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この頃彼女の周りには人が多く集まるようになった。転校したての頃は物珍しさだけだったのだが、今では利根川さんの人柄で集まっているように見える。
「藍さん人気ですね」
犬岡がそっとおれに耳打ちをした。確かに利根川さんの周りにはバレー部員が輪を作って囲んでいた。
特にリエーフはかなり利根川さんにベタベタしている。彼女はそれにはかなり困っているらしく、おれは彼女の側へと自然に足が向かう。
「大丈夫?」
「うん、何とか・・・・・・ありがとう研磨君」
彼女にそう言われ心臓が早く動き出す。そして、心の中に灯がともったかのように暖かくなる。
「もう、暑いから離れっ・・・」
リエーフは大型犬のように彼女にじゃれつく、おれの後ろでいいなあと呟いている犬岡はどちらかと言うと小型犬だろう。
何だか面白くない。だから、彼女をマネージャーにしたくなかったんだ。利根川さんは仮のマネージャーになって前よりも明るくなった。これが本当の利根川さんだったと言う方がいいのかもしれない。
でも、転校したての時の弱々しい利根川さんも利根川さんで・・・・・・その時の彼女を知っているおれは皆よりも一歩先に行っていると思っている。
「・・・・・・研磨君? どうしたの? 練習始めるって」
「あ・・・分かった。ありがとう利根川さん」
いってらっしゃいと手を振る彼女に背を向け練習を開始した。
一体、何を考えていたのだろう。どうしてこんなにも彼女のことばかり考えてしまうのだろうか。
「研磨、後であいつに話がある」
クロが言うには大事な話だそうだ。だから彼女を待つということだった。
おれは頷き、せっせとノートに書いている利根川さんを見つめた。
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