「広い…」

お前の部屋だと言われ、入った部屋は物凄く広かった。
今まで私は自分の部屋があっても寝るだけの部屋だったのでとても狭かった。それに、居候なので文句は言えないし、私はこの部屋でいいかなと言う諦めもあった。
だからなのか、ここまで広いとなんだか落ち着かない。自然と端っこに来てしまう。

「こんなに良い部屋でいいんですか!?」
そう言ったら、葵さんに「は?」と言われた。
葵さんは凄く淡泊な人だなー

「まあ、後で旺季様に御礼を言うことだな」

「もしかしてこのベッドも机も…旺季さんが?」

無言と言うことはイエスなんだろう。

なんだか旺季さんに悪いことをしたなと言う気持ちと共に、どうしてここまでしてくれるのだろうと言う気持ちが生まれた。
「仕事に行ってくる。」

「えっ?でも今日は日曜日なんじゃ…」

「昨日は旺季様がいなくてな、仕事にならなかった。」

遠回しに私に文句言ってる…のか?
いや、言っていない、私の気のせいだ。だって葵さんは凄くいい人そうだし…たぶん。
時計の針は10を指していた。
まだこの家に来て1時間しか経っていないことに気づいた。
「何かあったら電話かメールで私に連絡しろ。」

葵さんは電話番号とメールアドレスを書いた紙を渡してくれた。
うーん…でも、携帯持ってないんだよね。

とりあえず、電話番号さえ覚えておけばいいかなと紙は大切にしまった。
葵さんが会社に行った後、私は一人部屋に居た。明日は月曜日だから学校に行かなくてはいけない。
転校はしなくてすんだが、いろいろとめんどくさい手続きをしなければいけない。

「ひろーい」
ああ、なんて大きい天井なんだろう。なんてフカフカなベッドなんだろうか!寝るのが楽しみだ。

「あっ、夕飯どうしよう」
私は急いでキッチンへ。冷蔵庫にはお酒しかなく、まさに独身男性の冷蔵庫そのものだ。

「よし!買い物に行こう。」
思い立ったが吉日だ。

この辺りはよく分からないが、今日からここに住むなら、いろいろ把握していないと。
よーし!決まりだ!私は、キチンと戸締まりをして、財布を持ち外に出た。

20111108

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