バスタイム SS


「ねぇー研磨ぁー」
振り向いても湯気で研磨の顔が見えない。もう少ししたら、湯気が消えていくと思うのだけれど・・・
研磨は私を後ろから抱きしめながら、お風呂に入っている。

「・・・・・・ん、なにゆめみ」
「なに? じゃないよ。どうしたの急に、一緒にお風呂入りたいって」

何かあったの? と聞くとまた研磨は黙ってしまった。
何か大学で上手くいかないことがあったのだろうか、それとも人間関係に疲れちゃったとか・・・? ああ、でも研磨ならありそう。

「あっ、分かった! この間出たゲーム、もうクリアしちゃってつまんないとかか?」
「あれはまだクリアしてない」

違ったか・・・研磨は私の肩に頭を乗せた。研磨の髪の毛が私の首もとにかかりくすぐったい。

「じゃあ、何だろう・・・」
高校時代から付き合い始めて、大学は別々だったけどこうやって一緒に住んでいる。

「ゆめみ・・・・・・」
「ん、研磨っ、くすぐったいって・・・もうっ」

研磨は私の耳元で話をして、耳筋を舐めたりしてさっきから耳ばかり攻めてくる。

「・・・ゆめみ、分からない?」
「え、何を・・・?」

抱きしめていた腕はだんだんと下に降りていった。何だかいやな予感がする。

「ゆめみを誘惑してるんだけど」
「誘惑って・・・研磨まさか」

私は体を研磨の方に向け、しっかりと彼の顔を見た。

「最近ゆめみとゆっくり話したり触れ合うこともなかったし・・・」
「・・・・・・寂しかった?」

研磨はコクリと頷いた。その顔が可愛くて、私はいきなり彼の唇を奪った。

「なっ・・・ゆめみ」
「確か、唇って愛情だっけ?」

研磨の顔が赤く染まる。私もつられて恥ずかしくなった。もう、これだけでのぼせそうだ。

「・・・研磨そろそろ上がる?」
「ゆめみがそれでいいならいいけど。おれはもう少しこうしてたい」

研磨はギュッとまた私を抱きしめた。今度は向かい合わせだ。

「さすがにこれ以上こうしてたら・・・ね」
私達は裸同士で高密着だ。それに、凄くあの・・・気になる。

「ゆめみ・・・」

研磨からのキスは甘くてとろけるような深いキスだった・・・・・・


20140705



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