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  031 人は混乱すると思わぬ行動に……ごめんなさい


 気持ちが良すぎで前後不覚で何も考えられないってぐらいにトロトロにされているのに俺は射精に対して忌避感があった。それをしたら自分の中の何かが壊れるとまではいかないけれど新しい扉を開け放ってしまう。
 精液をぶちまけられても飲まされてもDは俺のチンコを触ってこなかった。
 後ろの穴には説明なしで不思議石を挿入されたけどそれ以上のことはされてない。
 ベルトルには全身ぺろぺろされて、チンコだってぺろぺろされちゃったけど不思議石のせいで射精感はあっても精液は出てない。
 イッたとしても物的な証拠がなければ俺は俺を誤魔化せる。
 
「えっ……にっぃ、……らぁ」
 
 やめて、やだ、ってすぐに言えるはずの言葉が出てこないのは舌が回らない以前にやめて欲しくないんじゃないのかとぼんやりと考える。
 
 強面でズレてるとはいえ真面目なA兄さんが髪の毛のセットを乱れさせてまで俺の前に膝をついてチンコをしゃぶっている。
 この異常性は結構すごい。
 実際に咥えられているところが見えないからこそ聴覚と触覚が冴えわたる。
 じゅるじゅると音を立てているA兄さんのいやらしさは第一印象からは程遠い。いいや、会ってすぐにA兄さんからキスをされたことを思えばA兄さんはセクハラしてくるエッチな人?
 Dやベルトルが強烈だから勘違いしただけでA兄さんだって俺を舐めたり乳首噛んだりしたわけだ。一人真面目顔してるんじゃねーっとツッコミ入れるべき変態さんだ。
 キスを思い出すと口の中が熱くなる。唾液が溢れてくる予感。
 A兄さんと唇が触れあい、舌が絡んだ。昔だなんて思えないつい昨日のこと。
 裾を持ち上げていた手がいつの間にか離れて俺は自分の唇を指で撫で人差し指と中指を口の中に入れていた。
 A兄さんの頭が上下するのに合わせて俺は自分の指も口の中で抜き差しする。
 口が物足りないなんて思ったわけではないのに指を動かすのが止められない。
 自分の口から聞こえる唾液をかき混ぜる音がA兄さんの口から出ている音と同じなんだと思ったら興奮した。
 ベルトルに舐められた時にも思ったけれど舌の感覚もくすぐったくて気持ちがいいけれどそれ以上にちゅっちゅっ、じゅるじゅる、響く音がとてもエッチで恥ずかしい。
 
 ふと思ったのがここが廊下だということ。
 広い屋敷の長い廊下。
 石だったり絨毯していたり色々な感じの床に視線を向けると黒い蛇がいた。
 ちょうど石造りの白い床の上だったから分かりやすい。
 昨日、俺の手に絡まっていた蛇と同じだろう。
 俺の視線にハッとしたような頭を持ち上げて周りを見るような動作。随分と人間らしい仕草をするあたりが普通の蛇とは思えない。
 体を反転させて蛇っぽく舌を出した後に首を傾げるように上半身というか頭から数センチ分を横に傾ける。
 人間だったらいわゆる「あれ、こっちにいると思ったんだけど違った。間違い間違い。あ、私のことはお気になさらずに」みたいな白々しい演技。

 そのまま去って行こうとする黒い蛇にマックス状態だった恥ずかしさはメーターが振り切れた。
 
 すでに俺は裾を持ち上げていないからスカートの中に顔を突っ込んでいるようなA兄さんも今にもイキそうな俺が自分の指で口の中を刺激しているのも蛇にはバッチリ見られてしまった。
 蛇に見られたことぐらいで混乱してる場合じゃないのかもしれない。

 コツコツと靴音にしか聞こえない音がする。
 絨毯のエリアじゃない、固い材質の床となると考えなくても近い。
 直感的に単独で蛇が出歩いていたのではなく案内役を買って出たのだと察した。誰かが来ている。こちらに向かって歩いてる。
 
 どうしてか俺はA兄さんを隠さないといけないと焦った。まずは離れて身繕いというのが浮かばない。ニットのワンピースぐらいに長い服の裾を引っ張ってA兄さんの頭にかぶせた。服の内側に隠そうという考えは冷静になればバカみたいなのに必死だった。
 A兄さんの頭を庇って隠そうとする気持ちのまま前傾姿勢になる。その間もA兄さんの口の中に俺のチンコがあるにもかかわらず、だ。
 頭を俺に密着させるように動く俺はA兄さんの喉奥に無理やりチンコを突っ込んだ形になった。腰を引こうにも服がさすがに限界でそれ以上に俺が限界だった。情けないが喉の奥に当たった刺激で射精した。
 これはイラマチオ的な行動になるんじゃないだろうかと血の気が引いたのはすぐだ。襲い掛かる賢者タイム。内心での懺悔タイム。
 
 息を吐き出して服の裾をめくって壁を背にしているまま横にずれた。頭の中がグルグルしているのは快感とかじゃなくて食が合わずにお腹いっぱい食べてないからだ。そうに違いない。これは貧血だ。落ち着け。
 半歩ほどだけれどA兄さんと距離を取ったことで冷静な思考が帰還した。
 A兄さんの口から萎えた俺のチンコが出る時に歯が触れて痛気持ちよかったと最低なことを思ったりしたけれど俺は冷静なはずだ。
 
「……ごめんなさい」
 
 心の底から反省してます。本当です。
 グチャグチャな髪の毛をA兄さんは手櫛で後ろに流して整えながら軽く咳こむ。
 舌がペロッと唇をなめて俺の精液を回収していく。
 大体は喉奥に射精したので本当ならA兄さんは吐いたりしそうだけれど平気そうだ。
 
「垂れてる」
 
 俺のチンコを舐めて、尿道に残った精液の残滓をA兄さんは躊躇いなく吸い出した。
 一通りちゅっちゅっと聞こえた音が止まったかと思って閉じていた目を開けるとA兄さんの満足気な顔。やりきった、一仕事を終えたという顔は怒りも何もない。
 
 もう一度謝ろうとした俺に「もーいいかい」と掛かる声。
 そういえば足音がしていた。
 
「オレを無視してちゅっちゅっいちゃいちゃってどーなんよ?」
 
 自分でプンプンと擬音を口にしている水色の髪をツインテールにしている裸に白衣を着た男。
 何処からどう見ても変質者です。
 
「わざわざ研究塔から外に出たオレを構って! もっともっと構って!!」
 
 股間を突き出して前後にカクカク動かしだす変態さん。
 ぐるぐるひねるような腰の動きから目が離せない。
 
「勃起しないオレのふにゃちんをちゅっちゅっしたっていーんよ?」
 
 近づいて来る白衣の変質者。
 逃げようとした俺は混乱のあまりなぜかA兄さんを蹴り飛ばしてしまった。
 たぶん身体の向きとかそういうののせい。
 本当すみません。


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