入学式は終わり、一回目のホームルームが始まる所だ。
周りは皆知らない人達ばかりで緊張する。隣に座っている皇毅君は緊張しないのだろうか?
「皇毅君は緊張とかしないの?」
「何に緊張するんだ?」
ほら、やっぱり緊張してない。緊張してないどころか、気にしていないみたいだ。
「だって、みんな知らない人ばっかりだし…友達できるのかなとか…」
「雅には私がいるだろう?友達なんてすぐできるさ。私は雅だけで充分だがな」
皇毅君はそう言うけれど、そんな簡単にはいかないと思う。それに…
「あそこの人かっこいいよね〜」
「でもちょっときつそうだけどかっこいいから許す」
………凄い人気
皇毅君はまったく気にしていないみたいだけど、皇毅君は何を考えているのだろうか?
う、うーん…わからない。
皇毅君の表情からは何も読み取れない。
「ああ、雅の受験結果を見に行く時は緊張したな」
「えっ!?もしかしてさっきの話のことを考えていたの?」
「そうだが…」
皇毅君は意味わからないと言う顔をしている。
それにしても、どうして私の受験結果なんだろう…
「そりゃあ…気にする。ずっと勉強を教えてきたんだ。もし落ちていたら、推薦を破棄にしようと思っていた。」
「そこまで考えてたの?」
皇毅君は二回ほど咳ばらいをしながら
「雅と同じじゃないと落ち着かないからな。」
と言った。
「はいはい、そこの和やか雰囲気のお二人さん」
「私達のこと?」
目の前に現れたのは桃を両手に持った男の人だった。
「……まさか同じクラスなのか」
「いやー皇毅と一緒のクラスなんて光栄だよ。」
「私は嫌だ。だから私に関わるな。」
なんだか皇毅君の知り合いのようだ。ちらっとそっちを見たら、桃の人と目が合った。
「やあ、君が皇毅の可愛い可愛い幼なじみか。僕は凌晏樹。気軽に呼んでね」
晏樹君は私に一つ桃をくれた。
「桃大好きなの、ありがとう晏樹君」
「桃が食べたくなったら僕の所においで、たくさん食べさせてあげるから」
「突っ返してやる…」
皇毅君はずっと晏樹君のことを睨んでいた。
とりあえず、悪い人ではなさそうだ。
end
20110222