学校探検


校内を探検をしに私は教室を出た。帰りのHRが終わり、教室は帰る人、部活に行く人でざわざわしていた。研磨君は部活に行くようで、じゃあと声を私にかけてから教室から出て行った。

「さてと……」
帰り支度をし、私はいつでも帰れるように荷物を持った。まずはどこに行こうかな…

まずは一階、校長室や職員室が並び、玄関は帰る人でごった返していた。次に、二階、三階…と続き大体の教室がどこにあるかが分かった。次は実験室などがある別館へと入る。

そして……

「ここは?」
どこだろうか、たぶんこの外へと繋がる廊下は体育館へと繋がっているのだろう。それにしてもさっきから視線を感じる。近くの柱からだ。この視線はどこからくるのだろうと思い、近づいた。

「ひぃっ!」
見てる、私を柱からジッと鋭い視線で見ている。ど、どうしよう・・・逃げようものなら捕まりそうだ。私はその視線を合わせないように俯く。

変な汗が出てきた。いったいこの人は何をしたいのだろうか。


「あっ・・・・・・利根川さん」

この声は!! 研磨君だ。
良かった、これで私帰れる・・・


「あれ?いない」

研磨君に走って近づきさっき男の人がいた柱を見てみる。
そこには誰もいなかった。


「虎ならもういないけど・・・」

「えっ、と・・・もしかしてさっきの人ってバレー部の人?」


研磨君は頷いた。凄く怖い人がバレー部にいるものだ。でも、さっきの研磨君の言い方だと良い人なのかな?名前で呼んでいたし・・・


「バレー部か・・・ねえ、今度見学してもいいかな?」

「別に・・・」

これは肯定の言葉だ。出会って数日、数時間しか接していないが研磨君のことが分かるようになってきた。


「あっ、部活中だったよね。ごめんね、引き止めちゃって」

部活頑張ってねと私は研磨君に大きく手を振った。研磨君は小さく手を振り返してくれた。



***
「オーイ研磨! どうしたんだ、こんな所で」

「あっ、クロ・・・」

利根川さんの姿が無くなるまでおれはその場に立っていた。おれの姿を見たクロが不思議そうにおれを呼んだ。

返事をするまでにクロはおれの側まで来ていて、利根川さんが行った方向を見た。


「今度見学したいって」

「見学? いったい何の・・・オイッ!研磨、ちょっと待て」


この話はまた部活帰りに話そう。今話したら根ほり葉ほり彼女とのことを聞かれる。ただのクラスメイトと言うだけでは皆納得しないだろうし。

自分でも不思議だ。人と関わらないように生きてきたのに、彼女はいつの間にか自然におれの心の中に入ってきた。


まるで翔陽みたいだと思った。

20140703


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