「う、うーん…」
「どうしたの雅?」
「えっ!!」
私は突然肩を叩かれびっくりした。その声の主は友達だった。
「ああ、テスト結果ね」
「う、うん…私の代わりに数学の点数見てくれないかな?」
「いいけど…」
お願いっ!と手を合わせれば、友達は渋々と私の代わりに見てくれた。
8割取れてればいいけど…
「なん…点?」
「なんと……79点だね」
え?今何て言った?
「……79?」
「うん」
8割取れなかった…
私はゆっくりとテスト用紙を見た。
ケアレスミスばかりで自分が嫌になる。これじゃあ皇毅君にみっちり説教決定だ。
「雅、今日は先に帰っていろ。」
「えっ?」
帰り道はお説教だと思っていたのに拍子抜けだ。
「私が居ないからって寄り道はしないで真っすぐ帰れよ。」
「分かった…」
皇毅君が行ってしまった後、友達が笑っていた。
「なんか葵君って雅のお母さんみたいだよね!」
「そんなに笑わなくてもいいのに…」
でも、確かにそれは分かる気がする。
ー放課後ー
「皇毅君怒ってるかな…」
でも、さっきの様子だと怒ってる風には見えなかったなあ…
呑気にそんなことを考えているとあのケーキ屋さんが目についた。
「あれ?」
ガラスケースの中にはシュークリームがなかった。
この時間だとまだ数個は残っているのに…
皇毅君には寄り道はするなと言われているので大人しく家に帰ることにした。
「呆れちゃったのかな…」
テスト前、シュークリームが食べたいなんて言って皇毅君を困らせておきながら、テストはケアレスミスばかりで目標の8割には行かなかったし…
「何をそんなに暗い顔をしているんだ?」
「皇毅君?どうして…」
頭をガシッと捕まれ髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
「何するのー!」
「赤点じゃないのにそんなに落ち込むなってことだ。」
フッと笑う皇毅君の顔を見て少しホッとした。
「8割行かなくても雅は頑張ったんだ。頑張ったことには変わりはないだろう?だから、頑張ったご褒美だ。」
私に渡されたのは白い箱の入った袋。
「これって…もしかしてシュークリーム!?」
「そんなに喜ばれるとは思わなかった。」
あれ?でもさっきのお店には無かったけど…
もしかして他のお店を回ってくれたのかな?
「さっきの店でシュークリームを買った後、生徒会の先輩に会ってな少し立ち話をしていたんだ。そしたら、雅が通りかかったから話を切り上げて急いで来たんだ。」
「そうなんだ…ありがとう皇毅君!」
「い、いや…礼ならいい。ほら、帰るぞ」
皇毅君は手を差し出してくれたので、私は自然と手を差し延べる。
「皇毅君の手ってやっぱり大きくて暖かくて好きだな〜ずっと繋いでいたい。」
「ならば、ずっと繋いでいよう。私もいつまでもずっと雅の温もりを感じていたい。」
「なんだかプロポーズみたい」
ギュッと握る力が少し強くなった気がした。
「プロポーズか…まだ早いだろ。」
ほら着いたぞとそっと呟く。
その顔がとてもおとなびていて私の胸をざわつかせた。
end
20110316