愛玩ペットが一番マシかと思います!! | ナノ

  029 俺の羞恥心の復活


 禁断症状は怖い、イヤだと訴えてA兄さんにお口でご奉仕の流れを取ってみたけれど結果は不発。
 A兄さんにムードが大切だとか言われた。
 童貞をこじらせている人間の発言だと生温かい眼差しになってみたものの実際は俺の舌さばきが未熟ということなんだろう。ムードとかそれ以前に技術がなってない。

 基本、そこにいるだけでいいぶっかけてあげるからみたいな流れしか味わってない初心者フェラでどうにかなるはずがなかった。

 巨根兄さんを満足させるテクニックは持っていない俺に発狂しない未来があるのか謎だ。発情して死に至るぐらいに発狂するのかもしれないけれどDやベルトルの反応からすると奥の手があるのかもしれない。そうじゃなきゃA兄さんと俺だけにしたりしないはずだ。

 よだれでグチャグチャな顔はイイなんて褒めているのか分からないことを言われながらA兄さんの先っぽをちゅっちゅっぺろぺろして成果なしな俺に足りないものは色々あるけど何が正解なんだろう。死ぬ前に何とかしてくれるとしても苦しむのは嫌だ。
 禁断症状とか響きが怖いし味わいたくない。
 ムードはどうやったら作れるんだろう。
 モテる人間として思い浮かぶのは火内優成だけれどアイツは何もしなくても愛されるタイプの人間だ。周りを気遣い尊敬を集めていたというと夏村流水かもしれない。でも、ムードを自分で作るというよりも顔や声を含めた要素が自然と作り出しているのかもしれない。

 そもそも朝はエロい雰囲気なんてあったのか俺には分からない。
 唐突に始まった気がする。
 他の兄弟が興奮していると自分も興奮する的な話かな。
 考えていたら無意識に自分の唾液をついシャツの袖口でぬぐってしまったから着替えることになった。
 A兄さんはそう言うのが気になるタイプらしい。それならベルトルをもう少し行儀よくするべきだと思うけど借り物のシャツの袖を汚すのはよくなかった。

 今後、俺にはタオルが必需品かもしれない。

 服を汚したことを反省したがワンピースのようにワイシャツを着ているよりもマシな格好になれるならいいとズルいことを思ってもいる。
 今はDもベルトルもいないから変な方向にはいかないだろう。
   
 さて、俺の今の姿はなんだろう。
 
 季節感無視なのか、この世界ではこのぐらいの服装がちょうどいいのか分からないけれど秋冬の装いな気がする。
 
 髪の毛に襲い掛かってくる白い綿毛を長い丈のセーターにしたようなものを着ている。
 長さは太ももまである。屈んだりしなければ下半身は出たりしないぐらい。
 女の子のニットワンピースとかそんなノリ。ちょっと長さは足りないけれど。
 
「開きすぎじゃない?」
 
 薄手というか重さを感じさせないし柔らかくて着心地はいいけれど首元がガツッと開いていて裾を引っ張ると肩も出てきてしまう。
 
「かわいいは無罪という言葉がある」
 
 A兄さんは天然ボケさんなので多分、この訴えは通らない。
 Dはあんまり俺にとってよくない代案とかを出すけどA兄さんは一切変えるつもりがない。
 俺の言葉がもう少しうまかったらA兄さんを変えることが出来るかもしれない。
 
「寒いか?」
 
 生足を撫でられてぞわぞわする。
 靴はセーターと同じような軽いぽわぽわ素材の室内履き。
 歩くたびにキラキラとした光の軌跡が残る気がする。
 完全なオパールの輝きじゃない。
 貝殻の内側とか真珠とかぐらいの白が全面の七色。
 虹などのような七色の色じゃない。ユラユラ揺らめく独特の輝き。
 
「寒くはないけど少し落ち着かないかも」
 
 洋服はちゃんと着ているのに軽すぎる素材は裸のような居心地の悪さがある。
 
「やはりシャツの方が良かったか?」
「大丈夫、慣れてないだけだろうから」
 
 裸なんて昨日何度もなったからそれに対する羞恥心など実のところなくなってる。
 なのにどうして俺がこうまで服に対して意識を持って行かれているのかと言えば股間だ。
 俺のチンコをガードしているレース。
 ベルトルから渡された小さいズボンはA兄さんに締め付けるのはよくないと取り上げられた。
 俺の下半身をガードするものが減ったことで不安はあったけれど毛糸のパンツ的な状態のぽわぽわのトランクスほどの丈のパンツは俺が求めていた物なので黙るしかなかった。
 毛糸と言ってもボソボソした手触りじゃない。セーターと同じようにカシミアとかアルパカとかそのあたりのやわらかくてしっとりとした肌に馴染む質感。
 丈の長いセーター、毛糸っぽいパンツ、柔らかな室内履きそれが俺の装備品で鏡で見た限り普通に見える。
 外で人に会うには微妙でも室内着なら許容範囲。
 
