期間限定、男の娘4 同室者は
※連作みたいになってますが1話ぶつぎり完結系。続きは気まま。エロは事前告知なし。タイトルからいろいろ察してください。



 腐女子に種類があるように腐男子にだって種類がある。
 雑食で男同士ならなんでOKというの少数派だ。
 
 俺はどちらかと言えばライト層で男同士の恋愛にはそこまで興味がない。
 ロリ系漫画からショタ漫画に入ってふたなりもいいかなとか思っていたら、いわゆる受けが女の子にチンコついたようなBLを読めるようになった。そうしたら少年同士のじれったい恋愛ものに涙腺を刺激されて四方八方に手を出すことになって散財の日々。後悔してない。
 
 でも、ショタの延長でBLに手を出した人種なんでガテン系の筋骨隆々なオヤジ受けはまだまだハードルが高い。いずれは手を付けてしまうかもしれないが俺はその域にまでは達していない。
 
 そんなライトユーザーな俺に朗報です。
 
 二次元の具現。漫画から抜け出してきたような男の娘がやってきました。なんと俺の同室者です。
 おいおいマジかよ。美少女が空から降ってきて急に同棲を始めるレベルで異常だ。
 転入生って聞いて生徒会役員を手玉に取るビッチだろうともじゃもじゃ髪で瓶底眼鏡を想像していたらまさかの事態。
 
 男の娘ですよ、男の娘。
 
 これは生徒会役員だって骨抜きになるわ。
 だって、マジかわいいし、男しかいない中に堂々と女の子としか思えない存在がいてちやほやしないわけがない。
 学園一かわいいとか美人とか言われてる先輩は所詮男だ。どう頑張っても男。
 だが、男の娘は違う。どっからどう見ても女の子。滅茶苦茶かわいいのは置いて男がセーラー服を着ている違和感がない。恥じらいなく堂々とスカートの裾を乱すことなく歩いている。
 
 背丈からして小動物のようにちまちまと動くのかと思えば違う。静々である。
 ゆったりと清涼な空気すら漂わせるお嬢様がいた。
 かわいいから美しいに印象が塗り替えられる。
 でも、話していると少年声の女性声優みたいな透明感がある声質でうっとりする。
 親衛隊たちのキンキンキャンキャンしている変に高い声とかハスキーで野太い声とは違いすぎる。
 完璧な存在というのはいるものだ。
 
 そして何よりも一番すごいと思ったのは性格だ。
 井棟弥蘭という名前も感心したが美少女としか思えない黒いセーラー服姿で彼は俺に告げた。
 
「お金払ってくれる?」
 
 玄関先で自己紹介するよりも先にこの一言。
 思わずポカンとする俺に「これから先ずっと僕の吐いた息を吸うんだから、お金払ってくれる?」ときた。
 大金持ちとか世界有数の資産家というわけじゃないけど幸いお小遣いに不自由しているわけではない。だから、月額いくらか聞いて言い値をお支払いする契約をした。俺が断ったら別の相手を同室者に選ぶのかもしれない。相当プライドが高そうなので値切るのはいけないと俺は第六感を働かせて言われた条件を全部飲んだ。
 
 折角、紙面から飛び出してきてくれた二次元存在がいる。そんな相手と関わるチャンスを手放すわけがない。こんな幸運を他人に与えるほど俺は出来た人間じゃない。
 
 お金を支払うと嬉しそうに頬を紅潮させて俺を見てくる弥蘭ちゃん。
 思わぬ収入を得られたみたいな反応からすると月額契約は冗談だったのかもしれない。
 まあ、別にお金は返ってこなくていい。愛情や信頼がお金で買えるなら安いぐらいだ。

 ただ、そんな熱いまなざしを向けられると勃起するからやめてほしい。かわいい上目使いとか興奮してしまうだろう。
 漫画ならいくらでも興奮するけどクラスに何人かいる親衛隊の成長途中な元ショタには俺の股間はピクリともしなかった。それが弥蘭ちゃんの前ではギンギン。弥蘭ちゃんも気づいているのか怪しげな視線を俺の下半身に向けてくる。
 
「弥蘭さまって呼ぶなら特別に触ってあげる」
 
 そう言いながら美しい指先を見せてくる弥蘭さま。
 ソファに座った俺の隣に腰を下ろして「僕がいいって言うまでイクの禁止? わかった?」なんて小首をかしげる。
 完全に女の子にしか見えない。でも「お利口さんだから僕のも少し触っていいよ」と俺の手をスカートの中に入れさせてくれた。普通のブリーフやトランクスの感触じゃない繊細な手触りに女性用下着をつけているのかと考える。問題は女の子にはありえない股間のふくらみ。あたたかなふぐりを揉むとすこし弥蘭さまは肩を震わせる。
 
 勃起はしていないけれど確実にあるイチモツは男の証。
 目の前のセーラー服の美少女は美少女ではない。すべすべの太ももを撫でて「んっ」と小さく喘いでくれる穢れなき美少女にしか見えない弥蘭さまは少女ではない。
 
 こんなかわいい子にチンコついてるとか絶対に二次元だ。漫画だ。
 しかも出会って早々にチンコを触りあってるとかエロ漫画だ。
 
 弥蘭さまは自分の手で俺の息子が育ったり泣きだすのを楽しそうに笑ってくれる。
 間違いなく天使だと思った。傲慢で高飛車で俺を見下す僕っ子とか大変に俺得です。 
 男同士で生身で付き合うとか馬鹿じゃない、キモイとか思ってましたが弥蘭さまにならケツ穴にキスが余裕です。
 むしろ舐めさせていただきたい。
 
