お昼になり、朝結衣に半ば無理やり渡されたお弁当を鞄から取り出した。包を取るといかにも女子高生が食べているようなお弁当が出てきた。嫌な予感がする。
案の定、お弁当の中身は・・・

「あれ〜皇毅、珍しいねお弁当なんてしかも今はやりのキャラ弁だ。」
運悪く晏樹に見つかってしまうとは思わなかった。
「誰が作ったのさ」

「さあな」

教えるわけにはいかない。分かるのは、晏樹にあのことが知られたら最後だと言うことだ。
「へえ…じゃあ、分かった。」

晏樹にしては物分かりがいいなと安堵したのもつかの間。

「皇毅がキャラ弁作って来たみたいだよ」
見てみて!と言わんばかりに周りの注目を集め始めた。
周りの目が痛い。 
「晏樹、貴様…」
晏樹を睨むが、まったくきかない。むしろ面白がっている風に見える。

「え?皇毅ってば彼女に作ってもらったの?やるじゃない」

「うるさいぞ晏樹、私は急用を思い出した、少し席を外す。」

ニヤニヤと笑う晏樹を再度睨みつけ席を立った。地味に部下達の視線が痛い。
お弁当を持って出てきたのは良かったが、行く当てがなかった。とりあえず食堂にでも行くかと歩み始めた。

「皇毅、珍しいなお前が出歩くとは」

「旺季様こそいかがなされましたか。」

旺季様はチラリと私が持っていた包みを見た。

「弁当か…まあ、大方晏樹が絡んで来たのだろうな」

旺季様はポツリと何か呟いたようだ。 しかし、私には聞き取れなかった。

「私と一緒に食べるか」

「良いのですか?ご一緒しても」

「たまにはお前と食べるのも悪くない」

そうしてエレベーターに乗り、旺季様の部屋に向かった。
旺季様の部屋はだだっ広く、窓際にポツンとデスク、扉側にはお客様用の机とフカフカのソファーが置いてある。

「ほう…これがキャラ弁か。うむ、これはなんだ?」

「これは昨日の結衣が作った肉じゃがです。旺季様の口に合うかどうか…」

旺季様は箸で肉じゃがを取り、食べた。

「なかなか美味いではないか」

一口、また一口と旺季様は箸を進めていった。


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