おはようと言える日々


ついこの間彼からプロポーズをされ、私は喜んで受け入れた。ずっと待ち望んでいた彼との結婚に胸をときめかせていた……

ふわふわした新婚生活。朝起きると隣には彼がいて、おはようと言い合えることがこんなにも幸せなことだなんて思わなかった。



「ゆめみ」
彼の声が聞こえた。これはまだ夢の中だろうか。誰かが私の頭を撫でている。そして、暖かい。

「ゆめみ……」
「う……ん…」

力の声がする。彼の優しい声が心地よく瞳が重くて開けられない。

「ゆめみ、朝だよ」
「ん……? 力?」

ふーっと私の耳に風がかかる。なんだろうとゆっくりと目を開けるとそこには彼の顔が目の前にあった。

「おはようゆめみ」
「っ!!」

私はびっくりして声にならない声をあげた。すると、力はふっと笑い私の頬に手を置いた。

「お、おはよう……」
私がそう言い返すと彼は満足げに笑った。朝から至近距離での彼の笑顔にやられた。

「ゆめみ、頬緩んでる」
分からなくないけどと彼は付け足した。私は恥ずかしくなって布団をかぶろうとした。だが、それは彼の手で阻止された。

「恥ずかしがらないの」
「だ、だって……力がそんなこと言うから」
密着する体と体。私の顔は力の胸の位置にあり、力は私を抱きしめる形になった。

「あっ、それよりゆめみ今何時だか分かってる?」
「えっ、時間?」

力は抱きしめている腕を解き私はゆっくりと彼の胸から頭を出した。ベッド付近のサイドテーブルに乗っている時計を見た。

「もう8時っ! 起きなきゃ」

勢いよく私は起き上がりベッドから出た。その様子を笑いながら見る彼は言った。

「今日は休みだよゆめみ」
「な、なんだー……」

ホッとして肩を落とす。力も起き上がり、カーテンを開けた。

「朝ごはん準備するね」
ダイニングへと繋がるドアを開き、キッチンへと急ぐ。

「手伝うよ」
私の後を追うように彼がやってきてキッチンに二人並ぶ。

「今度、力専用のエプロン買ってこようか?」
「じゃあ、今日は買い物にでも行こう」

新居に引っ越して毎日がバタバタしていたため、必要な物があまり揃っていなかったり慌てて買った日用品も無くなりかけていた。
それに、今日はいい天気だ。

今日の予定を決めながら朝ごはんを作った。


20140721




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