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▼ 父親が気づいたらクズビッチになっていた件について


 その日、ぼくは学校が早く終わったので急いで家に帰った。
 いつもは遊びに誘われたり誰かの家で夕方までお邪魔している。
 
 母が外で働いていて父は家で仕事をする人だった。
 父が家事全般をする主夫とはいえ仕事をしているらしいので子供であるぼくがいると邪魔になる。
 もちろん、いつもじゃない。というか以前はそんなこと言われなかった。
 今は忙しい時期だからと父にお願いされたのだ。
 
 はじめは何とも思っていなかったけれど日が経つにつれて、ぼくはおかしい気がしてきた。
 今までにない父の言動。仕事はずっと忙しいままで家事がすこしおろそかになっている。
 出張が続く忙しい母に以前は文句を言っていたのに今では平然としていた。
 むしろ、母の出張を喜んでいるような気配すらある。
 
 ぼくは父が浮気をしているのではないのかと考えた。
 
 父を疑うなんてよくない、それは分かってる。
 でも、どうにも家に他人が侵入した痕跡を見つけてしまう。
 
 ぼくの専用のシャンプーの減りが早い。
 
 父も母もぼくのシャンプーは使わない。
 ぼくはアトピーで季節の変わり目やストレスが溜まると頭皮がとても荒れる。
 だから、刺激が少ない天然もののシャンプーを使っている。
 母は美容院でしか購入できないシャンプーとトリートメントのセット。
 父は石鹸だ。
 
 そして、シーツやタオル、服を洗濯している回数が増えた。
 ぼくが帰ってくるときに高確率で洗濯機を使っている音がする。
 夜にもかかわらず外にシーツを干す父の姿に違和感しかない。
 以前はそんなことなかった。
 昼間のうちにシーツを干して寝る時に気持ちよくしてくれるのが父だった。
 ぼくが帰ってきたら夕飯が用意されているかおやつをくれる。
 それがぼくの知っている大好きな父だった。
 
 
「……ひゃっ、あっ、あんっあぁ、イイっ、そこぉ、きもち、いいっ」
 
 
 聞こえてきた声に足が止まる。ランドセルを玄関に置いて抜き足差し足忍び足。
 父の仕事部屋を目指して歩いていたら奥にある父と母の寝室から声がする。
 どうやら扉が開いているらしい。
 
「はっ、あんっ、あ、あん、あっ。チンポ触られたら、や、やら! すぐイッちゃうから、め、やめ」
 
 弾んだ息と水音。聞いたことのない声音が父のものだとは信じられない。
 部屋の中を覗くのは危険だと耳を澄ませる。
 
「チンポ、チンポきもちいっ、いいよぉ、……おくっ、奥が、いいっ」
「夫婦の寝室でよがりまくりとか最低だな」
「やぁ、いわないでっ」
「気持ちよくなっちまうから?」
「きもちい、い、……サイテイなの、サイテイセックスきもち、いいっ!!」
「あーあー、奥さんも息子もかわいそー」
 
 ぐちゅぐちゅと聞こえる水音が激しさを増していく。
 父と思わしき声が受け答えも出来なくなったのか「あ、あん、あっ!! アっ、あぁ」と喘ぐばかり。
 信じがたいけれど、耳を塞ぐことはできない。
 父とは違う誰かの声が「オクに出してやるからケツマン締めとけ」と口にすると一際、甲高い声が声が聞こえた。
 印象としては馬のいななき。
 
「んんっ、イッたあとに動かないでっ」
「そんな絞るようにケツマン絡みつかせといて何言ってんだ」
「またイッちゃう! イッちゃうっ!!」
「ははっ、精液だらだら出てやがる。変態すぎんじゃねえ?」
「しろいお漏らしとまらないっ」
「息子だってもうお漏らししねえだろ? 父親として恥ずかしくねえの」
「はずかしいっ、はずかしいです」
「漏らさないようにお仕置きセックスしよーか?」
「おねがいしますっ」

 肉を叩くような音と「あひぃ、ひぃ、やっ」という悲鳴のような声が聞こえる。
 想像するに父が男に叩かれて声を上げているのだろう。
 声には苦痛よりも隠せない喜びが滲んでいた。
 
「精液を勝手に漏らさないように尻叩いてんのにチンコこんなにおったてて何してんの」
「おしり、ヒリヒリしてきもちい、い」
「いい大人がそんなんでいいの? よだれ垂らしてあへあへして」
「ごめんなさいっ、まいにち、せーえきぴゅっぴゅっすることしか考えなくて、ごめんなさいっ」
「主夫なのに間男とのセックスしか考えられないんだ?」
「チンポないとおかしくなっちゃう、毎日ハメハメされたいですっ」
 
 男が父の生活態度を責めて、父が懺悔しながらそれを認めて男と欲しがる。
 ある種パターン化した行動を繰り返しながらふたりは何度も繋がった。
 父は精液だけではなく尿も垂れ流して男に汚いと罵られ尻を叩かれたり性器を乱暴に握られたりしながらも暴れることなく受け入れていた。
 ごめんなさいと謝りながらも喘いで「チンポくださいっ」とおねだりをかかさない。
 ぐちゃぐちゃに混じり合ったふたりは時間を忘れているようだ。
 
「息子がもうすぐ帰ってくんじゃねえの?」
「まらっ、まら、かえってこないからっ、チンポとめないでっ、抜いちゃヤぁ」
「子供を遅くまで外に行かせてんの?」
「んっ、……らいげつ、から、じゅくに」
「ふーん? そんなにオレとセックスしてえんだ」
「し、したっい、いっぱいぐちゃぐちゃのセックスしたいっ」
「奥さんと息子居るのにこーんなセックス狂いになっちゃって……ははっ」
「チンポっ、チンポぉ」
「家族とオレのチンポだったらどっちが大切?」
 
 意地の悪い質問に父は一瞬声を止めたがすぐに男の「よくできました」という声と感極まった喘ぎが聞こえてきて父が小さな声で家族ではない方をとったのが分かった。
 
 気づいたときには遅かったのだろう。
 父は父ではなくなっていた。
 寝室にいるのは父ではなく男を咥えこむことを生き甲斐にしているクソビッチだ。


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