体育館に着き、大汗をかきながら練習をしているバレー部に差し入れとして、買ったガリ○リ君を渡した。若干、溶けていたけれど、皆そんなことは微塵も思っていなかったようで、あっと言う間に食べ終えていた。

一方私は、皆がまた練習を始めた時に食べ終えた。アイスを食べるのが遅いから、手がベトベトになってしまった。手を洗いに行き、潔子や仁花ちゃんの仕事を手伝った。

練習が終わったのは夜7時だった。

「もう時間も遅いし送ってく」
「え、でもいいの?」

確か澤村は違う方向だった気がする。でも、仁花ちゃんもいるし女子だけで帰るのは怖い。ここはお言葉に甘えて送っていってもらおうかな。

「じゃあ、仁花ちゃん帰ろうか」
「よろしくお願いします」と仁花ちゃんは澤村に頭を下げた。

三人で楽しく帰った。仁花ちゃんは近くのスーパーで買うものがあると言うので、彼女とはマンション目前で別れた。

「この頃夢野、何だか楽しそうだよな」
「えっ!? そ、そうかな……」

もしかして、顔に出てたかな? 今日は憧れの牛島さんと出会えたし、お話もできた。え、でもこの頃ってことは牛島さんと出会った時のことかな?

「私ね、あの人に会えたんだ。だから少し舞いあがってて……」
「……良かったな」

そう言って澤村は私の頭をポンと触った。暗くて表情はあまり見えないが、今どんな顔をしているのだろうか。彼とは一年の時から一緒でなんだかんだで三年間一緒のクラスだった。

面倒見も良いし、かっこいいのにどうして彼女を作らないのか。どうせ、聞いてもバレーしか考えていないとか言うんだろうな。

それから少し今日のことを話した。彼は驚いていたようだったが、まあ頑張れよと言って別れた。

家に帰って、今日買ったタオルを丁寧に包装した。次はいつ会えるだろうか。もしかしたら近いうちに会えるかもしれないと言う淡い期待を持ちつつ明日の準備をしてベッドに入った。


20140604


prev next

戻る