学校生活に慣れてきて、友達もできた。


「雅ってさ葵君と仲良いよねー」

「羨ましいなぁ〜」


お昼休み、友達と一緒に教室でご飯を食べていた。


「え?どうして羨ましいの?」

そういうと友達は驚いた表情をした。私、何か変なことを言っただろうか?


「だって葵君はこの学園の王子様的存在なんだよ!?」


「そうそう、知的でクールだし、かっこいいし、優しいし…」

私には優しいと言う言葉がピンと来なかった。
優しいと言うより、意地悪だと言った方がピンとくる。 

「でも、私と皇毅君はただの幼なじみだし…あんまりピンと来ないかな」


えっ、どうしてそんな変な顔するの?やっぱり私って変なのかな…?



「雅さ、葵君の好きな女子のタイプとかって聞いてこれる?」


「いいけど…聞いてどうするの?」


ニヤニヤ笑う二人。一体何を考えているか分からないが、とりあえず聞いてくるだけ聞いてこよう。

いい具合にお弁当も食べ終えた所だ。





「皇毅君、質問があるんだけどいい?」


「分からない所でもあったのか?」

皇毅君はパンを食べながら、めんどくさそうに晏樹君の話に耳を傾けていた。


「あのね、皇毅君の好きな女の子のタイプって何?」


「……突然何を言い出すかと思ったら」 

眉間にシワが寄った。
聞いてはいけないことだったのだろうか?


はぁ…と溜息をつき、皇毅君は渋々口を開いた。



「そうだな…子犬だな」


「えっ?」


子犬…?それ人間じゃないよね?


「ねぇ皇毅君…女の子のタイプだよ?」


「だから、子犬みたいな人が好きだと言うことだ。」


子犬みたいってことは…

「可愛いってこと?」


「小さくて可愛くて目が離せなくて…人一倍さみしがり屋ってことだ。後…どこまでも健気に主人の後についていく…そんなやつだ」


ちらりと友達の方を見た。二人はニヤニヤと笑いながら、手を振っていた。 
「そうなんだ…ありがとう皇毅君!」


よし、任務は終わった!これなら友達も大満足だろうと友達の所に戻った。




「何だか大変だね皇毅」


「お前に同情されたくない」


雅が鈍感だと言うことなんて知っている。
昔から一緒にいるから恋愛対象としては見られていないと言うことは嫌でもわかる。


だが、今はこのまま一緒にいるのが一番いい。
まだ三年あるんだ。どこかにチャンスはある。

願いを未来に託してみた。




end
20110227
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