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家に帰ると不思議なことにカギが開いていた。皇毅は恐る恐る部屋の中に入り、電気をつける。そして一羽を呼ぶが返事はない。
一羽の部屋やお風呂場なども探したが、彼女の姿はどこにもなかった。
皇毅はただ呆然と立ち尽くす。
一羽は消えてしまったのだろうか。
そもそもここの人間じゃなかったんだ。一羽がいなくなればただの日常が流れる。あれは夢だったんだ。
そうだ、リアルな夢。
「これは、練習帳…」
皇毅は机に置かれたひらがな練習帳と小学1年の漢字練習帳を手に取る。中を開いてみると、綺麗に整った字でたくさん書いてあった。
「今時の小学生でもこんなに練習はしないだろうな」
この練習帳も消えてしまうのだろうか。一羽のように
「不思議な気持ちだ」
なにか心にぽっかり空いた…そんな気分
「"外に行きたい"一羽の字か…」
もう一度繰り返し言うと皇毅は何か思いついたのか外に向かった。
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