 射精許可をいただいたので弥蘭さまの手の中に出させてもらった。
 得意げに「僕の手は気持ちよかったでしょう」と口にしている姿がかわいい。
 清楚お嬢様かと思えばツンデレお嬢様でその実ただのツンデレ年下みたいな。
 褒められると調子に乗っちゃう系な弥蘭さまに俺は誰かにパクッとされないか心配です。
 
 俺はイッたけど弥蘭さまはまだなのでどうするのかと思っていたら「シャワー浴びる」とさっさと席をはずしてしまった。弥蘭さまのチンコを見たかった。同室者として一緒に生活していたらそのうち背中を流すという幸運に恵まれたりするんだろうか。どうだろう。
 
 
 風呂上がりの弥蘭さまもとい蘭くんは凄まじかった。
 見た目が美少女から美少年に変わったこともあるけれどツンと済ました少女の空気から、やんちゃで捻くれた小生意気そうな雰囲気への変貌に驚く。中性的に見えなくもないけれど今の姿は女の子に見えない。
 
 女の子らしい長い髪やスカートがないだけではなく動きが粗雑というか、普通に同性だと感じるものになっている。
 さっきまでは股間に触れつつも、ちっぱいのある女の子じゃないのかという疑いが消せずにいたが、今は伸び盛りの小学校高学年か成長途中の中学生という感じ。同い年には見えないけれど女の子は影も形もない。
 
 無遠慮に見ている俺を怒ることもなく髪の毛を乾かしてとドライヤーを渡される。
 そして、素の姿の時は「蘭くん」と呼ぶように言われた。
 どうやら「転入生、井棟弥蘭」は女装姿で周囲に認識させて男の姿では身軽に行動をするらしい。
 何か目的があるように感じたけれどそれには突っ込まない。
 
 伊達に漫画を読み漁ってるわけじゃない。
 事情があるなら深入りして嫌がられるに決まっている。
 言いたくなったら教えてくれるだろうから待つのが得策。
 
 厄介事なんか関わりたくないと思うところだが井棟弥蘭の存在はそんな常識を超越していた。

 一人二役どころじゃない最初の「こんなかわいい子が女の子のはずがない」と思っていたが、まさかやんちゃ傲慢ショタが素顔だなんて美味しすぎる。同い年なのにショタ。これは合法。合法ショタだ。永遠に成長せずにこのままでいてほしい。
 
 生徒会役員にキャピキャピしてる親衛隊たちとはレベルが違う。
 彼らも人によっては化粧をしているようだが、弥蘭さまの徹底的なものではないし、少年らしさは蘭くんとは違う。

 蘭くんは勝ち気で生意気そうで「宿題きらーい、せんせーのバカっ」とか言いそう。ピーマン食べなさそう。「苦いのも辛いのも絶対食べないっ」って頬っぺた膨らませそう。かわいいって言ったら「子供扱いすんなよ」とか「女扱いすんなバカ」って反応してくれそうで、あぁ、どうしようもなく漫画キャラ。
 
「俺の下僕になったんだから明日はちゃんと朝、起こすこと。変なことしたらチンコ切るから」
 
 物騒な言葉だけど「……勃っちゃって我慢できなかったら時間あったら触ってあげてもいい」と小さく付け足されてツンデレに心臓を撃ち抜かれた。「人畜無害そうだし、同室になったから仲良くしないと、だから! 特別だからな。調子に乗るなよ」と慌てて言われて俺は身悶えた。勘違いしたくなる。いつから下僕になったと言いたい気持ちなんか吹き飛ぶ。俺はあなたの奴隷です。
 
 萌えって言葉が定着しすぎて頻繁に使われてウザったかったけど、これは萌える。
 俺の理想のショタっ子が降臨されたのか、そうなのか。
 一人称は俺だったし、ちょっと疲れているのか眠そうに頭がゆらゆらしてるし。かわいすぎる。
 明日から学園に通うわけだけど、口ぶりからして女装のままなんだろう。
 
 
 ちなみに翌日、クラスメイトから生徒会長が弥蘭さまのスカートに頭を突っ込んで食堂を騒然とさせた事実を聞いた。なるほど。だから、疲れていたのかと納得した。
 
 夕方に学園に到着、副会長に案内されて校内をすこし見てから理事長のところへ行き挨拶。
 その後に食堂で夕食をとって会長と遭遇、そして俺のいる寮の部屋に来た弥蘭さま。
 衆人環視のもとでスカートに頭を突撃された衝撃はいかほどだったのか。
 
 朝に俺が起こすよりも先に目覚めた弥蘭さまが「昨日はちょっと気が立ってた」としょんぼりした雰囲気で口にして朝食を振る舞ってくれた。かわいいのですべて許せると思った。エプロンがあざといフリルではなく実用的なシンプルなデザインだったのが意外性があって逆にかわいい。
 
 ごはんは普通においしかった。俺が月額で渡してるお金で材料を買って気が向いたときにご飯を作ってくれるらしい。お金を上乗せしたくなった。謝らなくていいと言った俺の態度に気を良くしたのか俺の膝に乗って「あーん」と食べさせてくれた。お金を上乗せしたくなった。弥蘭さまはさすが弥蘭さまなのか絶対に貢がせ上手だ。お金を上乗せしたくなった。
 
 俺は骨抜きにされている自覚があるが全く後悔していない。
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