合法ショタは何をしても無罪
※「期間限定、男の娘」を先にお読みになった方がいいです。連作みたいになってますが1話ぶつぎり系。
エロや下ネタに事前告知なし。
こちらも男の娘もタイトルからいろいろ察してください。
学園を混乱に陥れた美少女もとい男の娘な俺は黒髪のロングのウィッグをとりノーメイク。
だぼっとした身体の線がわかりにくい厚手のパーカーを着て大きめな丸眼鏡をつける。
友人から渡されたダサい花粉ガードみたいな眼鏡じゃなくてレトロな丸眼鏡。以前ちょっとドラマやCMで女優さんがつけていたダサかわいい眼鏡。小顔に見えて童顔を際立たせる気がする。
誰も転入生、井棟弥蘭だとは思わないショタショタな俺。
美少女としても完璧だが隙がある無防備な弟タイプな美少年としても俺は完璧だ。
がっつり女装どころか完全な女の子、男の娘な俺の姿を広く認知されればされるほど男の俺は身軽だ。好きに動ける。
友人に言われた親衛隊によるイジメは幸い起こっていないけれど周りはヒソヒソ俺の美しさを遠巻きに称えている。
男の園に女子がいるような異様さはともかく生徒会役員との絡みが嫉妬を加速させてた。そのうち俺を傷物にしようという計画が立ち上がるだろう。まあそれは立ち上がった先から潰されるに決まっている。役員たちは変態とはいえ馬鹿ではない。手を打ってくれるだろう。
生徒会役員は元より図書室、温室、屋上、それぞれを根城にしている人間とコンタクトをとった。そう悪くない反応だったと思う。
俺が近づいて嫌悪感を示されたのはトラブルを嫌う風紀のメンバーぐらいだ。
それでも同じクラスの風紀委員は目の保養になるからと俺に対して好意的だった。
問題になるのは権力それ自体ではなく力の使い方。
理事長や生徒会長は性癖を握っているのでまず間違いなく協力を要請したら助けてもらえる。
温室にいた植物愛好家の変態は学園内での情報通らしく何でも知っていた。彼から三年生の不良と会うことを勧められた。素の俺、いまの中学生のような見た目ならイチコロらしい。美少女よりも美少年が好みなのはだいぶ変態だ。
俺は魅力的だから仕方がないと挙動不審一歩手前なぐらいに周りを警戒しながら歩く。
頭の悪い不良とは関わり合いになりたくない。
下っ端で腕力だけがある頭からっぽな奴は話が通じないので嫌いだ。
変態たちは馬鹿じゃないのでちゃんとルールを決めれば守るが底辺のバカは俺と相性が悪い。
三年生の不良たちは頭がいいアウトローらしい。
学校が学校だから不良と言っても俺が連想するような下品なアホじゃないんだろう。
と思っていたが考えを改める必要がある。
迷ってオロオロしていたところを暗がりに引き込まれた。
あきらかにアホバカな低能の仕業だ。
やっぱり不良はろくでもない。
後ろから抱きしめたかと思うと俺の胸を無遠慮に揉みながら「メスのにおいがする」と口にする異常者。
無料で俺の身体を触るなんて痴漢にすら許してない。
電車で痴漢されるときも気づいたら札束やアクセサリーや時計なんかがカバンやポケットに入れられている。
それがマナーだ。当然あってしかるべきの前置き。
根っからの貢がれ体質な俺を雑に扱うなんて地獄に落ちるべきだ。
兄なんかは控えめなので貰いっぱなしだとあとで負債を払わないといけないから怖いと口にする。俺もそう思う。もらって当然とはいえ、もらいぱっなしで逃げるわけにはいけない。お金をいっぱいくれる馴染みのような痴漢には特別に甘えて感謝を示している。ときどき痴漢同士で潰しあっているけれどそれは俺には関係ない。愛されて貢がれて大切にされるのは生まれた時からの俺の義務だ。兄もそう言っていた。
「や……やめっ、て……いたっ」
弱々しい声を出して貧弱さをアピールする。
悪気がない奴なら力量差を感じて俺を放して謝ってきたりする。
つい反射的に襲ったなら俺の弱者っぷりに良心が刺激されるのだ。
だが、俺の胸を揉んでいる手は離れるどころか下に移動した。
もうヤル気満々だ。
何様なんだとムカッときた気持ちのまま足や腕を思いきり動かす。
体格差を考えて俺が必死に抵抗したところでたかが知れている。
それは相手も分かっているだろうからこそ、油断もまたあるだろう。
明日、いつものようにセーラー服に身を包むので完全に素のまま、男のままじゃない。
だぼだぼの袖に隠すように付け爪をつけている。これは実は便利で絶対的な凶器だ。
普通の爪よりも強度を持たせた爪であり、角度によって皮膚なんか余裕で切り裂ける。
