▽ ぼくと父と藤鳥さんと……
リクエスト企画でもらった「藤鳥さんの年上エロ紳士攻め」というリクエストで書きました。
父の様子はぼくが聞いても分からないので藤鳥さんに任せている。
正確には組員さんがしてくれている。治療は順調だというからぼくは何も心配していない。
委員長は忙しいから一緒に暮らしていてもあまり顔を合わさない。
朝ごはんを家族そろって食べる習慣がないらしい。
ぼくがひとりでご飯を食べるなんていやだと言ったら藤鳥さんが一緒にいてくれるようになった。
父は食べたり食べなかったりで治療が順調には見えない。
そろそろぼくは父の手作りハンバーグが食べたかったので家に帰ることを提案した。藤鳥さんは大丈夫だと言った。
たまたま委員長も一緒にいたので居候させてもらったお礼に藤鳥さんと委員長を夕食に誘ってみた。
ふたりは楽しみだと家に来る約束してくれた。
家に帰ると自分の家なのにどこか淋しい気がして落ち着かない。
きっと委員長の家でいつもいっぱいの組員さんを見ていたからだ。
ぼくの家には父しかいないから父がちゃんと父をしていてくれないとぼくはひとりになってしまう。
今はまだまだ治療中だから父はぼくの父として以前と同じになっていない。
寝室に引きこもってぼくのことなんか忘れている。
「ひぃ、ひぐっ、……イグッ、……ぅ」
獣じみた低い声が耳を澄ませると寝室から聞こえてきた。
声を殺そうとして父は声が濁っているようだ。
ぼくに内緒で気持ちよくなろうとしているのは配慮なんだと藤鳥さんは言っていた。
けれど、ぼくが家にいるときにお尻の気持ちよくなるスイッチのことばかり考えるなんて間違ってる。
ムカムカしたのでぼくは藤鳥さんに告げ口をした。
父はまったくダメな人。こらえ性がないのです。
藤鳥さんは五人ぐらいの組員さんたちを引き連れてやってきた。
そうして父のはしたないお尻を叩きながら叱りつけていた。
目隠しをした父はいっぱい謝っていたけれど口だけだ。
お尻を叩かれているのに「きもちいい」と叫んでいた。
ぼくの不機嫌を感じた藤鳥さんが組員さんたちに何か指示を出した。
一時間後に家に戻れば大丈夫らしい。
仕方がないので誘われるままに委員長の家に逆戻り。
委員長と一緒に宿題をしていたら一時間はあっという間に経っていた。
父が藤鳥さんにお礼を言いながらぼくを迎えにきた。もう、いつもの父に見える。
家に帰ったらまたダメになるのかと思ったら特にそれもなくハンバーグを作ってくれた。
ハンバーグはやっぱり父の手作りが一番おいしい。
藤鳥さんも委員長もおいしいと言ってくれた。
四人で食べるご飯はおいしくてぼくは満足した。
藤鳥さんが泊まっていくと言うと委員長も泊まりたいと言った。
お客さん用の布団はちゃんとあるので問題ない。
「いっしょに、おふろ?」
お風呂にひとりで入れないのは小さい子だけ。
ぼくはまだまだ子供だけどお風呂にひとりで入れないほど子供じゃない。
断ろうと思ったぼくは藤鳥さんがやくざさんだということを思い出した。
やくざさんと言えば刺青だ。
武闘派じゃなくてもやくざさんに刺青はつきものだ。
藤鳥さんに服を脱がされることはあっても藤鳥さんの裸は見たことがない。
ぼくは藤鳥さんがどんな刺青を持っているのか気になった。
お風呂で確かめないといけない。
やくざさんは温泉に行けないとテレビでやっていたので特別に湯船に温泉の素を入れる。
にごり湯でお肌がすべすべになるらしい。
ぼくはすぐのぼせちゃうから長湯はできない。
「藤鳥さん、いれずみ、ないの……」
予想外にきれいな背中。足にも見当たらない。
下半身に巻いていたタオルもとってしっかりと確認するけれど刺青はない。
毛に隠れているのかと座っている藤鳥さんの足の間に体を入れて毛をかき分けるようにして探していると困ったような顔をされた。よくよく考えると失礼だったかもしれない。
「ちいさな指先でいじられたら反応してしまいますよ」
「触られると大きくなるんだっけ」
ぼくはじんわり熱くなったりおしっこしたくなるような気持ちになるだけで父や藤鳥さんほど大きくなったりしない。勃起はしても何も出てこないから父の気持ちもわからないのかもしれない。知る必要はないかもしれないけれど藤鳥さんの刺青を見れなかったぼくは何か新しいことに手を出したくなっていた。
「お尻もおちんちんと一緒で大人にならないと気持ち良くならないんですか?」
「そんなことありませんよ。……試してみますか」
藤鳥さんの大きな手がぼくのお尻をゆっくりと撫でて揉む。
どんな体勢がいいのかと思えばいつものように膝の上に乗せられる。
いつもは太ももを撫でられるけれど今日は腰を撫でてお尻をもみもみ。
そこからどうするのかと思ったら石鹸で洗ってもらった。
藤鳥さんの指先は乱暴じゃないので気持ちがいい。
ときどきキスされながら足の指の間まで丁寧に洗ってもらった。
この時点でぼくは湯気にあてられてぼんやりしていた。
藤鳥さんにお願いされたので湯船のふちに寄り掛かる。
どうやら本格的にはじめるらしい。
服の上から撫でられたり押されたりするのは藤鳥さんにされたことがあるけれどそれ以上はなかった。
イヤならすぐにやめると言って藤鳥さんはぼくのお尻を揉みながらお尻の穴を撫でた。
うしろのことだから想像だけれど桃を半分に割るときの手の動きだと思う。
藤鳥さんは両手でぼくのお尻を割こうとしている。もちろん、お尻は最初から二つに割れているのでどうにもなったりしない。手つきはあくまでも優しい。藤鳥さんの親指がゆるく押してくる。
ぼくは湯船から立ち上る湯気が熱くてうしろに下がろうとした。
それは藤鳥さんの指に自分からお尻を押し付けるような動きだ。
藤鳥さんのたぶん親指がぼくの中に入っていく。