シリーズ | ナノ

 0日目

金曜日の放課後、友人の雪だるまに頭を下げられたら。突然の出来事で驚いたが、話を聞けばかなり困っているようだった。

「うん、それで私は雪だるまの代わりに日直やればいいんだよね?」
「本当ありがとう夢子! 今度何でもおごるから」
「そこまでの事じゃ・・・」

日直のことでどうしてここまでするのか不思議だった。雪だるまはどうやら来週、一週間は部活で使う倉庫の鍵当番になったらしく帰りはHRが終わったと同時に部活に行かなければならないらしい。

嫌な相手だから交代してくれって言うのじゃないのなら、別に交代くらい何とも思わないし、私は交代してくれて良かったと思っている。

私が次当たる時はテスト真っ最中、そして成績をつけるためノートなどの回収・返却があり、大変な一週間だ。

「帰るとき名前書いておいてね。じゃ、私急ぐから」
雪だるまが指を指したのは黒板だった。
そこには日付の下に日直の名前が書けるようになっていた。

「忙しそうだなー雪だるま」
私も何か部活に入っておけば良かったかなと、高校生三年生にもなって後悔している。

中学でもバッとしない演劇部に入っていた。帰宅部のような部活だったことだけは覚えている。
昔から運動は苦手で持久走ではだいたい一番最後だ。
体育祭でクラス全員で行う大縄飛びはいつも私が最初につまずいて終わりになる。

「さてと、ここに名前書いておこうかな」
今週当番だった人の名前を消し、自分の名前を書いた。そういえばペアになるひとの名前を聞いていなかった。

雪だるまの近くの男子と言えばあの人? でも、違ってたら嫌だしとりあえず空白にしておくことにして帰ることにした。

教室には私以外にはいない。静かな教室と騒がしいグラウンド。校門をくぐり学校へと向かうのは同じクラスの牛島君だった。どうやらランニングの帰りのようだ。

今年クラス替えで初めて一緒になったのだけれど、どうにも私は彼とは合わないようで、苦手意識をずっと持っている。

クラスが一緒でも一生私は彼と話すことはないだろう。

そう、これからもずっと


20140813

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