本当は顔を傷だらけにしたかったが俺の身長が足りなかった。
顔どころか首よりも下、硬さからして鎖骨あたりを引っかいてしまった。
俺の手が短いわけではなく相手が長身すぎる。耳元で声を出されたので距離感を見誤った。どうも、相手は俺を羽交い絞めにしていたのではなく覆いかぶさるようにして体を屈めていた。飛びのかれれば俺の腕のリーチでは顔など届くわけもない。バカにされている気がしてムカつく。
「……ちっ、おい。凶暴すぎんだろっ」
振り向くと後退ろうとする金髪というよりも砂漠の砂のような黄土色の頭が見えた。やっぱり不良だ。
薄暗いのでよく見えないが俺の爪の威力に驚いている三下っぷりは間違いなくアホ。
馬鹿は重罪だと判決を下して俺は相手の足を踏み抜く勢いで体重をかける。
小柄で非力だからこそ俺は俺の安全確保のために他人に危害を加えることに躊躇しない。
ためらった瞬間に食い物にされる本物の弱者になってしまう。
演じて油断を誘うが弱いつもりはさらさらない。
能ある鷹は爪を隠すし、切り札は最後までとっておくべきだが、やる時にやらない奴は負け犬の遠吠えでしかない。
俺は当たり前だが負け犬になる気はない。主導権を握るのは俺だ。
重心を後ろにしていたからか、虚を突かれたのか足を踏まれてバランスを崩した黄土色頭は尻もちをついた。
そして、座り込んでいる黄土色頭の股間を踏む。
最初に思いきり踏んですぐに力を抜く。ただ足は動かさずに股間に乗せたままにする。
ここがポイントだ。
一瞬の玉が潰れたかと思うような痛みに誰でも冷や汗を流すが継続していないのでどこかで安心する。ただ足が乗ったままなのでいつまたその痛みが来るか分からず構えてしまう。先ほどよりも強い痛みがくるかと身体が硬直して冷静じゃいられない。
Mは期待に瞳を輝かせながらもそれを隠した不自然な表情になり普通の人は血の気を引かせる。
目の前の相手はどうするのかと観察していたら今までにない反応だった。
黄土色頭は股間の上に置いただけの俺の足の裏に腰を押し付けて小刻みに動かした。
俺の足の裏を勝手に使ってのオナニーだ。許せない。肝が据わっているというよりもバカ不良だからこその行動だ。
苛立ちのままに潰す勢いで足に力を入れたら黄土色頭は漏らした。
「きたない、最低」
靴を履いているので実際の被害はほとんどないとはいえ気分が悪い。足の裏を黄土色頭の上半身のシャツにこする。俺の足跡がついているのが間抜けですこし気が済んだ。
そして、そのまま放置することにした。
黄土色頭はこんな対応をされる思わなかったのか「え? えぇ?」とアホの子のように口を半開きにして戸惑っているが無視だ。俺はコミュニケーションを前提にしない肉体的な接触はタダ働きだと思ってる。
痴漢だって最初に「静かにしていたらお小遣いあげるよ」と言ってコンタクトをとってきた。
そういう事前のやりとりは大切だ。
静かにしていたら本当にお小遣いをくれたし満員電車では潰れないように抱き込んでくれる。
悪気なく人のカバンや肘なんかで攻撃されることがあるので電車の中で肉の壁は助かった。
ときに俺のにおいをスーハー嗅ぐ変態も中にはいるが実害はない。
黄土色頭のように自分の性欲を優先してくるような人間はかわいがられ愛でられる俺には不要だ。
紳士的になってから出直してきてほしい。
急に胸をわしづかみなんて痣になったらどうしてくれるんだと言ってやりたい。俺は肌が白いので内出血が目立つタイプだ。
本当はきつい口調で責めながら黄土色頭のおもらし以上に恥ずかしいムービーを保存して脅しにかかるところだがそうもいかない。
俺は俺で暇じゃない。
か弱い合法ショタとして本物のショタに手出しできない三年生の不良とやらを籠絡するというミッションがある。
学園の重要人物とパイプを作れば学園の外でも権力に負けたりはしない。
兄が刺された件をきちんと決着がつけられるだろう。
※総受けすぎて弥蘭をとりあうバトルが学園内で勃発したりしそうですが、そこは慣れているから小悪魔テクニックでどうとでもなるのでしょう。きっと。
合法ショタは合法ショタで男の娘とはまた違った趣があるかと思います。
(男の娘という)武装を解除したバージョンを希望してくださった方がいたので合法ショタは合法ショタでちょっと連作(?)します。
この後に三年の強面不良と会って「おにいちゃん」呼びを強要されたり身体チェックされて胸に赤く指の跡がある……どうたら……みたいな。