期間限定、男の娘1 副会長と
※連作みたいになってますが1話ぶつぎり完結系。続きは気まま。エロは事前告知なし。タイトルからいろいろ察してください。
転校する時に友人に男子校になんか行ったら襲われると力説された。
ぼさぼさのアフロ未満なカツラと分厚い花粉ガードのような眼鏡で変装することを勧められた。
馬鹿じゃないかと思ったが俺の貞操を心配しているらしい。
どうも俺はその筋ではゲイ、バイ率が高いと有名な学校に転校することになっているのだという。
身長は平均よりも低め。顔は小奇麗で自分で言うのもなんだけど黒目が大きめでつぶらでかわいい。
声は変声期前のようなボーイソプラノ。
自分で言うのもなんだけれど男らしさは皆無だ。
少年らしさは格好によりけり。
友人のへんな変装をするという熱烈な勧めは断ったが、すこしばかり危機感が出た。
そこで俺は高校デビューというものをすることにした。
趣味と実益を兼ねる、ちょっとした変装。
転校する理由は兄が男に刺されたためだ。
頭がおかしいが権力者の子供らしい男は兄の事件をなかったことにしやがった。
本当に許せない。でも、俺には何もできない。兄は自分のせいで俺まで危ない目に合うのを一番恐れた。
俺たちの兄弟仲は良い。だから、お互いを人質に取られたら俺たちは相手に従ってしまうかもしれない。
兄が俺を嫌って遠ざけることはありえないが脅されて演技をする可能性がある。
いまの俺では兄が嘘を吐いているのかどうかも分からない。
刺されたショックで混乱していることもあるだろう。
俺に何かされないためなら兄はなんだってする。それが分かるから対策をとりたい。
転校は俺の身の安全の確保のためだけど友人が語る学園像に目的が出来た。
金持ちや権力者ばかりの学園で庶民に厳しい。なら、そいつらを味方につければ兄を刺したやつに一泡吹かせることもできるだろう。兄がそれを望んでいるかは分からない。でも、俺は逃げるのは性に合わないから、どこでだって俺は俺らしく生きていく。
俺の戦闘服がこの学園で通用するかは分からない。
ゲイが多いなら嫌われる可能性の方が高い。
まあ、ゲイが女嫌いっていうのは勝手な思い込みだけど。
案内役としてやってきた副会長は俺を二度見した。
その反応に俺は気分良くなって、お辞儀をしながらスカートをちょんっとつまんで見せる。
今の俺は系列姉妹校のセーラー服を着用している。
長めの黒髪のウィッグをつけた清楚お嬢様。
黒いセーラー服なんてダサいと思っていたけれど、案外俺の白い肌を際立たせてくれる。
ハッキリ言って女子より似合っている。妹にしたい娘ナンバーワンに選ばれたこともある俺だ。
「井棟(いとう)弥蘭(みらん)です」
名前も中性的で今の格好で名乗っても違和感がない。
これで雄蘭(おらん)という名前だったらちょっと違和感がある。ちなみに雄蘭は兄の名前だ。
雄蘭と弥蘭で蘭々(らんらん)兄弟と言われたりする。兄はパンダっぽいから嫌っていたあだ名。俺の見た目のせいでパンダっぽさはいつだってあった。人に見られることに快感を覚えるタイプだから視線は心地がいい。
「え……っと、なんでその恰好? うちの制服は?」
「理事長さんが似合う格好してきていいよって」
とぼけるように口にする。
女嫌いの生徒は近寄ってこないから安心だと理事長は言った。
全寮制の男子校だから女っ気がない。
女の子っぽく見える相手に対してお姫様扱いが普通らしいが逆に無理強いを働く生徒もいる。
わかりやすく女の格好でいれば保護対象になって周りが親切だろうと言っていた。
これから挨拶をするけれど、俺の完璧な女装にどんな反応をするだろう。
「……そう、ですか」
ノンフレームの眼鏡で理知的な副会長は引きつった笑いを浮かべた。
女が苦手なタイプなのかもしれない。
初等部から学園にいる生徒は極端に女性との触れ合いが低いから耐性がないと聞く。
「この学園のこと、よく知らないので困っていたら助けてください」
副会長の手を取ってギュッとする。
ちょっとあざとい上目遣いもしておくとわかりやすい反応を示してくれた。
顔を真っ赤にした副会長の下半身は勃起している。
ギクシャクと理事長の元に案内してくれる副会長。
俺と別れたらトイレに駆け込んで俺が触れた手で自分を慰めたりするんだろう。
男に欲望を向けられることは実のところ慣れている。
兄を刺した相手を追いつめるためなら俺は何でもするつもりだ。
猫を被るしネコにだってなってやる。