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「二人で歩む坂道、最新作だって言っていたけれど……」
担当者は奥さんには刺激が強すぎるかもしれませんと言っていたが、どういうことだろうか。ななしは一枚ページをめくる。引き込まれる文章にページをめくる手が止まらない。
ななしは半分まで読み、あるところで目を大きく見開いた。
「これは……」
愛し合う二人、しかも濃厚な場面である。ななしは目を外に反らしたが、気になってチラチラと文章を読んでいく。
ななしの顔は真っ赤だったが、目だけは真剣であった。だからなのか、守が帰ってきていることに気づかなかった。
「ななし、何を読んで……」
「ひゃっ!」
守は本を読んでいるななしを後ろから抱きしめた。
ななしは驚いて本を下に落とした。
「変な声を出すな、まったく……襲いたくなる」
「でも、それっていつもの冗談なんでしょ?」
クッと守は笑い、ななしの耳たぶを舐めた。
ななしはゾクリと体が震えた。
「……冗談ではないと言ったらどうする?」
「そんな……まだ、夕方ですし、そのっ……恥ずかしいです」
まだ辺りは少し明るかったが、もう少しすれば暗くなる時間帯であった。
「ならば、さっき読んでいた俺の小説を音読してもらおうか」
「えっ!」
守のお願いに動揺したななしは落とした本を取るかどうかで迷っていた。
「やらぬなら、今ここで襲うがいいか?」
「あぁっ、…そ、それは……んっ」
守は首筋を舐めて、ななしを責める。
ななしは渋々本を取り、最初のページを開き読みはじめる。
「そこからではない、176ページからだ」
守は本を取り上げ、そのページを開きななしに渡した。
「こ、ここから読むんですか!」
無理ですとななしが言おうとした瞬間、彼女の体がビクリと震えた。
それは、守の手がななしの着物の中に侵入してきたからだ。そして、肩が出るような恰好にさせられ、随分着物が乱れた。もう少し乱されると胸が見えてしまう。それをななしは心配した。
「ここから読めば何もしない」
「……今日の守さん意地悪です」
なんとでも言えと守は首筋を指で優しく撫でる。
「っ……約束ですよ?」
「ああ、分かった。何もしない……たぶんな」
ええっ!とななしは目を広げ驚いた。
「それはそうと、早く読め」
はいはいとななしは抵抗するのを諦め、大人しく音読し始めた。
「唇を封じられた女は息をもつけないほどの接吻をされ息があがり、時々漏れる甘い声が男の気持ちを高ぶらせる。男は唇を離し、女の下腹部に手を……っ!」
「止めるな、続けろ」
「そ、そんなぁっ!」
ななしは声を上げないようにキュッと唇を固く閉じた。
「口を閉じたら音読出来ぬではないか」
守はななしと視線を合わせるようにし、唇を奪った。
「んっ、ふぁぁあ……んんっ!」
守の舌がななしの口内に侵入し、激しく彼女の舌を貪る。
「接吻だけで濡れたのか?」
守の手は下へ下へと降りていき、膝を無理矢理割って、手を入れた。ななしの下着はびっしょりと濡れていた。
「んあ……そんな、ことは……」
守は下着の上から、ワレメを指で摩る。
「んんんっ……あぁっ!守さ……っ、やあぁっ」
守は空いている方の手で、ななしの固くなった胸の突起を捏ねくりまわす。
「やはり俺には我慢できん」
「あぁあぁっ!」
守の二本の指が蜜壷に入れられ、バラバラに動かされる。その巧みな動きに反応するかのように、ピチャピチャと水音が段々と激しく聞こえるようになる。
「あぁあっ、いやぁっ、守さんダメぇっ!」
ななしの垂らす蜜は床へと落ち、水溜まりになる。
「ななし……愛している」
守はゆっくりと体勢を変え、ななしを布団の上へと移動させ、覆いかぶさる。そして一気に硬くなった男根をななしの蜜壷に挿入させる。
「あ、あぁあぁあっ!」
ななしの背は弓なりにそれる。守は深く、深く挿入しようと、ななしの足を大きく広げ、体重をかけるように挿入する。
「あぁっ!激しっ……っは、あぁっ!」
「ぐっ……ななし、あまり俺をくわえ込むな……持たなくなる」
守は一瞬歪んだ顔をしたが、すぐに元に戻った。だが、絶頂の波はすぐそこまで来ていた。
「っ……ダメだ、ななし…俺はもう」
「わ、私もっ……イクっ、イっ、っあぁああぁあっ!」
ななしは甘い悲鳴を上げ目を閉じた。
ななしの蜜壷には白濁液も一緒に流れ落ちる。
***
「もう!約束は守ってくださいね!」
腰が痛いななしは布団から出られずにいた。
「す、すまぬ……」
守は隣で寄り添うようにして寝ていた。
「そういえばどうしてああいった小説を?」
「たまにはああいうのも書いてみたらどうかと言われてな。まあ、もう書かないとは思うが……」
「んっ」
守はそっとななしの唇に接吻をした。
「だが、こうやって乱れるななしを見るのもいいかもしれん」
「もう!守さんたら」
ななしはなんだか恥ずかしくなり守の肩に顔をうずめた。
20130829
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