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一羽にお風呂の使い方を教え、風呂に入らせた。ふと気づけば時計の針は4を指していた。


「服が無いのか…」

困った。この家に女物の服があるわけがないし、このままだと自分の着るものが無くなってしまう。

後、三着…たんすの中にはクリーニングに出したばかりのワイシャツが袋に入っている。

普段着と言っても、やはりシャツくらいしかない。そもそも自分はファッションにあまり興味がない。

会社に行って仕事をして、家に帰って書類を読んでから寝て、休みは寝ていたり食料を買いに行く。
社会人になってかなり経つが、この習慣は変わらない。


「仕方ないか」


気は進まないが、女はあいつしかいない。仕方なく電話をかけた。

【ああ、私だ。折り入って頼みがあるんだが―――】


【いらない服ですか?】

【そうだ。私のマンションまで持ってこい。今日中だ、分かったな】

【あ、えっ!】

有無は言わせず、電話を切った。

きっと不審がるだろうが、この際仕方ない。あいつのお下がりの服ならば、入るだろう。
次の休みまでそれで過ごしてもらわなくてはいけない。


「皇毅様っ!助けて下さいっ…」

今度はなんだと風呂場を覗けば、風呂場は泡だらけになっていた。

「お前…シャンプーの付けすぎだ!」

そもそも髪は別に洗わなくてもいいだろうが!
そう、言いたかったが心にしまった。


(良いドライヤーも買わなくてはな…)


「ジッとしろ」

仕方なく、私が髪を洗うことになった。
シャンプーが目に入って痛いと言うが、そんなの知ったこっちゃない。

「すすぎ終わったぞ、目を開けろ。」


「ありがとうございます!助かりました」

一羽は私の方へ振り向いた。

「こっちを向くな!一羽は一応女だろうが」


バタンと思いっきりドアを閉めた。


「心臓がいくら合っても足りないな、これは」


はあ…と、今日何度目か分からないため息をついた。




20120530

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