愛玩ペットが一番マシかと思います!! | ナノ

  036 空気を読まないのは悪いと思いますが


 話はまだ続きそうな気配があるのに俺は自分の身体に異常を感じていた。
 首を傾げそうになるのをA兄さんの頭の重みを感じてやめた。
 何だこれと思ってから理解した。

 これは尿意だ。

 口が渇くから乾パン的なものを食べた後にお茶をがぶがぶ飲んでいた。
 お茶は五人用ぐらいな大きめのポットに用意されていて飲んでいたのは殆ど俺。温かなで癖のないプーアル茶みたいなだったから抵抗なく口に入れていた。やっぱり元の世界にあるものを連想させられると気が緩む。
 いや、焼きうどん的パスタは元の世界というよりチーズを俺に連想させて苦しめてきたけどね。
 トマト系ソースとチーズの相性は抜群ですよ。
 パスタって言ったらミートソースにパルメザンチーズだよ。食べたい。
 
「彗星? どうかしたか」
 
 服の上から俺のお腹を撫で撫でしてくるA兄さんはもしかして分かっているのか。
 バレているのか? 図っているのか??
 こう見えてDのように腹に一物あったらショックだ。
 
「Dが彗星の腹は弱いと言っていた。痛むか?」
 
 心配されているの、そこを押されるのはヤバい。
 でも、触らないでって言ったら傷つけるだろうから、穏便に。
 穏便にトイレに行きたいって言ってDに却下された記憶が俺に生々しくよみがえるわけですけれど、さて、どうしよう。
 A兄さんだけなら何とかなりそうだけどBがいる。
 白衣を乱してハァハァ言っているツインテールの変態さん。
 何でこの人はツインテールなんかするんだ。ツインテールに恨みでもあるんじゃないのか。
 これからツインテールを見てかわいいじゃなくて変態としか思えなくなる。
 ツインテールにマイナスの呪いをかけたいとしか思えない。
 
「彗星?」
「……あ、あのさ」
 
 空気が読まないとはいえ放置できない尿意。
 これはおねだりスキルを見せる時だ。
 わりと年上にはかわいがってもらえる俺だからA兄さんを信じる!!
 
「トイレ行きたい」
 
 A兄さんのスーツに皺をつけるように握りこんじゃっているけど、仕方がない。内容がこんな情けないものなんだから仕方ない。
 驚いたように俺の腹から手を離すA兄さんの手を握る。
 指と指を絡ませるように握る上級者向けの手繋ぎ。これが別名、恋人繋ぎだっていうのは知っているけど、ぎゅっぎゅっしながら言うと相手を追い詰めたりする効果があるのか自分のペースで話を進めることが出来る。
 主導権を渡してはならない。俺の健全なる精神のためにトイレにちゃんと行くのだ。
 
「間に合いそうか?」
 
 Dみたいに意地悪を言ってこないA兄さんに涙腺が決壊しそうになった。
 俺はたった一日で心を弱くしてしまったらしい。
 優しさが染みる。
 
 そしてA兄さんの言う通り俺は限界みたいだ。
 尿意を感じないで過ごしていたせいでお察しの通りギリギリです。
 動いたらアウトかもしれない。自分でトイレまで歩けないとか初めての体験なんだけど。
 小さい頃ってどうだったっけ?
 過保護にされていたけれどわりとオムツ生活長かったような、比較対象がないから気づいてなかったけどあれはあれで異常だったかもしれない。
 落ち込んでいる場合じゃない。現実逃避しないで目の前の事態に対処しないと罪悪感で胸が押しつぶされることになる。
 俺の今の位置はA兄さんの膝の上だ。A兄さんの膝の上で失禁とかないよ。ありえないよ。できないですよ。
 生きていられなくなる。気分的に死ぬ。
 
「このカップに出すか?」
 
 テーブルの上のカップを指すA兄さんの優しさと親切心プライスレス。
 俺には過ぎたものというか、その妥協案にすらふざけてんじゃねえよと思ってしまう恩知らず。
 飲み物なんか用意しなければいいと姿の見えない誰かに悪態をつきたくなる。
 