 ただ繰り返すが問題は股間だ。
 
 レースのチンコガードはそれはもうすっぽりと俺のチンコを覆っている。
 他の服が同じ系統の素材で着ている心地がないぐらいの軽さのせいで俺の意識はどうしても股間に集中する。
 レースが擦れるということはないはずなのに気にしだすと股間が窮屈に感じる。
 もしかして勃ってしまって大きくなったりしたせいでサイズが合わなくなったんだろうか。
 リボンというか紐で調節できるようになっているのは朝にパッと見た時に分かっていた。
 でも、俺はそれをどこでするんだ。
 股間が息苦しいから緩めたいなんてことを堂々とA兄さんに告げるのか?
 ペットとはいえ開き直りすぎじゃないか。
 裸は恥ずかしくないのにこれを伝えるのは恥ずかしいなんて俺の羞恥心スイッチは何処に行ってしまったのか。
 普通ならトイレに行くっていう一言で済むけれど俺は尿道に得体のしれない棒を入れられてトイレ不要ということになっているから言い出せない。
 勝手に屋敷の中を歩き回って禁断症状が出たりすると困るからA兄さんから離れてチンコを楽にしてあげることが出来ずにいる。
 悶々と悩む俺はA兄さんがお仕事をするらしい場所へ向かうのを追いかけている。
 擦れないと言いつつやっぱり擦れているかもしれない。
 ベルトと違って先っぽまですっぽりと覆っているレースのチンコガード。
 肌色が透けて見えるレースで飾られたチンコを思い出して羞恥心が襲い掛かってきた。
 棚上げしていた自分の下半身事情。
 後ろの穴に入れっぱなしの不思議石。
 尿道に入っている不思議棒。
 そしてレースに包まれたチンコ。
 
「えい、にいさん」
 
 思わず前方にいるA兄さんの背広を掴んでしまう。
 スーツが皺になっただろうと思っても手が離せない。
 言葉が絡まって出てこない。
 尿意がないからトイレ行きたいわけじゃないのに股間をどうにかしたいからトイレ行きたい。
 もじもじしている俺にA兄さんは「もしかして」とセーターの裾をまくりあげた。
 膝をついて俺の股間に顔を寄せるA兄さん。
 そのまま毛糸パンツを膝まで下げて、レースのチンコガードを外そうとするので俺は自分でセーターの裾を両手で持ってたくし上げる。
 女子がスカートを自分でめくっている構図が思い浮かんでしまったのは羞恥心の暴走のなせる業。
 
「寝ている時にベルトルたちがつけていたから少し合わなかったのかもしれないな」
 
 一度外して付け直そうとしてくれているA兄さんの面倒見の良さは世界一だと誇っていいかもしれない。
 顔だけで言えば美女でしかないDが一番で言いなりになるのは年齢的にベルトルだけどイケメン度は内面も外面もA兄さんが上かもしれない。
 何も言わずに黙々と作業する職人気質は髪型に反して真面目そのもの。
 今もご自慢のリーゼントが俺の腹のあたりにくっついてぐしゃぐしゃに乱れても気にしていない。
 真剣に俺のチンコを見ている。
 羞恥心とへその周りを髪の毛で刺激されることで足が震えだす。
 チンコを見られて興奮しているなんてことあるわけない。
 裸だって平気だったのに服の裾を持ち上げて自分でチンコを見せ付けているようなシチュエーションに興奮してるなんてことあるわけない。
 指先で状態を見るように下から上に撫でられる。
 A兄さんの髪型のせいでどこをどうやって触るのか立っている俺からだと見えない。A兄さんの手元が見えないことに不安じゃなくて期待をしている自分がよく分からなくなりながら漏れ出そうな声を押える。
 壁に寄りかかって息を落ち着けようとしたら頭が真っ白になる刺激がやって来た。


prev / next

[アンケート] [ 拍手] [愛玩ペットtop ]

×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -