私はこの4月から彩雲学園高校の1年生。彩雲学園高校は偏差値が高く、私の行っていた中学校からは二人しか行っていない。
私は元々ここよりも偏差値が低い高校に入ろうと思っていた。
それなのにまさかこんな頭がいい高校に入れるなんて、担任の先生も驚いていた。
でも、私をこの彩雲学園高校に一緒に行こうと言って導いてくれたのは幼なじみの葵皇毅君だった。
皇毅君とは生まれた時からずっと一緒に生きてきた。
だから、一緒の高校になれて本当に嬉しかった。
あの夏の皇毅君と勉強した日々は忘れられない思い出。皇毅君はとても厳しい先生だったけれども、そのおかげで私は受験に受かったのだ。
「あっ、おはよう皇毅く…っわ!」
皇毅君の姿が見えたので、話し掛けようとしたらつまづいた。
皇毅君はまたかと半ば呆れていた。
「大丈夫ですか?」
「えっ…あ、はい!大丈夫です。」
手を差し出して来たのは見知らぬ人。
「制服が汚れますよ。ああ、私の名前はシ静蘭と言います。ちなみに、呼ぶときは下の名前でお願いします。」
私はたぶん制服からして1年生の静蘭君の手を借り、立った。
「あなたの名前は?」
「1年A組の葵皇毅だ。」
腕組をして私と静蘭君の間に入ってきたのは皇毅君だ。いつにもまして眉間にしわがよっている。
「ほら、雅早く教室に行くぞ」
「で、でも私まだクラス表見てな…っわ」
皇毅君は私の腕をつかみ、引きずられるようにして場を離れた。
「雅は私と一緒のクラスだ。」
私はずんずんと引きずられながら教室に着いた。
「おい、雅。」
「うん?皇毅君?」
「近寄って来る男は皆敵だ。絶対に近寄るな、喋るな、分かったな?」
もの凄い剣幕で言われ、ちょっと驚いた。
「う、うん…分かった」
そうして私の高校生生活が始まったのである。
end
20110221