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「いいか、絶対に家から出るな。」


分かったなと何度も何度も念を押され、皇毅様は出て行ってしまった。
一人きりの部屋はがらんとなった。


「勉強しないと…」

皇毅様の持っている本から何冊か選び、とりあえず読んでみたがまったく分からなかったため見かねた皇毅様が文字の練習のためにと本を買ってきてくれた。


「あ、い、う、え、おっと…」

まだこの"あいう"の本は見た限り簡単そうだが、次の複雑な文字が書いてある本は難しそうだ。そう、まるで漢文のよう…


「漢文?」


そうだ!これは父上が読んでいた書物にたくさん出てきた漢字!
ずっと習いたい、習いたいと願っていた漢字。女だからかな文字だけでいいと父上に言われ続け、叔母様には教養ばかり身に付いているから殿方がよりつかないと会うたびに言われた。

習いたいとずっと願い続けていてものが目の前にある。なんて幸せなんだろう。


「勉強って楽しいな…」


その練習が終わったのはちょうどお昼だった。私は皇毅様が用意してくれたご飯を食べた。
テレビをつけると見たことのあるような庭園が映り、ジッとそのテレビを見た。


「行かなきゃ…」
文字も漢字も覚えたから少しくらい外に出ても大丈夫だろうと思い好奇心に勝てず外に出た。



20120804




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