「ろっきくーん!!」
繭良が目を輝かせながらロキの方へ走っていく。
「どうしたのさ。まだ不思議ミステリーな事件は来てないよ。」

繭良は紙切れを鞄の中から出した。
「見て見て!!」

「なになに……あなたも探偵になりませんか?試験に合格すれば明日から探偵に!!…何これ」

繭良は胸を居はり誇らしげだが、ロキは呆れた顔をしていた。
「受けるつもり?」
繭良は「もっちろん!!」と胸を叩いた。

その様子を見たロキは深いため息をついた。
「あのねぇ繭良。そんな簡単に探偵になれるわけないでしょ。」

しかしロキの言葉は繭良には聞こえていなかった。

「私頑張るから!!」
と言い残し帰って行ってしまった。

「何がしたかったんだろうか…繭良は。」
残されたロキは温くなった紅茶を一口飲んだ。

ロキは繭良が置いて行ったチラシを良く見てみる。

「”あなたも探偵に”ね…まっ、繭良には絶対無理だな。」
ロキはチラシをほうり投げた。

「繭良さんなら絶対受かると思いますよ。」

闇野がお菓子を持って部屋に入って来た。
「闇野君はなんでそう思うのさ?」

闇野は持って来たお菓子をロキの机に置いた。
「繭良さんは…何事にも一直線ですから。それよりいいんですか?繭良さんが受かったら、もうここには来ないんですよ。」

ロキの思考が一瞬止まる。
「考えていなかったんですね…」

闇野はチラシを見た。
「あれ…」
「どうしたのさ…ああ、なるほどね」

二人とも何か納得した様子で顔を見合わせていた。

「かなり昔のチラシだよね…これ?」

「そうみたいですね……」

そこには、××年○月△日と書かれていた。
「どうして気付かなかったんだろう…僕」

しばらくすると繭良がまた来た。
今日は繭良パパが飲み会で遅くなるので、ロキの家に居なさいと言う事だった。

ロキは繭良に言った。
「繭良、ちゃんとあのチラシ見たの?」
「えっ!?」

繭良は良く話しが分からないらしい。
「あのチラシって…もしかして…ってあれ?」

繭良はガサガサと鞄の中を探しているが中々見つからない。

「ほらこれだよ」
ロキはチラシを繭良に見せると 繭良はあー!と大声を上げた。
「ここ見てよ。ほら、開催日が2年前になってるでしょ。」

ロキは指を差し繭良に説明する。

だんだん繭良の顔からは笑顔は消えて行く。
「そ、そんなぁ…私の夢がぁ…」

「繭良は僕の助手じゃなかったっけ?」

「そ、そうだけど…」

「助手ならつかず離れずそばにいるべきだと思うけど?」

ロキは繭良をなだめるとほっとした様子で繭良を見上げた。



20130516加筆修正
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