切ってしまい迷惑すぎて荒波な気持ちになるけど邪魔者排除で凪いだ海の心に戻れる終わり

このリクエストと大体合ってるなことになってるんじゃないかと思いました。
(キラキラ兄弟→瀧野双子、ニブニブ友人(=邪魔者として排除)→最上)

リクエスト一覧で置いちゃうほどにイコールでもないので、ちょっと保留。
他に合うものを書かなさそうだったら、タイトル変更してエピソードを追加していってもいいな〜の気持ちです。


ちなみに上の話とは別で青森×ハレトのヤンデレIFを追加したりするかもしれません。
水山×ハレトが面白かったと感じる方は読まなくて大丈夫な話です。
ハルトが想像したストーリー(ハレトは青森に抱かれたがるだろうという予想)がちょっとズレたものになります。

この兄弟、ハルト(兄)がハレト(弟)は自分のものを欲しがるに決まっていると決めつけているあたりが、なんか好きです。
(どちらかといえば、事実は逆っていうところを含めて)

2018/08/06

※作品にピンときたら下に書きこんでいただけると大変助かります!
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