まさか寝てしまうなんて思わなかった。つい、うっかり皇毅君の膝を枕にして寝てしまうなんて…
「えーっと…次の授業は…」
朝は朝で皇毅君に置いていかれるし…本当ついてない。
「…ない。」
次の授業は国語。なのに、肝心のルーズリーフがない。
今日は初日と言うこともあって、ほとんどが黒板には書かない。教科書の説明をしていったり、成績の付け方などを話す。
でも、国語はノートを使うらしい。
ああ…あんなに昨日担任の先生がルーズリーフやノート持ってこいって言ってたのに。
「ルーズリーフならどうぞ」
あれ?この声は…
顔を上げると静蘭君の顔があった。
「こんなにいいの?」
ルーズリーフを5枚ほど分けてくれた静蘭君。なんて優しい人なんだろうか
「私も黒沢さんのクラスが良かった」
「静蘭君は隣のB組なの?」
そういうと静蘭君はええと頷いた。
「でも、どうしてこのクラスに?」
「先生にプリント置いてこいと言われたので、A組に来て…そしたら黒沢さんが困っていたようなので…ちょうどよくルーズリーフ持ってましたし」
静蘭君は、さっきの授業が終わってからまだクラスに戻っていないみたいだった。
「でも、静蘭君もうすぐチャイム鳴ると思うから早く帰った方がいいんじゃないかな?」
「そうですね、では次の授業頑張りましょうか」
静蘭君に手を振り、入れ代わりに入ってきたのは皇毅君だった。
「………貰ったのか」
「うん!静蘭君に貰ったんだ〜」
「ルーズリーフぐらいなら私だって持っているのに…」
なんて口に出して言えるはずがなかった。
end
20110224