「彗星?」
 
 A兄さんがオロオロしているような空気を感じながら俺は俯いて動かない。
 今すぐに気を失えればいいのに。
 窓が開く音がする。
 
「外でヤっちゃえ!!」
 
 良い笑顔でBが提案してきた。
 BはどうしようもなくD寄りだ。ソックリ兄弟だ。
 みんなA兄さんに似ればいいのに。
 
「養分養分」
 
 言いながら木を指さして笑う。
 性格が悪いニヤニヤ笑いはDと同じだ。
 
「泣き顔とか困り顔……ぶっかけてぇのぉ」
 
 ふへへ、と笑いながら頬っぺたを撫でるBが怖くてちょっと漏らした。
 もう、俺に選択権はない。
 
「えい、兄さん……お願い」
「口に咥えておけ」
 
 めくり上げた裾をA兄さんに口元に持ってこられた。
 さっきみたいに手でつかんでいればいいと思ったけど変な声が出ると嫌なので大人しく従った。
 ふわふわで軽すぎるものが口の中に入ってくる。少し息苦しい。
 口の中に繊維がくっつく感じがないのは助かる。
 
 毛糸のパンツ的なものを脱がされて下半身が晒される。
 レースのチンコガードも不思議石も取られたままだ。
 不思議石を抜いたままにしなければ尿意を感じずにいられたのに俺はこの世界のルールにまだ馴染んでいない。
 
「外に出るぞ」
 
 両足をそれぞれ抱えた状態で持ち上げられた。
 A兄さんの膝の上にいたわけだから、A兄さんが立ち上がるのと一緒に俺も持ち上げられているわけだけれど視線の位置が高い。
 下半身が晒されていてこれから放尿することを考えると頭の中がぐるぐるしてくる。
 俺の身体を抱き上げているA兄さんは元よりBにも見られるわけだよね。
 冷静になればなるほど異常性が浮き彫りになる。
 
「ほら、彗星」
 
 俺の頭を狙う綿毛は飛んでこなかった。
 Wが吹き飛ばしてそれっきりなのかもしれない。
 それともこちら側にはいないのだろうか。
 ベルトルがWを呼んだ部屋の近くは踏みしめられた芝生があるだけで木々はなかった。
 逆にこちら側には草木がいろいろと揃っている。
 見渡す余裕はないけれどお茶しながら花や木を見れるようになっているんだろう。
 窓の外の景色は部屋によって違う。
 
 風に乗って感じる花の匂いにほのぼのする気持ちに比例して限界は突破された。
 じょぼじょぼっと鳴る音が自分が立てているのだと分かっているのに恥ずかしさよりも解放感があった。
 排泄が気持ちいい事だと忘れていた。
 さっきA兄さんの口の中に射精したのが気持ちよかったのに都合よくなかったことにしていたからこそ、今回のことを引き起こしたんだ。
 木の根元に向けて両手でチンコを握って標準を合わせるのがこんなに気持ちがいい事だとは思わなかった。射精感とは違う快楽。
 ぴっぴっと尿を切って一心地をついた俺にA兄さんが声をかけてきた。
 
「ちょっとそのままでいてくれ」
 
 そのままがどのままか分からないでいたら俺の体勢が変わった。
 よく見えないけれどA兄さんに片腕で抱かれているらしい。
 何をしているのかと耳を澄ますとベルトを外したり下半身を緩めようとしている音がする。
 俺がやっているのを見てA兄さんもしたくなったとかそういう連れション的なノリなのかと思ったら「彗星の足の間に挟む」と言われた。
 
 うん? ちょっと待とうか。

「催した」

 エロい意味でって付け加えるまでもなく分かるけどA兄さんのチンコの上に降ろされる。
 チンコに体重が掛からないようにA兄さんに両手で抱えられているけど、これちょっと間違ったらA兄さんのチンコが大惨事じゃないか。
 俺の中に収納した方がバランスが取れるというかチンコが安全というか。
 A兄さんはご立派なものをお持ちだから俺の体重が変にかかって怪我をさせたら申し訳なさ過ぎる。
 
 抗議したいけど口の中には服の裾。
 口を開いたら裾の長い服は確実に汚れる。精液で服が汚れるのは出来たら見たくない。
 
 いや、でも、A兄さんのチンコはピンチじゃないのか、これは!?


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