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次の日、一羽はいつも通りの時間に起き、下に降りた。

「いい匂い……」

部屋を出ると、微かに良い匂いが鼻孔をくすぐった。それと同時に、一羽のお腹が鳴った。良い匂いにつられ行ってみると台所からだった。一羽は入るのを躊躇い、台所の前に立っていた。

「やあ、おはよう一羽さん。よく眠れたかな?」

ビクッと一羽の体が震え、ゆっくりと後ろを向いた。そこには邵可が新聞を片手に立っていた。

「おはようございます邵可様」

うんうんと邵可は一羽が元気なことに満足をし、彼女と一緒に食卓に座った。そこには静蘭の姿もあり、彼は皿を並べたりしている。

「私も手伝います!」

「ダメよ、一羽ちゃんはお客様なんだから」

鍋を持ちひょっこり出てきたのは秀麗だった。一羽はでも……と邵可や静蘭の顔を交互に見た。

「一羽さんのやりたいことをしたらいいんじゃないかな。どのみち平日は皆仕事に行って一羽さん一人なんだから」

「そうですね、私も別に構いませんが……火を使う時は誰かが近くにいる時にしてください」

分かりましたね?と怖いくらいの笑顔で静蘭に釘を刺されたところで料理がすべてだされた。一羽は朝からなんて豪華なんだろうか……と感嘆の声を上げた。いただきますと声を揃え、四人は箸を動かし始める。

「あっ、そうそう!今日は10時くらいになったら買い物に行きましょう」

「買い物……ですか?」

そうよと秀麗は答えた。だが、一羽にはピンと来なかった。

(買い物と言っても特に買う物はないと思うけれど……それにお金もないし)

一羽は現代に来てからいろいろなことを学んだ。最初は戸惑いもあったが、慣れてしまった。
だが、普通の人間よりも物を知らないと言うのは変わらない。

「お金なら貰ってるから大丈夫よ!一羽ちゃん凄く可愛いんだから、お古じゃなくて可愛い服着ないと」

ああ!と一羽は昨日そんなことを言っていたなと思い出し納得したが、自分が可愛いと言われるなんて思わなかった。

「私など……可愛くなんてありません」

元の時代に居た時はそんなこと一言も言われなかったし、これだと一生結婚はできないと思っていた。

「謙遜しないで、本当のこと言っているんだから。それに私は一羽ちゃんのこと本当の妹みたいに思っているから」

秀麗は一羽をあやすようにそう答えた。

20130721


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