期間限定、男の娘5 温室にて
※連作みたいになってますが1話ぶつぎり完結系。続きは気まま。エロは事前告知なし。タイトルからいろいろ察してください。
男の娘として写真を撮るにあたって背景は適当じゃいけない。
やっぱり一枚の写真として完成していないと見る方だって面白くないだろう。
プロ意識はない。けれど、素人だからといって半端なものはプライドが許さなかった。
被写体である俺がいいと甘えるのは違う。俺の良さをより引き出せる場所や小物というのが必ずあるはずだ。
そう思って俺はすぐに撮影できるようにスカートのまま背景として使えそうなものを探す。
ちょっとした散歩だ。
人気(ひとけ)のないところに行くのはあまりよくないと思ったけれど写真を撮りたい。
部屋の中で撮ってもいいけれどまんねりしてしまう。
外は緑が多いし校舎をはじめ寮の外観など建築物が独創的で惹かれる。
やっぱり野外のベストポジションというのは確保しておきたい。
いつもとは違う変化というのは大切だ。
俺は温室と呼ばれる場所へ入っていった。
誰もいないと思っていたら地味な眼鏡姿で白衣を着た生徒がいた。
たぶん、先輩だろう。
俺は驚いている相手を無視して温室に撮影場所として合格点を出す。
天井が高く明るい上に色彩豊かな植物が豊富。
この場所をバックにして写真を撮るだけでもなかなかいいものになりそうだ。
と思っていたら急展開。
この場所に居たのは俺だけじゃない。
ここには鬼がいた。
「そう! それだよ、それ!! はにかんだ困り顔っ」
俺の髪の毛が植物の蔦に絡まってしまったという設定でポージング。
絡まった髪の毛を取ってくれるのを待っているというシーンらしい。
カメラの目線は俺の髪の毛をほどこうとする男の視点。
俺はカメラに対して照れたり恥ずかしがる。
それは髪の毛を引っかけてしまって恥ずかしいでも近づく距離が嬉しい、そういう表現。
イメージビデオのノリだ。
今まで自撮りオンリーだったのでこういうコンセプトを決めたものは少ない。
なぜか俺は植物委員会に所属する生徒という設定になった。
真面目な委員として植物に水をあげたりドジを踏んだところを撮影されている。
地味眼鏡は意外にも押しが強い。
一人で撮るのは大変だろうと言われてカメラを渡したのがいけなかった。
スイッチが入ったように俺に指示を飛ばしてくる。妥協を許さない男だ。
指示がなかなか適切なので従っているがシチュエーションがピンポイントすぎて上手くできないこともある。
すると盛大に溜め息を吐かれる。罵倒でも呆れでもなく溜め息。
悔しくて思わず涙目になると「最高だよっ」と連射。どうやら頑張って育てた植物を枯らしたという表情を取りたかったらしい。そのために溜め息を吐いて俺から表情を引き出そうとするなんて酷い話だ。
「じゃあ、ここでおしっこして」
「はあ?」
「おしっこだよ、小便」
「……そんな写真いらない」
「してるフリでいいよ。ふるふる震えて恍惚とした顔で植物に聖水をあげるのも植物を育てる人間の務めだ」
そんな馬鹿なと反論したいが清楚系お嬢様な今の俺の姿で尿意を感じてムズムズしてる写真というのはウケそうだ。
この地味眼鏡はいろいろとツボを分かっている人間なので逆らえない。
俺はわりと正しいことを言う人間に弱い。
正論には従いたくなってしまう。
兄である雄蘭がそういうタイプだからついつい頷ける言葉になるほどと納得して言うことを聞く。
それが変態的なことまでもそうだから友人にちょっとアホと言われたりするんだろう。
かわいい俺に対する僻みもはいってると思う。
「さっき休憩のときに渡したドリンク……あれに利尿剤入れてたから、そろそろしたくならない?」
白衣を着ているところから薬物に強いのかもしれない。
手渡された飲食物にもっと気を配るべきだった。
急激に尿意を感じる。
「座ってこっそりっていうのもいいけど下着を汚さないようにちゃんと立ってやろうか? 女の子じゃおしっこしない角度を見せつけよう?」
局部は撮影しないようにアングルを考えてくれている地味眼鏡。
出来る男だが出来すぎる弊害がこんな形で襲い掛かってくる。
「顔を赤くしてピクピク震えちゃってかわいいね。……おしっこしたいならちゃんと『おしっこさせてください』って頼まないとダメだよ?」
調子に乗った地味眼鏡の言葉に俺は肩をはねさせる。
「……違うでしょう」
「え?」
「お願いするのは僕じゃない。そっちが『弥蘭様のおしっこ姿を撮らせてください』でしょう?」
別に俺はトイレに駆け込んだっていい。
地味眼鏡に放尿シーンを撮影させてやる義理はない。
ふっと笑って身体の力を抜く。小首をかしげて見つめる。
唇を舐めると地味眼鏡は息を飲んだ。
「弥蘭様のおしっこしてる姿が見たいのだあれ?」
「俺ですっ!!」
即答だった。
「そうだよね。おしっこしてるところを見たくて仕方がないからこじつけたんだよね?」
「ほ、ほんとうはっ!!! 俺の顔面にかけて欲しいです」
どうしようもない変態だ。
俺の小便を顔に受けるのを想像したのかぶるぶる震える。
「おしっこで濡れた弥蘭様のおちんちん吸いたいですっ」
前屈みというか前のめりになっていく地味眼鏡。すでに地味さは消えていた。変態眼鏡だ。
仕方がないので温室の隅にあるベンチ変態を寝そべらせる。その変態の顔の上に座った。
眼鏡が軽くミシッと音がした。
「利尿剤って嘘でしょう」
「はいっ、すみませんっ、すみませんっ、ありがとうございます!」
尿意はあるけれど思わず漏れるというほどじゃない。
普通に飲み物を飲んだから出したくなっただけ。
利尿剤なんて言われたから特に尿意は高まったけれどこれはブラフ。
俺を騙そうとした。
引っかかりそうになったのが恥ずかしいこともあって俺は変態の顔に自分の股間を押し付ける。
ハアハア熱い息を感じて鳥肌が立つ。
「このまま弥蘭のおもらし見たいの?」
見るというか味わうことになるが答えは意外なことにNOだった。
「このままだと写真が撮れない……です、から……」
なかなか骨がある変態なので何パターンか放尿シーンを撮影して、撮影後の尿が染み込んだパンツをあげた。
使用済みパンツが諭吉さん数人と変わるのは実は安いぐらいだ。
この学園の会長なら俺が一回履いただけのパンツに数百万円は出すし、履き慣れたものなら更に金額は増し増し。
今回はぐっちょり濡れているというサービス付きだ。家を建てるぐらい楽かもしれない。会長ならマンションの一つや二つくれるだろう。
そんな俺のパンツを渡すのは誠意だ。撮影代と思い出として変態の戦利品にするといいと思った。
自撮りでは限界があるので腕のいいカメラマンを捕まえたのは収穫だろう。散歩もしてみるものだ。
※放尿シーン各種は堪えきれずに出ちゃった(呆然)、堂々と立ちション、周りの目を気にしながら恐る恐るこっそりと立ちション、見られて気持ちよくなりながらの……みたいな感じです。カットしないで普通に書いても良かった気がします(笑)
「たしかにこの表情はイイ」みたいに撮られた写真を見て満足弥蘭。